成績概要書(作成 平成4年1月)
1.課題の分類  野菜 野菜 食品 カボチャ 流通利用適性
          北海道
2.研究課題名  カボチャ果実品質の簡易評価法に関する試験
3.予算区分  道単
4.研究期間  (平成3年)
5.担当  中央農試園芸部 流通加工科
6.協力・分担関係

7.目的
 カボチャ果実品質に大きな影響を与える澱粉と糖含量について検討を行い、簡便な方法によるカボチャ果実の品質評価法を確立する。

8.試験研究方法
(1)糖度測定方法に関する試験
 品種:えびす
 分析:糖度、全糖(ソモギー法)、糖(高遠液クロ)
・果肉50gに対して脱塩水0、25、50、150mlを加えホモジナイスを行い、糖度を測定し、全糖などの関係を検討
(2)糖度および乾物率と果実品質の関係
 品種:えびす、みやこ
 分析:乾物率、糖度、澱粉、全糖

9.結果の概要・要約
(1)屈折計による糖度測定方法
 果肉から直接に搾汁し測定した糖痩は、測定値のバラツキが大きく、果肉中の全糖含量よリかなリ高い値を示した。測定値の安定性、搾汁のし易さ、全糖含量の値に糖度が近い値を示す点から、剥皮した赤道部の果肉に同量の水を加え磨砕し、上澄液による糖度測定が適当であった。この方法によって得られた糖度と全糖含量との間に相関係数r=0.948(n=184)、回帰直線y=2.01×-4.26(y:全糖、X:糖度)が得られ、高い相関関係を認めた。
(2)乾物率の測定方法
 果実の赤道部の果肉(30〜40g程度)を厚さ3〜5mmのスライス状に4〜6枚に切断し、60〜80℃で一昼夜乾繰して、乾物率を得た。乾物率と澱粉に全糖含量を加えた値との間に相関係数r=0.897(n=184)、回帰直線y=0.975×-4.31(y:澱粉+全糖、X:乾物率)が得られ、高い相関関係を認めた。
(3)簡便な方法によリ測定された精度と乾物率から、カボチャ果実品質にとって重要成分である澱粉と全糖含量を推量することができた。収書期の判定基準として乾物事が25%以上、出荷期の判定基準として乾物率が22%以上の果実が望ましい。

10.成果の具体的数字
第1表  カボチャの糖度と糖含量の関係
糖度
果肉50gに対して加えた脱塩水量(ml)
全糖(%) 糖(%)
0 25 50 100 150 果糖 ブドウ糖 ショ糖
1 10.5±0.2 5.7±0.1 4.7±0.0 2.8±0.0 2.1±0.0 6.64 2.14 2.12 1.37 5.63
2 12.0±0.2 7.2±0.1 5.0±0.1 3.5±0.1 2.5±0.0 6.41 1.76 1.70 1.84 5.30
3 14.4±0.2 7.7±0.1 5.8±0.0 3.8±0.1 2.6±0.1 5.64 0.76 0.76 3.34 4.86
4 14.8±0.3 7.3±0.1 5.3±0.0 3.4±0.1 2.6±0.0 6.21 1.00 0.96 2.79 4.75
5 15.5±0.9 7.6±0.3 5.2±0.0 3.3±0.1 2.6±0.0 6.69 0.79 0.84 3.69 5.31
6 12.1±0.3 7.9±0.1 5.5±0.1 3.6±0.0 2.7±0.0 5.79 0.51 0.46 3.93 4.90
7 14.0±0.8 8.5±0.3 6.0±0.1 3.8±0.0 2.8±0.0 9.61 2.38 2.80 3.34 7.52
8 16.5±0.7 10.0±0.2 7.2±0.1 5.0±0.1 3.3±0.1 10.17 1.53 1.75 5.23 8.51

11.成果の活用面と留意点
 完熟収穫した果実に適用する。

12.残された問題とその対応