完了試験研究成績

【指導参考事項】

(作成63年1月)

1.課題の分類
畜産　豚　飼養
北海道　畜産

2.試験研究課題名　カポック粕配合肉豚用飼料による豚枝肉の品質改善試験

3.予算区分　受　託

4.研究期間　(昭和60年)

5.担当　滝川畜試　研究部　畜産資源開発科

6.協力・分担関係　　ホクレン

7.目　的
　豚肉においては消費者の嗜好の多様化・高級化や流通過程における保存性などの問題が指摘されるようになり、豚肉の品質改善が要望されている。豚肉の品質変化には多くの要因が関与しているが、特に給与飼料の影響の大きい事が知られており、蓄積脂肪を硬化させるとするカポック粕と大麦を肉豚用飼料に配合し枝肉、特に脂肪品質の改善効果を明らかにする。

8.試験研究方法
　カポック粕および大麦を配合した肉豚用飼料の給与効果を発育成績、枝肉品質、脂肪性状を指標として明らかにする。また、農家におけるカポック粕を配合した飼料の給与効果を確認する。
　(1)カポック粕(1.5%)および大麦の配合飼料の肥育試験(試験Ⅰ)
　(2)カポック粕(2%)配合飼料の肥育試験(試験Ⅱ)
　(3)農家におけるカポック粕配合飼料の給与試験

9.結果の概要・要約
　(1)カポック粕を1・5%配合した飼料および大麦を30%配合した飼料の給与は、発育成績、屠殺解体成績および胸最長筋の理化学性状にほとんど影響しなかったが、特にカポック粕を1.5%配合した飼料の給与により脂肪性状が良好となった。
　(2)カポック粕を2.0%配合した飼料においても、脂肪融点の上昇、飽和脂肪酸含量の増加が認められ、脂肪性状が改善された。
　(3)一貫経営農家4戸においてカポック粕1.5%を配合した飼料を給与した結果、枝肉の品質が良好となり、また蓄積脂肪性状の向上が認められた。

10成果の具体的数字

表1　カポック粕配合飼料による肥育効果
  試　験　Ⅰ 試　験　Ⅱ
カポック粕
1.5%配合		 無配合 カポック粕
2.0%配合		 無配合
日増体量(g) 756 813 803 814
飼料要求率 3.61 3.58 3.51 3.40
屠体測定値 枝肉重量(kg) 66.4 66.8 69.1 69.0
枝肉歩留(%) 64.0 64.3 62.2 63.5
背腰長−Ⅱ(cm) 73.4 73.5 73.5 74.0
背脂肪−背(cm) 1.8 2.0 1.5 1.9
背脂肪平均(㎝) 2.6 2.9 2.4 2.8
分割重量割合 正　肉(%) 70.8 69.4 77.7 76.8
除去脂肪(%) 16.6 17.6 9.3 10.8
骨(%) 12.5 13.0 13.0 12.4
脂肪性状
(背脂肪内層)		 融点(℃) 39.4a 36.6b 36.6A 30.OB
飽和脂肪酸含量(%) 46.0 44.7 46.0A 40.7B
異なる肩文字間に有意差有り(A、B間にP<0.Ol、a、b間にP<0.05)

表2　農家別枝肉品質および脂肪性状(58.5〜58.11出荷)
  A農家 B農家 C農家 D農家 平　均
出荷頭数(頭) 399 312 144 56  
枝肉重量(kg) 70.2 69.3 68.9 73.5 69.9
｢上｣格付(%) 69.2 60.9 55.6 57.1 63.4
脂肪性状
(背脂肪内層)		 調査頭数(頭) 27 25 8 4  
融　点(℃) 38.2 37.5 37.2 38.0 37.8
水　分(%) 8.1 8.1 7.8 7.4 8.0
脂肪色(L値) 73.9 73.2 73.3 73.6 73.5

11.成果の活用面と留意点
　(1)カポック粕を高率に配合、あるいは長期間にわたる給与は脂肪を硬化し品質を低下させるため、その配合割合は1.5〜2.0%とし、給与期間は約60日とする。

12.残された問題とその対応
　(1)カポック粕に含有されているシクロウプロペイド脂肪酸の作用の解明