〝北海70号の概要〟
1.特性一覧表                                    農林水産省北海道農業試験場
系統名 北海70号 交配組合せ R392-50×WB77025-2
特   性 長    所 短    所
1.目が浅く、剥皮褐変・水煮黒変が少な
 く、業務用に適する。
2.早生・大粒である。
3.ジャガイモシストセンチュウ抵抗性
 である。
1.裂開を生ずることがある。
2.でん粉価がやや低い。
採用予定道・県及
び普及見込み面積
   北海道:1,000ha
調査地 育成地 中央農業試験場 十勝農業試験場
品種・系統名

形質
北海70号 男爵いも ワセ
シロ
北海70号 男爵いも ワセ
シロ
北海70号 男爵いも ワセ
シロ








用途 食用 食用 食用 食用 食用 食用 食用 食用 食用
熟性 早生 早生 早生 早生 早生 早生 早生 早生 早生
開花期(月日) 7.1 7.3 7.1 6.24 6.24 6.24 6.22 6.23 6.25
枯凋期(月日) 8.28 9.1 8.26 8.21 8.23 8.19 8.24 8.28 8.30
茎長(㎝) 42 34 41 51 43 58 61 50 82
株当上いも数(個) 8.6 10.0 5.7 8.7 10.2 8.0 8.8 10.4 7.9
上いも平均1個重(g) 119 92 145 111 76 94 116 89 123








幼芽の色 淡赤 赤紫    
萌芽時の葉色 帯赤 帯紫 帯紫
茎色
(赤紫)

(赤紫)

(赤紫)
小葉の大きさ
花の色 淡赤紫 淡青紫
自然結果













塊茎の形 偏球 偏球    
皮色 白黄
生肉色
目の深さ
内部異常
(褐心・中空)
肉質 やや粘 やや粉
剥皮褐変
水煮黒変
煮くずれ
休眠期間 やや長 やや長 やや長



疫病 R1 r R1    
塊茎腐敗
青枯病 やや強
粉状そうか病
シストセンチュウ H1 h h






早掘収量(㎏/10a) 2687 2382 2425 2660 2311 2357 3686 3459 3550
標準比(%) 113 100 102 115 100 102 107 100 103
でん粉価(%) 13.8 15.2 15.4 17.0 17.5 18.2 14.6 15.5 15.4
上いも収量(㎏/10a) 3474 3103 2950 3684 3118 2824 4439 4121 4135
標準比(%) 112 100 95 118 100 91 108 100 100
でん粉価(%) 15.6 15.9 16.5 15.3 14.9 17.3 14.0 15.3 15.5
調査年次 昭和61〜平成3年 早掘:昭和63〜平成元年
普通掘:昭和63〜平成2年
早掘:平成元年〜3年
普通掘:昭和63〜平成2年

2.ばれいしょ「北海70号」の特記すべき特徴
 熟期は「男爵いも」より4日早く、肥大も早いため早堀りのL玉収量はワセシロ並である。目が浅く、球形で外観良、規格内収量が多い。
 生いもの剥皮(切断)褐変、加熱時の水煮(調理)黒変が少ない。調理時の肉色は黄色で、肉質はやや粘質で滑らかである。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性をもち、土壌中のシスト密度を低下させる。

3.奨励品種に採用しようとする理由
(1)目が浅く、剥皮褐変・水煮黒変が少なく、業務用に適する系統である。
 食用ばれいしょの消費は増加を続けており、外食産業を主とする業務用の需要増が著しい。業務用ばれいしょは大粒で目が浅く、剥皮褐変・水煮黒変が少なく、煮くずれの少ないものが求められており、「北海70号」はこれらの特性をもつので業務用ばれいしょとして期待されている。この分野は輸入ばれいしょとの競合が高まっており、道産ばれいしょの需要拡大のため採用する。
(2)早生・大粒のジャガイモシストセンチュウ抵抗性系統である。
 道内の早期出荷用ばれいしょは道南、道央を中心に「ワセシロ」「男爵いも」が作付されているが、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持たないため、その汚染地域の拡大が続いており、抵抗性の「キタアカリ」の普及が急がれている。しかし、「キタアカリ」は小粒で市場の評価が低く、早期出荷の収益性も低い。このため9月出荷の「男爵いも」には代りつつあるが、早期出荷の「ワセシロ」に代るのはむずかしい。「北海70号」は早生・大粒系統であり、代わることができる。
 以上の理由により、北海道内の食用品種「ワセシロ」「男爵いも」の一部を置きかえる。

4.普及見込み地帯
北海道一円
普及見込み地帯における早堀り(「ワセシロ」比、上段)、普通堀り(「男爵いも」比、下段)の上いも収量比率
注)−は調査データなし