【普及奨励事項】
ばれいしょ新品種候補系統  総合農業 作物生産 夏作物 ばれいしょ
                   北海道  畑作    ばれいしょ−育種

      北海67号の概要

北農試 作一・畑作2研  

1.特性一覧表
系統名 北海67号 組合せ ツニカ×WB61037-4
特  性 (長所)
1.ジャガイモシストセンチュウ抵抗性
2.疾病圃場抵抗性
3.高でん粉多収
4.紛状そうか病抵抗性
(短所)
1.塊茎の肥大遅く、早堀には適さない。
2.青枯病に弱い。
採用県及び
普及見込面積
北海道:6,600ha
系統名・品種名
/形質
北海
67号
農林
1号
紅丸 コナ
フブキ
北海
67号
農林
1号
コナ
フブキ
北海
67号
紅丸 コナ
フブキ
用途 澱原 兼用 澱原 澱原 澱原 兼用 澱原 澱原 澱原 澱原
早晩性 晩生 晩生 晩生 晩生 晩生 晩生 晩生 晩生 晩生 晩生
開花期(月日) 7.9 7.8 7.9 7.10 7.8 7.7 7.9 7.12 7.12 7.12
枯凋期(月日) 9.27 9.27 9.29 9.29 10.9 10.3 10.10 9.30 10.6 10.6
茎長(cm) 69 58 64 66 88 79 78 95 101 94
株当茎数(本) 3.2 3.6 3.4 2.6 - - - -   -
株当上いも数(個) 8.4 8.3 11.0 7.5 9.9 9.8 8.8 8.9 11.4 8.5
上いも平均1個重(g) 112 128 106 121 103 115 112 132 111 112
萌芽時葉色 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫)
茎色
(赤紫)

(赤紫)

(赤紫)

(赤紫)

(赤紫)

(赤紫)

(赤紫)
花色 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫
子葉の大きさ
自然結果の有無
塊茎の形 扁球 扁球 扁卵 扁卵 扁球 扁球 扁卵 扁球 扁卵 扁卵
皮色 黄褐 黄白 淡紅 黄褐 黄褐 黄白 黄褐 黄褐 淡紅 黄褐
生肉色 淡黄 淡黄 淡黄
肉質 やや粘 やや粘 やや粉 やや粘 やや粉 やや粘 やや粘 やや粉
目の深浅 やや浅 やや浅 やや浅
休眠 やや短 やや短 やや短 やや短 やや短 やや短 やや短



疾病 R1f r r R1R3 R1f r R1R3 R1f r R1R3
塊茎腐敗
軟腐病
青枯病
粉状そうか病
ジャガイモシスト
センチュウ
H1 h h h H1 h h H1 h h

10a当上いも
収量(kg)
3162 3538 3991 3058 4399 4851 4262 4269 4909 3566
同上比(%) 89 100 113 86 91 100 88 87 100 73
10a当澱粉
収量(kg)
655 587 634 666 858 772 910 838 685 689
同上比(%) 112 100 108 113 111 100 118 122 100 101
澱粉価(%) 21.5 17.4 16.8 22.6 20.5 16.5 22.4 20.6 14.9 20.3
調査地 育成地・標肥 十勝農試・標肥 北見農試・標肥
調査年次 昭和55-60 昭和57-60 昭和57-60

2.北海67号の特記すべき特徴
 「北海67号」は現在国内で栽培されている主要品種にないジャガイモシストセンチュウ(寄生型R01)抵抗性をもつ。しかも澱粉原料用の「紅丸」,「コナフブキ」と同じ熟期で澱粉収量が多い。澱粉価が高く,「紅丸」,「農林1号」にくらべて澱粉の粘度が高い。土壌病害の1種である粉状そうか病には、現在北海道で栽培されているどの品種よりも強い。疫病圃場抵抗強。

3.奨励品種に採用する理由
 ばれいしょは小麦、てん菜、豆類とともに北海道畑作の基幹作物の一つである。昭和47年にわが国では最初のジャガイモシストセンチュウが北海道で発見されて以来,その発生面積は年々増えて昭和59年までに約4000haに線虫の発生が確認されている。その被害は大きく線虫の高密度発生ほ場では50%に近い減収率を示している。
 ジャガイモシストセンチュウの防除対策としては,抵抗性品種の利用,薬剤防除,輪作を組み合せた総合防除が不可欠で、その根幹をなす抵抗性品種の出現が待たれていた。
 「北海67号」は現在北海道で発生しているジャガイモシストセンチュウに抵抗性で、加えて疾病にも強く(真正抵抗性+圃場抵抗性),紛状そうか病にも強い。しかも現在栽培されている澱粉原料用品種「紅丸」などより多収で,澱粉の品質も優れているので,北海道における澱粉原料用の奨励品種に採用して、ばれいしょ作のみならず畑作の安定を図りたい。

4.普及見込地帯
 北海道の澱粉原料用ばれいしょ栽培地帯、とくにジャガイモシストセンチュウ発生地帯に普及を優先する。

5.栽培上の注意
 1)種いも生産は無線虫ほ場で行うこと。
 2)線虫密度の高いほ場では減収するので,輪作,殺線虫剤施用などの手段を削ること。
 3)施肥量,栽植密度などの栽培管理は「紅丸」、「農林1号」など澱粉原料用品種に準じて行う。
 4)塊茎形成が遅く、初期の肥大が劣るので早植,又は浴光催芽により生育の{足進を図る。
 5)線虫抵抗性の系統あって連作はその他の土壌病害を増加させるので,てん菜,豆類,麦などとの輪作を守ること。