【指導参考事項】
1.課題の分類  トマト 栽培一般
2.研究謀題名  施設野菜の新作付方式に関する試製
 (1)ハウス無加温半促成スイートコーンと夏秋穫りファースト系トマトの組合せについて
   Ⅱ 作型確立試験
   ②夏秋穫りファースト系トマト
3.期  間  昭和58〜60年
4.担  当  道南農試・園芸科
5.予算区分  道  単
6.協力分担  道南農試・土壌肥料科

7.目  的
 スイートコーンの無加温半促成栽培と、効率的に組合うファースト系トマトの夏秋穫り作型の確立をはかる。

8.試験方法
①試験区別
  1)整枝法  (図1)
   主枝一本仕立(第6〜8花房で摘芯、斜誘引)
   連続二段摘芯(主枝を二段で摘芯し、側枝を伸長させ次々と主枝に代替していく)
   側枝穫り  (第5花房で摘芯し、第3・4花房下の側枝を伸長させ着果させる)
  2)品種比較
   ファーストパワー、ミニファースト501、ファーストカスタム502、瑞秀、セレナーデ、東京ファースト、岐阜ファースト、愛知ファーストなど
②栽培法
 供試品種  ファーストカスタム502
 は  種  5月下旬
 定  植  7月上旬
 栽植密度  200株/a(58・59年)、300株/a(60年)
 施肥量   整枝法=定植後30日にN・P・Kとも 1.Okg/a
        品種比較=定植時にN・P・Kとも 2.Okg/a

9.結果の概要
①整枝法
  ファーストカスタム502の株当り収量では、側枝穫り>連続摘芯>主枝一本仕立であった。しかし、単位面積当りに換算すると密植(300株/a)とした主枝一本仕立区が、疎植である連続摘芯、側枝穫り区(200株/a)より多収であった。(図2)
②品種比較(表1)
  1)収穫始早いのは「ファーストパワー」であった。
  2)上物一果重が大きいのは、「ファーストパワー」・「耐病ファースト」・「セレナーデ」などであったが、これらの品種は乱形果の発生が多かった。
  3)果実の尖りが大きな品種は、「ファーストパワー」・「温室ファースト」・「セレナーデ」・「耐病ファースト」・「愛知ファースト」であった。
  4)収量的に安定していたのは、「ファーストカスタム502」・「ミニファースト501」であった。
③ハウス無加揖半促成スイートコーン後作の作型としては、収穫可能段数は第5果房までと考えられた。
 以上により、整枝法は主枝一本仕立・5枝摘芯、品種は「ファーストカスタム502」・「ミニファースト501」が適していると考えられた。 

10.成果の具体的数字


図1 トマトの整技法


図2 ファースト系トマトの整技法と収量(80年)

表1 ファースト系トマトの品種と収量

品種名 総収量 総果数 上物
収量
(同左比) 上物
一果重
下物
収量
規格外
収量
未熟果
収量
収穫始 糖度 酸度
58 ファースト・パワー kg/a
579

1,875
kg/a
150
50 g
261
kg/a
205
kg/a
187
kg/a
37
月日
8.17
%
3.5
%
0.36
TVR-2 547 3,225 305 102 163 51 98 93 22 3.1 0.33
瑞秀 862 4,100 376 126 183 105 172 209 22 3.1 0.39
温室ファースト 563 1,775 85 28 263 200 230 48 22 2.9 0.33
ミニファースト501 723 3,375 351 117 195 121 140 111 19 3.6 0.37
ファーストカスタム502 748 3,400 438 146 199 83 117 110 22 4.2 0.37
天光 706 3,275 353 118 186 178 96 79 19 2.9 0.34
セレナーデ 586 2,025 107 36 252 304 158 17 19 3.2 0.37
耐病ファースト 719 2,775 216 72 240 235 204 65 19 2.6 0.28
東京ファースト 649 3,300 351 117 192 131 113 54 24 4.8 0.33
岐阜ファースト 668 3,175 322 108 208 108 141 97 22 4.5 0.43
愛知ファースト 727 2,375 188 63 251 230 212 98 22 2.9 0.34
(強力改良秀光) 715 2,775 299 (100) 214 91 289 35 24 3.0 0.32

ファースト系トマト夏秋獲り作型表

11.今後の問題点

12.普及指導上の注意事項
 裂果防止のため、土壌水分等に留意すること