【普及奨励事項】
1 課題の分類 2 試験実施場所 農林水産省北海道農業試験場牧草第2研究室、北海道立中央農業試験場 同滝川畜産試験場、同新得畜産試験場、同北見農業試験場、 同根釧農業試験場、同天北農業試験場 3 優良品種候補名 オーチャードグラス「SB-0-7801」 |
4 来 歴
育成機関 雪印種苗㈱中央研究農場
育成経過 | ロ内外の4品種を育種材料として、昭和47年より育種を行ない、2次選抜集団 中から選抜した5エリートクローンを多交配させて昭和54年に合成第1代を採 種し、「SB-0-7801」とした。 |
5 試験方法
検定系統5系統、標準・比較品種2〜5品種系統を用いて、下記の栽培法で試験を行なった。
項目 | 北農試 | 中央農試 | 滝川農試 | 新得農試 | 北見農試 | 根釧農試 | 天北農試 | |
播種月日 | 59.7.16 | 59.5.22 | 59.8.7 | 59.7.27 | 59.8.31 | 59.6.7 | 59.5.21 | |
播種法 | 散播 | 散播 | 散播 | 条播 | 条播 | 条播 | 条播 | |
刈 取 回 数 |
59 | - | - | - | - | - | 2 | 2 |
60 | 4 | 3 | 3a | 3b | 3 | 3 | 3 | |
61 | 3 | 3a | 3a | 3b | 3 | 3b | 3c |
6 特性の概要
(1) 「SB-0-7801」の出穂始日(7場所、2年平均)は6月13日で、 「オカミドリ」より約7日おそく、出穂期は6月22.3日で「オカミドリ」より9日おそい。ヘイキソグに比べても出穂始で3日、出穂期で6日程度遅く、北海道の既存品種に比べて、より遅い出穂期であり、極晩生に属する。
(2)乾物収量は、7場所の平均指数で、「オカミドリ」対比、2年目102、3年目110、試験期間中の平均でl05を示した。とくに、収量指数が高かったのは、早晩性別の刈取の場所で、出穂期に刈取ると多収を示す。収量構成では1番草の比率が高く、2番草の比率がやや低い。
(3)耐病性は雲形病には強くないがすじ葉枯病、黒さび病には「オカミドリ」より抵抗性を示す。
(4)越冬性は、全場所を平均してみると、60年は「オカミドリ」と同程度、61年は「オカミドリ」よりすぐれた越冬性を示し、越冬性は「ケイ」と「オカミドリ」の間に位置する。しかし、雪腐菌核病が多発した根釧農試の60年の越冬状況は「オカミドリ」より低かった。
(5)1番草の出穂数は、「オカミドリ」より低い傾向を示す。
(6)刈取時の草丈は、「オカミドリ」と同程度である。
(7)葉色は淡緑色を示し、草型は「オカミドリ」より直立型を示す。
第1表 出穂始日
年次 | 場所 | SB-0-7801 | オカミドリ | ヘイキング | ケイ | SB-0-7801との差 | ||
6月の日 | オカミドリ | ヘイキング | ケイ | |||||
昭 和 61 ・ 62 年 |
北農試 | 5.0 | 4.0 | 5.5 | 3.5 | 1.0 | -0.5 | 1.5 |
中央農試 | 6.5 | 1.0 | 3.5 | - | 5.5 | 3.0 | - | |
滝川畜試 | 12.5 | 5.0 | 7.0 | - | 7.5 | 5.5 | - | |
新得畜試 | 15.0 | 7.5 | - | 5.5 | 7.5 | - | 9.5 | |
北見農試 | 19.0 | 8.0 | - | 6.0 | 11.0 | - | 13.0 | |
根釧農試 | 24.0 | 15.5 | - | 11.0 | 8.5 | - | 13.0 | |
天北農試 | 13.5 | 6.5 | 9.5 | - | 7.0 | 4.0 | ||
平均値 | 13.6 | 6.8 | 6.4 | 6.5 | 6.9 | 3.0 | 9.3 |
第2表 合計乾物収量(対オカミドリ百分比)
場所 | SB-0-7801 | オカミドリ 実数kg/a |
ヘイキング | ケイ | 調査年 |
北農試 | 101 | 150.2 | 90 | 99 | 60.61年 |
中央農試 | 95 | 240.6 | 95 | - | 〃 |
滝川畜試 | 117 | 189.3 | 89 | - | 〃 |
新得畜試 | 111 | 250.7 | - | 97 | 〃 |
北見農試 | 101 | 189.1 | - | 105 | 〃 |
根釧農試 | 106 | 242.4 | - | 103 | 〃 |
天北農試 | 103 | 271.2 | 96 | - | 59.60.61年 |
平均値 | 105 | 219.1 | 93 | 101 | 〃 |
第3表 耐病性(昭和59〜61年)
病害 | SB-0-7801 | オカミドリ | ヘイキング | ケイ | 備考 |
大粒菌核病 | 1.1 | 1.1 | - | 1.0 | 1場所延 1回調査 |
条葉枯病 | 1.3 | 2.0 | 2.2 | 2.3 | 7場所延24 〃 |
雲形病 | 2.3 | 2.0 | 1.3 | 2.1 | 3場所延 5 〃 |
うどんこ病 | 1.4 | 1.7 | - | 2.1 | 2場所延 4 〃 |
黒さび病 | 2.0 | 2.8 | 3.0 | 2.5 | 1場所延 1 〃 |
総合病害 | 1.4 | 1.6 | 2.0 | 1.8 | 3場所延 8 〃 |
7.普及対象地域並びに普及見込面積:北海道全域。普及見込面積は約10万ha。
8.栽培利用上の留意点:1番草が多収で、主として採草利用に適する。極晩生品種なので、1番草は早刈りにならないように注意する。
9.種子供給が可能となる時期:現在保有中の育種家種子は56.5kgである。市販種子の供給開始予定は、昭和64年である。