1.課題の分類 家 畜 乳 牛 管 理 |
7.目 的
カーフ・ハッチで個体別哺育した乳用雌子牛をその後のおおむね6か月齢までの育成前期,簡易育成施設により4〜6頭を1群として育成する技術を検討した。
8.試験方法
(1)簡易育成施設(育成ハッチと呼称)の試作と利用性
(2)育成ハッチ利用による乳用雌子牛の育成方法
(3)育成ハッチにおける群形成
(4)育成ハッチ収容時期の違いと,乳用雌子牛の発育
(5)育成ハッチにおける群飼育時の栄養水準と乳用雌子牛の発育
9.試験結果の概要
(1)育成ハッチは小屋組を木造とし,三方の壁と片流れ型屋根に亜鉛引波型鉄板を張り,木製スノコ床で,幅60cmの木製ストールで6区分した可動式の簡易施設であり,冬期の保温性
は低いがカーフ・ハッチと同様,衛生的環境を優先した施設である。
(2)カーフ・ハッチで哺育した乳用雌子牛を7週齢以降5か月齢まで育成ハッチで飼育した結果,増体は良好で体尺値も標準的値を示した。
(3)育成ハッチにおいて新規収容牛が群の構成牛として認知されるまでの時間は,比較的短く,速やかに新しい群形成されることが判明した。
(4)育成ハッチでの群飼開始の時期を検討した結果,6週齢時から可能なことが明らかになった。
(5)育成ハッチにおける群飼育時の栄褒水準を検討した結集,低栄養の影響は群内の週齢の低い子牛に顕著に現われた。個別飼育以上に,適正な飼料給与が必要であった。
10.主要成果の具体的数字
表1.育成ハッチにおける雌子牛の体重推移と増体量(試験2)
生時 | 週齢 | 日増体量 | |||||
7* | 12 | 17 | 21 | 哺育期 | 育成ハッチ期 | 全期 | |
46.2kg | 75.3kg | 101.9kg | 133.2kg | 153.4kg | 0.59kg | 0.80kg | 0.73kg |
表2.育成ハッチにおける新規収容牛が
群構成牛として認知されるまでの時間(試験3)
牛番号 | 79 | 81 | 83 | 76 | 87 | 86 | 78 | 84 | 平均 |
時間(分) | 35 | 58 | 105 | 82 | 48 | 16 | 78 | 170 | 74 |
表3.育成ハッチへの収容週齢の違いと雌子牛の体重及び増体量(試験4)
試験 区分 |
週齢 | 期間 日増体量 |
||||
6 | 13 | 18 | 22 | 26 | ||
6週区 | 69.6kg | 110.0kg | 136.5kg | 159.6kg | 180.6kg | 0.83kg |
13週区 | 64.8 | 103.9 | 120.9 | 146.6 | 175.7 | 0.79 |
表4.育成ハッチにおける栄養水準と雌子牛の日増体量(試験5)
試験区分 週齢 |
標準区 | 90%区 | ||
上位 | 下位 | 上位 | 下位 | |
TDN摂取割合(%)* | 99 | 92 | ||
日増体量(kg) | 0.86 | 0.76 | 0.78 | 0.62 |
平均±SD(kg) | 0.81±0.11 | 0.70±0.11 |
11.今後の問題点
(1)乳用雄子牛など肉用牛での利用,既設成牛舎で哺育した子牛における利用について,また,運動場の連続利用などと疾病発生との関係について,それぞれ試験すろ必要がある。
12.普及指導上の注意事項
(1)育成ハッチは原則としてカーフ・ハッチにおいて自家哺育した乳用雌子牛を群飼育する場合で,おおむね6か月齢まで利用する。
(2)設置場所などカーフ・ハッチの注意事項を参考にする。
(3)育成ハッチは2棟用意し,3か月齢までと,それ以降の群に分けて利用する。
(4)育成ハッチヘの収容時,子牛の健康と人工乳の採食状況を確認する。
(5)飼料の給与は北海道農業経営指標に従うが,粗飼料の品質に注意し,摂取栄養量が不足しない様注意する。