【普及奨励事項】

1.課題の分類
草地　育種　長大型作物　A-5
北海道　草地

2.研究課題名　サイレージ用とうもろこし｢T1200｣に関する試験

3.予算区分　　受　託

4.研究期間　　昭和60年〜62年

5.担　当　農林水産省北海道農業試験場、北海道立中央農業試験場、北海道立滝川畜産試験場、北海道立道南農業試験場

6.協力・分担関係

7.目　　的
　サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験研究方法
　品種名:T1200(ロイヤルデント105T)
　組合せ:単交配(構成系統名は不明)
　育成者:トロージャン社(アメリカ)
　導入者:タキイ種苗株式会社
　登　　録:な　し

9.結果の概要・要約
　(1)絹糸抽出期は｢P3732｣より3日程度｢P3715｣より1日程度遅い晩生の中である。
　(2)耐倒伏性は｢P3732｣より弱く｢P3715｣よりやや弱い。
　(3)初期生育は｢P3715｣よりやや優れ,｢P3732｣並かやや優れている。
　(4)桿長は｢P3732｣、｢P3715｣より高い。着雌穂高は｢P3715｣と同等かやや高くほぼ｢P3732｣並である。
　(5)乾物収量は｢P3732｣、｢P3715｣より高く、TDN収量は両品種よりやや高い。
　乾物中のTDNは｢P3732｣、｢P3715｣よりやや低い。
　総体の乾物率は｢P3732｣、｢P3715｣と同等かやや低い。
　(6)すす紋病抵抗性は｢P3732｣、｢P3715｣より弱く、ごま葉枯病抵抗性｢P3732｣より強く｢P3715｣並である。

10.成果の具体的数字

各場所における主要特性及び収量
試験場所 年次
（昭）		 形質
品種
系統名		 発芽期
（月日）		 初　期
生　育
（１良〜５否）		 絹　糸
抽出期
（月日）		 収穫時
熟　度		 倒　伏
（含折損）
(%)		 収量（㎏/10a） 総　体
乾物率
(%)		 乾雌穂
重割合
(%)		 乾物中
ＴＤＮ
(%)
乾総重 ＴＤＮ 比(%)
北農試 60〜62 T1200 5.30 1.8 8.15 黄中 20.3 1986 1375 118 27.2 41.1 69.2
P3732 5.30 2.1 8.12 黄後 4.0 1615 1164 100 27.5 51.7 72.0
P3715 5.30 2.1 8.14 黄後 11.4 1655 1191 102 26.6 51.5 72.0
中央農試 60〜62 T1200 5.31 2.7 8.14 黄後 36.0 2028 1425 115 26.8 44.8 70.2
P3732 6.1 2.7 8.11 黄中 34.9 1729 1240 100 26.1 50.5 71.7
P3715 5.31 3.0 8.12 黄中-後 34.8 1691 1208 97 26.4 49.3 71.4
滝川畜試 60〜62 T1200 6.1 - 8.14 黄中 28.3 1846 1288 - 26.6 43.4 69.8
(6.5) (2.8) (8.15) (黄中) (42.5) (1889) (1335) (108) (28.8) (47.1) (70.8)
P3732 (6.6) (2.7) (8.12) (黄初-中) (17.0) (1731) (1240) (100) (28.7) (49.5) (71.5)
P3715 6.2 - 8.13 黄中 20.6 1639 1165 - 26.6 47.6 70.9
(6.6) (3.1) (8.14) (黄中) (31.0) (1696) (1220) (98) (28.1) (50.7) (71.8)
八雲町 6１〜62 T1200 6.2 2.3 8.21 糊後 54.5 1311 895 102 23.7 38.8 68.6
P3732 6.3 3.0 8.18 黄初 48.0 1233 876 100 27.0 47.8 71.0
P3715 6.3 3.5 8.20 糊後-黄初 46.8 1183 863 99 26.3 46.4 73.0
鵡川町 6１〜62 T1200 5.29 1.5 8.16 黄初-中 30.5 1614 1134 89 23.8 45.1 70.3
P3732 5.31 1.7 8.15 黄中 22.0 1798 1274 100 26.5 47.4 70.9
P3715 5.3 2.0 8.15 黄初 31.5 1632 1155 91 27.3 46.9 70.7
深川市 6１〜62 T1200 6.8 2.9 8.14 黄初 60.0 1856 1293 99 26.4 42.6 69.6
P3732 6.8 2.8 8.13 黄初 28.3 1822 1301 100 28 49.2 71.4
P3715 6.7 2.9 8.13 黄中 68.0 1686 1195 92 27.4 47.2 70.9
注1.( )は昭和61,62年の2ケ年平均。　2.八雲町は道南農試,鵡川町は中央農試,深川市は滝川畜試担当。

特性検定試験成績(北農試)
品種名 すす紋病 ごま葉枯病
  昭61 昭62 昭61 昭62
T1200 3.3 2.3 1.5 1.0
P3732 1.3 1.0 2.0 2.3
P3715 1.5 0.5 1.0 2.0
注　Elliott&Jenkinsの指数(0無〜5甚)による。 　すす紋病,ごま葉枯病61年9月9日,62年9月1日調査

11.成果の活用面と留意点
　(1)普及対象地域
　道央（北部を除く）および道南地域の気象条件の良い地帯
　(2)栽培利用上の地域
　一般栽培基準に準ずる。ただし,すす紋病の発生軽減のために,適正な肥培管理を行なう。
　(3)種子供給が可能となる時期およぴ普及見込面積
　種子供給が可能となる時期：昭和63年,普及面積:500ha
　(4)配布し得る種子量：20t

12.残された問題とその対応