【指導参考事項】
1.課題の分類  野 菜 流通利用技術
2.研究課題名  夏野菜の流通技術改善試験
           夏野菜道外輸送実態調査・実験
3.期   間  昭和60年(昭和57〜62年)
4.担   当  中央農試園芸部加工科
5.予算区分  道単
6.協力分担  夏期移出野菜流通協議会

7.目  的
 道外出荷における輸送条件の実態を明らかにし、輸送条件、方法の改善をはかる。

8.試験研究方法
(1)グリーンアスパラガスの航空輸送 6月18〜19日に留寿都村から東京まで普通コンテナ、保冷シート付普通コンテナ、簡易保冷コンテナに670〜775kg積載して輸送した。容器はDB、EPS、FD(2種類)、包装は結束・無包装・トレー・ストレッチを比較した。
(2)キャベツ、ダイコンのトラック輸送 7月30日〜8月1日に東神楽町から東京まで保冷車および保冷シート(トーレペフシート8mm)付幌車で輸送した。ドライアイスを120kg使用した。
(3)スイートコーンの国鉄コンテナ輸送 8月28日〜30日に千歳から東京まで保冷コンテナおよび保冷シート(ハイピーシートクールエース8mm)付汎用コンテナで輸送した。ドライアイスを60kg使用した。
(4)ニンジン、ダイコンの国鉄コンテナおよび保冷シート付幌車による輸送 9月11日〜13日に石狩町から東京まで保冷コンテナ、保冷シート付汎用コンテナおよび保冷シート付幌車で輸送した。ドライアイスをコンテナに63kg、幌車に143kg使用した。
(5)ドライアイス使用時の炭酸ガス濃度調査 保冷シート付汎用コンテナでドライアイスを使用してキャベツを輸送した場合の内部CO2濃度をガスクロで測定調査した。ドライアイス57kg使用。
  外気温、コンテナないし車内温、品温は熱電対で測定し、フィールドメモリーで記録した。

9.結果の概要・要約
①移出野菜の一部に品いたみ、品質低下がみられた。段ポール箱のつぶれが目立った。
②輸送環境 6月:産地から空港まで22〜26℃、機内は21〜25℃、市場内夜間気温は18℃だった。7〜8月:道内でも30℃をこえた。フェリー内は22〜27℃だった。八戸から東京までの間で30℃以上の中を10時間以上走行した。最高気温は38℃をこえた。市場内は7月末は28℃、8月末は24℃だった。9月:道内の日中は30℃をこえたが夜間は12〜14℃になった。市場内は24℃だった。
③輸送手段 航空機:普通コンテナ内は気温が高く、湿度が低かった。保冷シートは気温上昇を抑えるのに有効だった。保冷コンテナは作業性もよく鮮度保持に有効だった。国鉄保冷コンテナ:断熱性高く、ドライアイスを60〜90kg使用すれぱダイコン、キャベツ、ニンジン、スイートコーンに利用できる。汎用コンテナ:保冷シートを装着しドライアイスを70〜90kg使用すれぱダイコン、キャベツ、ニンジンに利用できる。涼しい日にはスイートコーンも可。保冷車:ドライアイス10〜15kg/tでキャベツ、ダイコン、ニンジツ、スイートコーンに使用できる。幌車:シートを装着しドライアイス12〜15kg/tでキャベツ、ダイコン、ニンジンに利用できる。

10.主要成果の具体的数字
保冷シート付幌車内の気温・湿度・キャベツ品温の推移

ニンジン品温の推移(保冷コンテナと保冷シート付汎用コンテナの比較)

11.今後の問題点
 ①ドライアイス使用時のCO2濃度障害の確認

12.普及指導上の注意事項
 ①輸送性の良い高品質野菜の栽培・収穫
 ②規格を統一し厳格な選別を行い良品を出荷する。
 ③予冷は正しい方法で完全に行う。