【普及奨励事項】
1.課   題  優良品種候補
2.場 所 名
 北海道立十勝農業試験場,北見農業試験場,上川農業試験場,天北農業試験場,
 根釧農業試験場,農林水産省北海道農業試験場
3.優良品種候補名
  サイレージ用とうもろこし「PH2202」(デイア)

4.来   歴
 組合せ:単交配(デント×フリント 構成系統名は不明)
 育成者:パイオニア社(フランス)
 導入者:ホクレン
 登 録:OECD(1980年)

5.特性の概要
 1)絹糸抽出期および刈取時熟度
 「C535」に比較して絹糸抽出期は1〜2日遅く、また刈取時の熟度もやや遅い。乾物率は「C535」よりやや高い早生の晩に属する。
 2)耐倒伏性
 「C535」よりまさる。
 3)発芽および初期生育
 「C535」並かやや劣る。
 4)収量性および乾物特性
  TDN収量は「C535」に比べて全般にやや勝る。乾物中のTDNは同程度である。
 5)形態的特性
  稈長はほぼ「C535」並である。着雌穂高は「C535」よりやや高い。
 6)耐病性
  すす紋病抵抗性は「C535」と同様に弱く,ごま葉枯病抵抗性は「ホクユウ」並に弱い。

6.試験成績



年次
(昭)
形質/
品種
発芽

(月
日)
初期
生育
(1良〜
5否)
絹糸
抽出

(月
日)
収穫時熟度 倒伏
(含折損)
(%)
収量(kg/10a) 乾物

(%)
乾雌
穂重
割合
(%)
乾物

TDN
(%)
乾総
TDN
(%)



57

60
PH2202 5.24 2.3 8.8 黄初〜中 6.7 1,126 810 107 26.6 50.5 71.8
C535 24 2.1 7 黄中 15.1 1,041 754 100 25.1 52.5 72.3



58

60
PH2202 5.31 1.8 8.12 黄初 0 1,229 874 101 26.5 45.0 70.3
C535 31 2.5 13 黄初 0 1,227 865 100 25.2 43.0 69.7



58

60
PH2202 5.27 (2.5)2 7.30 (黄後)1 0.2 (1,317)1 (941)1 (114)1 (28.5)1 (49.8)1 (71.5)1
C535 27 (2.0)2 29 (黄後〜完)1 14.6 (1.168)1 (829)1 (100)1 (26.1)1 (47.5)1 (70.9)1



58 PH2202 6.11 3 9.24 未乳 0 384 223 134 13.4 0 58.2
C535 11 4 24 未乳 0 287 167 100 11.8 0 58.2



58 PH2202 6.7 - 8.22 未乳 14.5 379 230 94 14.9 9.0 60.7
C535 8 - 19 未乳 29.3 400 244 100 13.4 10.8 61.0


59

60
PH2202 (6.4)3 2.0 (8.12)3 黄中 2.5 1,263 915 99 26.1 53.2 72.5
C535 ( 4)3 1.7 ( 10)3 黄初〜中 6.2 1,283 928 100 26.2 52.9 72.4


59

60
PH2202 5.27 - 7.31 黄初〜中 - 1,411 1,022 106 26.7 53.3 72.4
C535 27 - 30 黄中 - 1,334 962 100 25.0 51.8 72.1


59

60
PH2202 5.31 2.0 7.31 黄初〜中 0 1,375 984 99 26.0 49.7 71.5
C535 31 2.0 31 黄初〜中 0 1,384 993 100 24.4 49.2 71.7



60 PH2202 6.4 2.0 8.13 黄初 0 1,254 899 109 25.5 50.2 71.7
C535 4 2.0 11 黄中 0 1,131 822 100 26.0 54.1 72.7
注)上川の( )1は58・60年の2カ年平均。( )2は59年・60年の2カ年平均。忠類村の( )3は60年のみの成績。

特性検定試験成績(昭58 北農試)
品種名 すす紋病 ごま葉枯病
PH2202 3.5 3.5
C535 3.5 3.0
ホクユウ 2.5 3.5
注 Elliott&Jenkinsの指数(0無〜5甚)による。

7.普及対象地域
 十勝・網走(ただし気象条件の不良な地帯を除く)および道央北部。

8.栽培利用上の注意
 「C535」並に栽培して良い。初期生育は「C535」並かやや劣るので,肥料やけや初期の雑草に注意する。また、すす紋病の発生軽減のために適正な肥培管理を行う。

9.種子供給が可能となる時期および普及見込面積
 種子供給が可能となる時期:昭和61年 普及見込面積:5000ha 配布し得る種子量:150〜200t