【指導参考事項】
1.課題の分類  野菜 タマネギ 繁 殖
2.研究課題名  タマネギの採種技術の改善
          ハウス採種栽培における被覆資材の種類と採種量
3.期  間  昭和59〜60年
4.担  当  北海道農試作二・園作2研
5.予算区分  経  常
6.協力・分担関係  富良野協同農産

7.目  的
 F1品種のハウス採種栽培における花球の日焼け防止と安定採種を図るために有効な被覆資材の種類について検討する。

8.試験方法
 1)富良野協同農産ほ場のF1「フラヌイ」の採種ハウスを供試し、ハウス被覆資材の種類と採種量について検討する。
2)供試被覆資材: 59年: ポリエチレンフイルム、シルバータフペル3000S、ムラサキエース、タフベル4000N。
60年: ポリエチレンフイルム、シルバータフペル3000S、同3500S、タフ
ベル4000N、ベルツーキ900N、ポリエチレンフイルム+シルバー夕フベ
ル3000S、同+白色水性ペイント塗布。
3)供試ハウス:間口6m×長さ50及び100m、試験規模:1区6m×10m(60㎡)反復なし。
4)耕種概要:母球定植(59年:4月25日、60年:4月28日、被覆始期:59年7月19日、
               60年:7月10日、採種:59年:8月28日、60年:8月30日)。

9.試験結果の概要
 1)夏期異常高温と干ばつで露地条件下でも花球に日焼けが発生した2か年の試験から、被覆下における花球の日焼け発生は明らかで、その程度は被覆資材の種類、畦の位置によって異なった。
 2)高温条件下における花球の日焼け防止効果は遮光被覆資材で日中の昇温抑制効果のあったシルパー夕フベル3000S及び3500Sが最も高く、ハウス内気温が戸外よりも高く経過したポリエチレンフイルム、タフベル、ベルツーキ、ムラサキエース等は日焼けが助長された。
 3)畦の位置と日焼けとの関係は、南北方向のハウスに対して西側が東側よりも日焼け程度が高かった。
 4)花球の日焼けと採種量との間には高い負の相関関係が認められ、日焼け程度が高い程採種量は減少した。
 5)1000粒重量、発芽勢、発芽率に対する被覆資材の影響は小さく、稔実種子に対する日焼けの影響は小さいと考えられた。
 6)以上の結果から、夏期高温条件下におけるタマネギの花球の日焼けを防止し、採種量を増加させるためのハウス被覆資材としては、シルバータフペル3000S、同3500Sが有効である。なお、ポリエチレンフィルム被覆ハウスで簡易に日焼けを防止するためには、日中の高温時に日焼けの発生し易いハウス西側をシルバータブペルなどの遮光被覆資材で日よけを行なうのが有効と考えられた。

10.主要成果の具体的数字

第1図 日焼け程度と採種量との関係
  *0:なし、1:直径1.5cm以下、2:同1.5〜2.0cm、3:同2.0cm以上

第2表 採種量に及ぼすハウス被覆資材の影響
被覆資材の種類 昭和59年(g/2株) 昭和60年(g/3株)
うねの位置 うねの位置
西 西〜中 中〜東 平均 西 西〜中 中〜東 平均
露  地         10.75 17.73 18.72 21.78 18.91 19.29
ムラサキエース 10.26 10.31 11.25 12.00 10.96 - - - - -
ベルツーキ900N - - - - - 14.17 17.64 19.09 23.51 18.60
タフベル4000N 7.64 8.99 9.45 10.98 9.27 14.82 14.04 17.10 18.15 16.03
タフベル3000S 11.51 12.27 14.01 13.70 12.87 18.19 21.87 19.10 19.83 19.75
タフベル3500S - - - - - 19.07 19.19 21.04 18.57 19.47
ポリ+ペイント - - - - - 19.04 21.58 15.73 16.10 18.04
ポリ+3000S - - - - - 17.04 16.75 16.04 15.94 16.45
ポリエチレン 9.47 11.41 12.19 12.74 11.44 17.61 16.93 15.64 20.09 15.57
平  均 9.72 10.75 11.73 12.36 11.14 17.21 18.30 18.19 18.89 18.15

11.今後の問題点
  不良環境条件下(日照不足、低温など)における安定採種のための被覆資材の検討。

12.普及指導上の注意事項
  シルバー夕フペルの被覆は日焼け防止には効果を示すが、日照不足、低温などの不良条件下では採種性にマイナスの影響が予想されるので、本条件下での使用は避ける。