【指導参考事項】
1 課題の分類  ダイコン、キャベツ 流通技術
2 研究課題名  冬野菜の長期貯蔵に関する試験
         3.埋土、雪中貯蔵に関する試験
3 期  間  昭和57〜59年
4 担  当  中央農試園芸部花きそ菜科
5 予算区分  道 単
6 協力分担  加工料

7 目  的
  埋土雪中貯蔵技術の安定化に寄与しようとする。

8 試験研究方法
(1)ダイコン  供試品種「耐病総太り」
 ① 対照とした貯蔵法
   ダイコンは土付き(収穫時土落ししない)
   埋土溝 幅60㎝、深さ30㎝
   ダイコンの肩部覆土、葉部露出
 ② 処理内容
  溝の幅、深さ、覆土の有無、葉付の有無、積み方、資材の利用など
(2)キャベツ  供試品種「晩抽理想」
 ① 対照とした貯蔵法
   外葉4〜5枚付、4段4列
   下段5列の2段積み
 ② 処理内容
  積み方、段数、外葉の多少、資材の利用、覆土の有無など

9 結果の概要・要約
(1)気温の低下と積雪深の関係により貯蔵結果が大きく左右されるが、貯蔵初期の品温を速かに下げること、加えて、充分な積雪深(30㎝以上)に達するまでの間、凍結防止のための工夫が必要である。
(2)ダイコンの貯蔵
 ①埋土溝の深さ・幅:溝は深いほど凍結の危険性は少なくなるが、初期の品温低下が遅い。また溝の幅を広げると温度むらが大きく、中央部で凍結の危険が高まる。
 ②積み方:立置は肩部に凍害を受けやすいが初期の温度低下が早く、かつ均一な貯蔵結果を期待できる。
 ③覆土および茎葉の有無:覆土は厚い程、凍害の恐れは少ないが、初期の温度低下が遅い。茎葉は通気性のある優れた保温材として利用できる。
(3)キャベツの貯蔵
 ①積み方:二段積が実用的と考えられる。堆積段が多くなるに従い、上下の品質差が大きく、また最上段の凍結の危険性が高まる。
 ②外葉の調整、黒タフベルの被覆:外葉を多くつけておくと凍結の害は軽減されるが品温低下が遅れる。黒タフベルの被覆により、凍結の害は軽減され、初期の温度低下も比較的早い。

10 主要成果の具体的数字
表1 ダイコン貯蔵結果
年度 No. 処理区別 月別温度経過(℃) 凍結または
肩部黒変
黒斑 内部変色
11月 12月 1月 2月
58
(11月7日

3月1日)
1 対照(埋土) 6.5 0.9 -0.8 -0.3 43 7 10
2 覆土 8.0 2.4 0.6 0.6 43 3 10
3 埋土巾120cm 8.0 0.6 0.4 0.3 57 20 23
4 埋土深50cm 7.0 2.8 1.9 1.5 40 3 13
5 茎葉切除、覆土 5.3 0.1 -0.8 -0.4 37 43 20
6 盛土 5.9 1.4 0.5 0.4 43 13 13
59
(11月5日

3月7日)
1 対照(埋土) 4.3 2.4 1.7 1.0 43 48 0
2 茎葉切除、覆土 5.3 2.0 0.9 0.2 13 13 5
3 盛土 1.5 0.5 0.2 0.2 45 15 10
4 盛土、茎葉切除、覆土 4.5 1.5 0.3 0.3 25 40 0
5 資材内* 2.2 0.5 -0.9 -0.5 100 - -
*100mm厚発砲スチロール180cm×90cm×60cm(高)の枠内で麦稈+20mm発砲スチロールのフタ

表2 キャベツ貯蔵結果
年度 No. 処理区別 月別温度経過(℃) 内部
凍結
調整後
緑色
調整割合
(%)
11月 12月 1月 2月
58
(11月8日

3月1日)
1 対照(雪中) 4.3 -1.7 -2.3 -1.5 33 42 90
2 4段積み 4.1 -1.0 -1.7 -1.7 34 43 89
3 全外葉付 5.0 -0.7 -1.4 -0.9 24 22 91
4 黒タフベル被覆 4.4 -1.5 -2.1 -1.4 19 54 90
5 過熱(6、20は種)         15 22 91
6 未熟(7、10は種)         3 58 85
59
(11月9日

3月7日)
1 対照(雪中) -0.2 -1.1 -2.3 -1.2 23 55 84
2 黒タフベル被覆 -0.1 -0.7 -1.9 -0.9 5 55 84
3 資材内* -0.3 -1.7 -2.5 -0.5 40 38 87
*60mm厚発泡スチロールでダイコン同様の枠内、フタとの間はキャベツ外葉を充てん。


図1 半旬別平均気温、積雪深の変動(47〜58年度)


図2 積雪深と温度変化(59年度)

11 今後の問題点
 少積雪深あるいは不安定積雪深、極低温地における低コスト、簡易貯蔵法の開発

12 成果の取扱い  (普及指導上の注意)
 冬期間の気象経過、とくに積雪深と気温の経過の特徴を把握し、有効積雪深(30cm以上)の得られない地帯や少積雪深(30cm未満)状態で極低温(平均気温-10℃、最低気温-15℃)の続く地帯での埋土は凍害を受けないよう覆土を十分にする。