【普及参考事項】

1.課題の分類
総合農業 作業技術 調製
北海道 農業物理 5-(2)

2.研究課題名
  豆類の高品質対応調製・貯蔵技術改善試験
  2)ソイビーンクリーナ(連続式)に関する試験

3.予算区分  道 費

4.研究期間  昭和62年

5.担  当  中央農試農業機械部

6.協力分担

7.目的
 近年・転換大豆畑に普通型汎用コンバインが導入されているが、その際汚粒発生が大きな問題として取りあげられている。昭和61年度にモップを使ったバッチ式クリーナを完成させた。これは研磨機とし兼用できるものであったが、バッチ式の為能力に限界があった。今回、能力及び洗浄性の向上を目的に連続式ソイビーンクリーナを開発した。ここにその性能を明らかにし、導入、利用上の参考に供する。

8.試験研究方法
 1)供試機  YBC-70(株式会社 山本製作所)
 2)試験期日及び場所  昭和62年12月、今金町農協穀類調製工場
 3)供試大豆  千歳産大豆 キタホマレ(カブリ)、ツルコガネ(汚粒)、昭和62年産
 4)試験方法  
 ①洗浄性能  上下クリーニングベルトの間隙を25mm、23mmに設定し各々60kg供試した。その時の各部温度及び排水量を測定した。また、洗浄効果を調べるため、処理前後の色差及び組成を測定した。各々の等級については北海道食糧事務所栗山支所に依頼した。
 ②工程性能  ツルコガネ4俵(240kg)をクリーナで2回処理したものとキタホマレ4俵(240kg)をまず1回処理した後、1俵(60kg)を再度処理した。その時の能力及び燃料消費量を測定した。

9.結果の概要・要約
 1)供試機概要  本機は大豆の供給方向に対し、正転する下クリーニングベルトと逆転する上クリーニンクベルトの間隙を通過する間に大豆が洗浄される構造である。上下クリーニングベルトは特殊スポンジ製である。ベルトに付着した汚れは洗浄水と洗浄ブラシで洗い流される。洗浄された大豆はガンタイプバーナを供えた水切乾燥装置で強制的に乾燥させられる。
 2)洗浄性能  試験№1,2では上下クリーニングベルトの間隙を25㎜に№3,4では23mmに設定した。試験№1ではキタホマレ(カブリ)を供試した。処理後の色差値L(明度)、b(+方向:黄-方向:青)が大きくなり、洗浄効果が認められた。また、しわ粒、損傷粒の組成変化も小さく、処理前の4等級から3等級に格上げされた。試験№3ではツルコガネを供試し、№4では№3の処理大豆を再処理した。1回処理では色差値は大きくなるが、等級を上げる効果は小さかった(試験№2、3)。しかし、2回処理するとしわ粒の割合が5%大きくなり、整粒率が低下したが洗浄効果が認められ、規格外が3等級に格上げされた。含水率はいずれの試験でも、洗浄後、1%程度上昇するが乾燥後は処理前とあまり変化はなかった。
 3)工程性能  ルルコガネは2回処理した時の総投入量は480kgで能率は582.8kgであった。素俵で規格外であったが、2回処理で3等級に格上げされた。キタホマレでは総投入量300㎏で能率568.4kg/hであった。色差L値が2.4大きくなり、3等級の下から上になって洗浄効果が認められた。

10.成果の具体的数字

表1.処理量と処理条件
品 種 試験№ ベルト間隙
(㎜)
投入量
(㎏)
処理時間
(sac)
処理量
(㎏/h)
排水量
(㎏)
排水濃度
(ppm)
各部温度
(℃)
室内温度
(%.RH)
室温 熱風 排出
穀温
排水
キタホマレ 1 25 60 371 582 3.53 3.45 205 348 2.3 31.6 19.9 9.4 67
ツルコガネ 2 60 360 600 2.17 2.32 175 721 2.3 31.9 19.8 8.7 66
3 23 60 364 593 1.03 1.33 1020 1508 4.2 35.0 24.5 9.2 59
4 60 362 597 1.19 0.64 1166 1517 4.1 36.4 29.9 8.9 59

表2.色差値及び組成
品 種 試験№ 区 分 色 差 値 組 成 (%) 含水率 等 級 形 質
L a b 整 粒 しわ粒 破砕粒 裂皮粒 損傷粒 (%.w.b.)
キタホマレ 1 素俵 58.7 2.3 19.3 90.2 5.4 0.3 0.5 3.6 16.6 4
洗浄後       87.0 8.9 0.0 1.5 2.6 18.4    
乾燥後 59.2 1.9 21.0 89.6 5.6 0.5 1.0 3.7 16.9 3
ツルコガネ 2 素俵 60.2 2.3 19.1 89.5 5.9 0.2 4.1 0.3 19.8  
洗浄後       83.5 8.9 0.1 7.2 0.4 20.4    
乾燥後 63.4 1.7 20.2 85.1 10.1 0.4 3.9 0.5 20.0  
3 素俵 60.9 2.2 19.2 89.3 6.9 0.1 3.7 0.1 18.3  
洗浄後       79.5 15.0 0.7 4.7 0.0 19.7    
乾燥後 63.4 1.6 20.2 83.4 10.1 0.0 5.8 0.7 19.3 4
4 原料 63.5 1.6 19.5 81.0 8.8 0.3 8.7 1.2 18.6  
洗浄後       71.9 19.5 0.7 6.9 0.9 18.9    
乾燥後 66.4 1.3 20.2 72.4 13.8 0.5 11.5 1.8 18.5 3
工程1 素俵 58.7 2.1 17.9 87.8 2.9 0.0 6.6 2.7 17.7  
洗浄①       74.0 17.6 0.3 6.9 1.3 19.0    
乾燥① 63.1 1.9 19.7 85.3 8.0 0.3 5.7 0.7 18.7  
洗浄②       75.4 18.1 0.3 5.9 0.3 18.9    
乾燥② 65.2 1.3 20.1 82.7 10.3 0.1 5.3 1.7 18.1 3
キタホマレ 工程2 素俵 59.2 2.1 19.6 87.7 8.7 1.2 0.0 2.3 15.6 3
洗浄①       82.8 11.6 1.7 0.0 3.8 15.8    
乾燥① 61.8 1.6 21.7 88.9 6.9 1.0 0.4 2.7 15.5 3
洗浄②       77.7 14.2 0.5 1.7 5.8 15.8    
乾燥② 61.6 1.5 21.6 84.7 10.1 0.7 1.4 3.0 15.4 3

表3.工程試験結果
品 種 投入量×回数
(㎏)
総投入量
(㎏)
処理時間
(min.S)
能 率
(㎏/h)
燃料消費
(l/h)
ツルコガネ 240×2 480 49.25 582.8 -
キタホマレ 180×1 300 31.40 568.4 2.90
60×2 300


図1.色度図

11.普及上の留意点
 粗選及び粒選を行った後に処理するのが望ましい。