【普及奨励事項】
1.課  題  準奨励品種候補
2.場  所  天北農業試験場,滝川畜産試験場,中央農業試験場
        道南農業試験場,北海道農業試験場
3.準奨励品種候補名  ハイブリッドライグラス「テトリライト」

4.来  歴
 米国ミシガン農試で育成されたもので,イタリアンライグラスとペレニアルライグラスとの種間雑種の4倍体種である。OECDに登録されている。

5.特  性
(1)草丈は90〜100cmに達し、イタリアンライグラスとほぼ同じか,これよりやや高い。草型は直立型である。
(2)越冬後の出穂期は道南で5月下旬,道央で6月中旬であり,マンモスイタリアンB(晩生) より5日程度遅く,ペレニアルライグラス「フレンド」(晩生の早)と同程度またはこれより晩生で,2倍体のハイプリッドライグラス「マナワ」より5日程度早い,出穂数は多〜中である。春播きの場合は播種当年に出穂するが,出穂数はマンモスイタリアンBより少ない。
(3)初期生育はマンモスイタリアンBやエースとペレニアルライグラスのフレンドのほぼ中間である。
(4)越冬性は道南では良,道央では良〜中である。萌芽期は道南では4月1日〜2日で,マンモスイタリアンBより5〜6日早い。道央での萌芽期は4月5〜7日で,他品種との差はない。春期草勢は良〜中である。
(5)再生は良好であり,越冬後被度が低下した場合でも,順次被度が高まる。
(6)最終番草の草丈は,道南ではマンモスイタリアンBとエースとの中間であり,道央ではこれらより低い。
(7)冠さぴ病が発生したが被害は軽かった。その他試験期間中に実用上問題となるほどの病害の発生は認められなかった。倒伏程度は無〜中であり,エースやフレンドと同程度である。
(8)アカクローバと混播した場合の合計収量は,道南ではテトリライトはエースと並んで高い。
 道央において,中央農試ではテトリライトが最高であるが,北農試ではテトリライトはフレンドとほぼ同じである。
(9)アカクローパと混播した場合のマメ科率は,道南で10〜30%,道央で20〜70%である。

6.試験成績
表1 単播試験における乾物収量(kg/a)
品種 年次 天北農試 滝川農試 北農試 中央農試
テトリライト
(HR)
1年目 74 64 108 79
2 〃 0 61 107 134
合計 74 125 216 213
マンモスB
(IR)
1年目 82 70 111 73
2 〃 0 0 39 105
合計 82 70 150 178
フレンド
(PRG)
1年目 59 38 88  
2 〃 56 87 128  
合計 115 125 216  

表2 混播試験における乾物収量1)
場所 年次 テトリライト
(HR4X)
マナワ
(HR2X)
マンモスB
(IR4X)
工ース
(IR4X)
フレンド
(PRG4X)
ハミドリ
(RC単播)
北農試 1年目 96 91 178 101 104 83
2〃 119 100 190 115 114 98
合計 108 96 368 108 109 90
中央農試 1年目 102 78 159 102 101  
2〃 132 86 179 119 107  
合計 118 82 337 111 104  
道南農試 1年目 108 90 231 103 102  
2〃 112 88 263 116 99  
合計 111 89 494 110 100  
注1)数字はマンモスイタリアンBのものが実数(kg/a),他は指数。
  イネ科,マメ科合計,秋播き,春播きをこみにしたもの。

7.適応地域
 道南地方の冬枯れの少ない地帯

8.栽培上の注意
 アオクローバと混播し,利用期間は2年間を目途とする。