完了試験研究成績 (作成 平成2年1月)
1.課題の分類 畜産 肉用牛 育種 新得畜試 北海道 家畜 2.研究課題名 アバディーンアンガスおよびヘレフォードの簡易体重推定法 3.予算区分 道単 4.研究期間 (昭和54年〜63年) 5.担当 新得畜試 肉牛科 6.協力・分担関係 十勝種畜牧場 |
7.目的
飼料給与量の設定や選抜淘汰の決定に際して体重は最も重要な情報である。体重測定を実施することの重要性は肉牛農家に認識されつつあるが、依然として検量施設を保有しない農家も少なくない。そこで、アバディーンアンガス(以下アンガスと略す)およびヘレフォードについて胸囲より体重を推定する推定式を作成し、その有効性を検討した。
8.試験研究方法
1983年〜1988年に新得畜産試験場ならびに十勝種畜牧場で出生したアンガス雌牛650頭、雄牛385頭、ヘレフォード雌牛638頭、雄牛395頭の胸囲と体重の測定値を材料に用いた。相対成長モデルにより回帰分析を行い簡易体重推定式を作成した。また、1989年の測定値を用いて推定式の有効性を検討した。
9.結果の概要・要約
(1)雌牛ならびに雄牛のアンガスとヘレフォードのそれぞれに適用し得る体重推定式を作成した。
《雌牛》 | アンガス | y=0.0001791x2.8331300 | (R2=0.99) |
ヘレフォード | y=0.0001851x2.8297918 | (R2=0.99) | |
《雄牛》 | アンガス | y=0.0001336x2.8995425 | (R2=0.99) |
ヘレフォード | y=0.0001399x2.8944856 | (R2=0.99) |
10.成果の具体的数字
胸囲(cm) | 体重(kg) | |||
雌牛 | 雄牛 | |||
アンガス | ヘレフォード | アンガス | ヘレフォード | |
60 | 20 | 20 | 19 | 20 |
70 | 30 | 31 | 30 | 31 |
80 | 44 | 45 | 44 | 45 |
90 | 62 | 63 | 62 | 63 |
100 | 83 | 85 | 84 | 86 |
110 | 109 | 111 | 111 | 113 |
120 | 139 | 142 | 143 | 146 |
130 | 175 | 178 | 180 | 184 |
140 | 215 | 219 | 223 | 228 |
150 | 262 | 266 | 273 | 278 |
160 | 315 | 320 | 329 | 335 |
170 | 373 | 379 | 392 | 400 |
180 | 439 | 446 | 462 | 472 |
190 | 512 | 520 | 541 | 552 |
200 | 592 | 601 | 628 | 640 |
210 | 680 | 690 | 723 | 737 |
220 | 775 | 787 | 827 | 843 |
230 | 879 | 892 | 941 | 959 |
240 | 992 | 1,007 | 1,065 | 1,085 |
250 | 1,114 | 1,130 | 1,199 | 1,221 |
11.成果の活用面と留意点
(1)分析に用いた測定値と同じ条件で胸囲を測定する必要があり、牛を頭絡で平らな場所に繋ぎ、全肢直後
の最も小さい周囲に地面より垂直に巻尺をあて、被毛が寝る程度に締めて目盛りを読む。
(2)本推定式による推定値は常に実測値の5〜6%の誤差を含んでいることを考慮する。
(3)妊娠末期の牛に適用するときは、さらに誤差が大きくなることを注意する。
12.残された問題とその対応
(1)去勢牛、肥育牛に適用できる推定式の検討。
(2)本推定式による簡易体重推定巻尺の製品化。