【普及奨励事項】
様式4  新品種候補
ばれいしょ新品種候補系統  総合農業 作物生産 夏作物 ばれいしょ-Ⅰ-
                  北海道 畑作 ばれいしょ-育種
     北海66号の概要
                  北海道農試・作一・畑作2研

1.特性一覧表
系統名 北海66号 組合せ ツニカ×Priekulskii Ranny
特性 (長所) (短所)
1 早生、多収。
2 ジャガイモシストセンチュウ抵抗性。
3 紛状そうか病に強。
4 淡黄肉、粘質、煮くずれ極少。
1 疫病、軟腐病にやや弱い。
2 いも数多く、小粒化しやすい。
3 水煮黒変がある。
採用予定県及び
普及見込面積
北海道 :2000ha
調査地 育成地 十勝農業試験場 中央農業試験場
系統名/
形質
北海
66号
男爵薯 農林
1号
北海
66号
男爵薯 農林
1号
北海
66号
男爵薯 農林
1号
用途 食用 食用 兼用 食用 食用 兼用 食用 食用 兼用
早晩生 早生 早生 晩生 早生 早生 晩生 早生 早生 晩生
開花期(月日) 7.12 7.9 7.8 7.10 7.7 7.7 7.5 7.2 6.29
枯凋期(月日) 9.5 9.1 9.27 9.8 9.8 9.30 9.3 9.1 9.24
茎長(cm) 46 38 56 64 46 77 54 40 62
株当上いも数(コ) 11.1 8.8 8.3 11.5 9.7 9.7 11.7 9.1 9.5
上いも平均1個重(g) 95 94 129 88 90 109 97 103 124
芽の色 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫 赤紫
萌芽時葉色 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫) 緑(紫)
茎色 緑(赤紫) 緑(赤紫) 緑(赤紫) 緑(赤紫) 緑(赤紫) 緑(赤紫)
花色 赤紫 赤紫 赤紫
小葉の大きさ
自然結果
塊茎の形 扁球 扁球 扁球
皮色 白黄 白黄 白黄 白黄 白黄 白黄 白黄 白黄 白黄
生肉色 淡黄 淡黄 淡黄
肉質 やや粉 やや粉 やや粉
目の深浅
褐心・中空
水煮黒変
休眠期間 やや長 やや短 やや長 やや短 やや長 やや短



疫病 弱(r) 弱(r) 中(r) 弱(r) 弱(r) 中(r) 弱(r) 弱(r) 中(r)
塊茎腐敗
軟腐病 やや弱 やや弱 やや弱
青枯病
粉状そうか病 やや弱 やや強 やや弱 やや強 やや弱 やや強
シストセンチュウ
収量(10a/kg) 3588 2810 3560 4401 3746 4605 4317 3536 4480
標準比(%) 128 100 127 117 100 123 122 100 127
中以上いも収量 3153 2463 3373 3682 3125 4236 3644 3146 4196
標準比(%) 128 100 137 118 100 136 116 100 133
澱粉価(%) 16.1 16.1 17.4 14.5 14.6 16.5 14.9 14.5 14.9
調査年次 55-61 56-61 57-61
備考 中以上いも収量=10a当りkg


2.北海66号の特記すべき特徴
  「北海66号」は早生で「男爵薯」より20%程度多収である。肉色は淡黄色で,肉質は粘質で水煮による煮くずれが極めて少ない。
  北海道で発生しているジャガイモシストセンチュウ(寄生型R01)に抵抗性。土壌病害の1種である粉状そうか病には強い。

3.奨励品種に採用する理由
 北海道産食用ばれいしょは全国の市場販売量の46%を占めている。従来北海道産ばれいしょは白肉でやや粉質,煮くずれ性中の「男爵薯」を中心に生産されてきたが,近年調理方法,消費形態の変化に伴い,粘質で煮くずれの少い品種「メークィン」の消費が増加し,最近の10年間で40%の伸ぴを示し、北海道産食用ばれいしょの1/3を占めるようになった。
 「北海66号」ほ肉色淡黄て、肉質は枯質で煮くずれしないなど最近増えている煮物用としての特性を備えている。しかも早生,多収で,現在北海道で発生しているジャガイモシストセンチュウに抵抗性で,粉状そうか病にも強いので,北海道における食用の奨励品種に採用して,ばれいしょ作の安定を図りたい。

4.普及見込地帯
  北海道の食用ばれいしょ栽培地帯(特にジャガイモシストセンチュウ発生地帯に普及を優先する)

5.栽培上の注意
 1)施肥量,栽植密度などの栽培管理は「男爵薯」に準ずるが,密植は大きさ中以下のいも重割合を増加し,必らずしも経済収量の増加にはならないので10a当り3,500〜4,000株とする。
 2)茎がやや細く,倒伏し易いので,茎葉の軟腐病発生地帯では防除対策が必要である。
 3)疫病抵抗性は「男爵薯」並で弱。防除対策力泌要である。
 4)萌芽が「男爵薯」より早いので種いもは施設貯蔵が望ましい。