【普及奨励事項】

1.課題の分類
草地　育種　長大型作物　A-5
北海道　草地　畑作

2.研究課題名　サイレージ用とうもろこし｢OS104｣に関する試験

3.予算区分受託

4.研究期間　昭和59年〜62年

5.担　　　当　道立十勝農試、北見農試、上川農試、滝川畜試、中央農試、農林水産省北海道農試

6.協力、分担関係

7.目　　　的
　サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験研究方法
　品種名:OS104
　組合せ:変形単交配(構成系統名は不明)
　育成者:オセコ社(カナダ)
　導入者:三井東圧肥料株式会社
　登　　録:な　し

9.結果の概要・要約
　1)絹糸抽出期および収穫時熟度：絹糸抽出期は「バッファロー」に比べ１〜２日早く、中生の中である。年次によって遅くなることがある。収穫時熟度は「バッファロー」よりすすみ、「ホクユウ」と同程度。乾物率は「バッファロー」「ホクユウ」と同程度である。
　2)耐倒伏性:｢バッファロー｣と同程度である。
　3)発芽および初期生育:発芽は｢バッファロー｣並。初期生育は｢バッファロー｣並で、｢ホクユウ｣よりやや劣る。
　4)収量性および乾物特性:TDN収量は｢バッファロー｣に比べやや高く、乾物中TDNは｢バッファロー｣と同程度である。
　5)形態特性:｢バッファロー｣に比べ桿長は高く、着雌穂高は同程度である。
　6)耐病性:すす紋病抵抗性は｢バッファロー｣｢ホクユウ｣よりやや強く、ごま葉枯病抵抗性は｢バッファロー｣　｢ホクユウ｣よりやや強い。

10.成果の具体的数字
試験場所 年次
（昭和）		 　　　　　　形質
品種・
系統名		 発芽期
（月・日）		 初期生育
（１：良〜５：否）		 絹　糸
抽出期
（月・日）		 倒　伏
（含折損）
(%)		 収穫時
熟　度		 10a当り収量（㎏） 総　体
乾物率
(%)		 乾雌穂
重割合
(%)		 乾物中
ＴＤＮ
(%)
乾総重 ＴＤＮ 比(%)
十勝農試 59〜62 OS104 5.24 2.0 8.9 38.4 期初〜中 1,326 937 101 25.3 46.6 70.7
バッファロー 24 2.0 10 47.2 糊後〜期初 1,307 926 100 25.2 47.5 70.9
ホクユウ   1.9 11 87.2 期初〜中 1,179 815 88 25.1 41.0 69.2
北見農試 60〜62 OS104 6.2 3.2 8.16 2.0 期中〜後 1,609 1,124 110 25.3 43.5 69.9
バッファロー 2 3.4 18 1.7 期初 1,453 1,022 100 25.9 45.3 70.3
ホクユウ 3 2.9 18 24.3 期中 1,550 1,053 103 25.8 36.5 68.0
上川農試 60〜62 0S104 5.28 2.0 8.3 1.7 期後〜完 1,456 1,046 102 31.5 50.8 71.8
バッファロー 28 2.0 5 6.7 期後 1,448 1,026 100 29.6 47.3 70.9
ホクユウ 29 2.3 5 32.5 期後〜完 1,206 851 83 30.0 46.0 70.5
滝川畜試 60〜62 0S104 6.2 3.2 8.6 28 期初〜中 1,567 1,114 103 25.6 47.4 70.7
バッファロー 1 2.4 8 18 〃 1,503 1,079 100 27.8 50.5 71.6
ホクユウ 2 2.4 10 37 〃 1,483 1,025 95 27.3 40.0 68.9
中央農試 60〜61 0S104 5.29 3.1 8.6 50.0 黄後 1,585 1,135 100 27.9 50.0 70.8
バッファロー 28 2.7 7 50.8 黄中〜後 1,597 1,138 100 29.6 48.6 71.2
ホクユウ 29 1.9 8 70.8 黄後〜完 1,488 1,026 90 26.8 40.9 69.2
忠類村 61〜62 0S104 6.3 1.7 8.20 15.0 糊後 1,262 852 100 20.5 33.9 67.3
バッファロー 4 1.6 20 18.0 糊中 1,257 848 100 21.3 34.4 67.4
ホクユウ   2.5 21 68.2 糊中〜後 1,200 794 94 21.2 29.7 66.2
遠軽町 61〜62 0S104 6.4 (2.0) 8.13 11.5 糊初〜中 1,364 935 103 22.3 38.9 68.7
バッファロー 4 (2.0) 14 11.5 乳後〜糊初 1,308 906 100 22.6 41.3 69.3
ホクユウ 5 (1.5) 14 49.0 糊中 1,222 813 90 22.0 30.8 66.5
美深町 61〜62 0S104 6.5 (1) 8.13 0 糊後 1,469 1,025 114 23.4 43.8 69.7
バッファロー 5 (1) 13 0 糊初〜中 1,288 895 100 22.8 42.4 69.6
ホクユウ 6 (1) 14 0 糊中〜後 1,363 921 103 23.3 34.9 67.5
注）（　）は遠軽町が62年、美深町が61年のみの値。

特性検定試験成績
品種・
系統名		 項目
場所名
調査時期		 す　す　紋　病 ご ま 葉 枯 病
北　農　試 十勝農試 北　農　試
昭60.9.10 昭62.9.1 昭61.9.9 昭62.8.24 昭60.10.12 昭62.9.1
OS104
バッファロー
ホクユウ		 3.0 1.3 3.2 3.3 1.0 2.5
2.5 2.5 4.0 3.7 1.5 3.0
3.0 2.0 3.7 3.8 1.5 3.8
注)　Elliott&Jenkinsの指数(0無〜5甚)による。

11.成果の活用面と留意点
　1)普及対象地域：十勝中部,網走内陸および道央北部地域。
　2)栽培利用上の注意：一般の栽培基準に準ずるが,初期生育がやや劣るので肥料やけや初期雑草の対策に留意する。また,すす紋病の発生軽減のため適正な肥培管理を行う。
　3)種子供給が可能となる時期：昭和63年
　4)普及見込面積：7,000ha
　5)配布し得る種子量：10t

12.残された問題とその対応