【指導参考事項】
1.課題の分類 施 設 2.研究課題名 夏野菜のマルチ機械化栽培 −タマネギの形状選別機− 3.期 間 昭和60年〜 4.担 当 中央農試農業機械部 5.予算区分 道 単 6.協力分担 な し |
7.目 的
流通野菜の規格分級と選別工程は、価格の安定化と付加価値を高める上で重要な工程である。施設用形状選別機によるタマネギの分級精度を明らかにし、施設運営上の参考に供する。
8.試験方法
1)試験期日 昭和60年12月
2)試験場所 北空知広域農業共同組合 タマネギ選別施設(深川市)
3)供試選別機 センサーカメラ方式形状選別機[株式会社 マキ製作所]
4)供試材料 昭和60年産 品種 そらち黄
5)試験方法
(1)施設調査 各部容量、系列仕様、構造、選別機構
(2)選別能力 センサー部の負債とリターン率
(3)選別精度 階級別選別精度
(4)工程性能 各部流量、製品出来高量、処理能力、作業人員
(5)組成分析 製品歩留
9.結果の概要
1)施設概要;処理能力80ton/日の選別施設で荷受けはハードコンテナ扱いで行う。原料は除塵機を通り手選工程で腐敗玉、損傷玉が選別され整列されて6条のセンサーカメラに送られる。テレビカメラによるイメージセンサ方式で外形を幅、長さの十字に測定しコンピュータ演算により最長径、面積測定され、階級別に判別され、所定の階級ラインに仕分けられる。2玉接触、外皮、タッピング不良等によるセンサー部の計測エラーは規格外と判定され手選部に戻され再計測される。
センサーカメラ部はスリットの投光・受光装置があり、タマネギの通過による遮光領域の画素数の累計で最長径を計測する。計測感量は0.5㎜である(表1)。
2)選別能力;センサーカメラ部の選別能力は3個/secを標準としている。センサー部ベルコン速度は42cm/secであるが、人為的に送り量を変えリターン率(単位時間内の総供給量に対する規格外リターン量の割合)を計測した。表2の如く2.2〜3.7個/secでは、規格外リターン率は一定で能力に明らかな差は認められなかった。リターン玉の主原因は外皮のめくれによる隣接玉との接触である。
3)選別精度;表3に示す材料を用い原料投入流量14.9ton/h、センサーカメラ部通過流量9.1ton/hr、リターン量1ton/hrで処理した結果、各箱とも21.3kgを満足し、M玉,玉,
玉,とも高い分級精度を示した。LL玉では外皮のめくれたものが多く、77.5%となったが、外見上のばらつきは少なかった(表4)。
4)工程性能;約30tonの原料タマネギを供試し、2時間の工程性能を調査した。結果は、表5に示す如く、製品歩留り47.8%、製品排出能力7.1ton/hで669箱処理した。作業人員は成函と運搬を含め24人で、規格外品40%は加工用として仕分けされた。
10.主要成果の具体的数字
表1 供試施設概略
選別機名 | タマネギ選別施設 |
原料供給部 | ハードコンテナ油圧傾斜式 7.5kw |
除塵部 | ローラコンベア 0.7kw |
ブラシコンベア | タマネギ外皮クリーニングブラシ |
手選別部 | 3.5m 両側 計6名 |
整列方式 | 6条振り分けブラシ式 1.9kw |
計測部供給 | バイブレートフィーダ 0.15kw×6 |
センサーカメラ部 | 60A-100v |
配果コンベア | 6条式 FIT式 12m 3.7kw |
総電力量 | 70A,78.9kw 集皮.暖房含 |
表2 センサー部負荷特性
試験No. | 1 | 2 | 3 | |
センサー通過量 | 個/min | 49 | 132 | 223 |
規格外回収量 | 個/min | 3 | 19 | 32 |
〃 | kg/min | 1.7 | 5.0 | 8.8 |
規格外発生割合 | 個/min | 6.1 | 14.4 | 14.3 |
送り能力 | 個/min | 0.8 | 2.2 | 3.7 |
表3 供試材料粗成
調査時刻 | 1:30 | 14:30 | |||
総重量 | 47.48kg | 43.00kg | |||
構成割合 | 個数 | 重量 | 個数 | 重量 | |
内訳 | 良品 | % 37.4 |
% 38.1 |
% 45.2 |
% 45.8 |
2級品 | 50.3 | 48.0 | 48.6 | 46.3 | |
腐れ | 12.3 | 13.7 | 6.2 | 7.7 | |
皮 | - | 0.2 | - | 0.2 |
表4 製品内訳
箱規格 | M | ![]() |
![]() |
LL | |
1箱重量kg | 21.4 | 21.3 | 21.3 | 21.4 | |
1箱個数 | 133 | 92 | 70 | 56 | |
平均直径 | 66.4±2.3 | 77.1±3.9 | 84.2±4.0 | 90.7±3.6 | |
A/B比※ | 1.03 | 1.04 | 1.06 | 1.09 | |
平均重量gr | 152.7±14.1 | 225.9±27.2 | 297.0±36.2 | 370.5±32.6 | |
構 成 割 合 (個%) |
M玉% | 94.4 | 0 | 0 | 0 |
玉% | 5.6 | 82.6 | 2.1 | 0 | |
玉% | 0 | 12.0 | 95.0 | 22.5 | |
LL玉% | 0 | 5.4 | 2.9 | 77.5 |
※
表5 工程試験
品種 | そらち黄(昭和60年深川) | ||||
センサー部選別流量 | 1.7〜2.6個/sec | ||||
測定時間 | 1時間59分 | ||||
投入原料kg | 29,776.0 | ||||
製 品 内 訳 |
M | kg | 箱 | 342.8kg | 16箱 |
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〃 | 〃 | 3,506.3 | 165 | |
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〃 | 〃 | 7,333.0 | 345 | |
LL | 〃 | 〃 | 3,053.1 | 143 | |
合計 | 〃 | 〃 | 14,235.2 | 669 | |
規格外・損傷(腐)kg | 11,850.0 | (3,680.0) | |||
製品歩留% | 47.8 | ||||
毎時処理能力ton/hr | 投入14.9,製品7.1 | ||||
作業人員 | 男 7人,女 17人 |
11.普及上の留意点
センサー部にタッピン不良品のトリミング性能があるが、収穫時のタッピング精度を高めること。