7.目的
　クールコンテナ輸送、低温トラック輸送などの新流通方式に対応したデルフィニウムの保鮮技術を確立する。

8.試験研究方法
・供試品種：カサブランカ(ベラドンナ系)、他7種(ジャイアント・パシフィック系)
・調査方法：処理後想定輪送条件下に保持(輸送シミュレーション)した後水挿し、または処理後ただちに水挿しし品質を経時的に調査した。
　1)外観品質；観察により採花時５〜著しく低下１として5段階評価した。
　2)重量減少率；対前回調査時比で示した。
・試験処理
Ⅰ.輸送前処理に関する試験
　1)保鮮剤に関する試験　種類；2種、濃度；高・標準・低、開花ステージ；3段階(切り前2〜3,4〜5,6)
　2)予冷に関する試験　強制通風予冷、終温；0〜30℃、5段階、予冷後温度；7段階
Ⅱ.輸送技術に関する試験
　1)容器・包装に関する試験　容器；3種
　2)温度条件に関する試験　温度；0〜30℃、7段階方法；水挿し、段ボール箱詰め
　　開花ステージ；3段階、(切り前2〜3,4〜5,6)

9.結果の概要・要約
Ⅰ.輸送前処理に関する試験
　1)保鮮剤処理
　①花弁の脱落は無処理区では5日後には目立ったが、保鮮剤処理すると標準濃度の1/4の低濃度処理
　　区でもきわめて少なくなった。距の鮮度低下は標準または標準より高濃度の処理で抑制された。
　②開花ステージにより効果に差が生じた。切り前2〜3；無処理でも鮮度低下しにくい。標準濃度ん標準濃
　　度の1/2の濃度で有効、切り前4〜5；標準濃度の2倍〜標準濃度の1/2で有効、切り前6；保鮮剤処理して
　　も鮮度保持期間の延長はできなかった。
　2)強制通風予冷；予冷後20,30℃におくと、予冷終温が低いほど鮮度低下が抑制される傾向がみられた。
　　終温3℃区が最も鮮度保時に有効で、1,5℃が次ぎ、10℃ではやや鮮度低下が早くなった。
Ⅱ.輸送技術に関する試験
　1)容器；20℃に22時間おいた直後の鮮度は発泡スチロール箱詰めがどの品種についても良好で、MCフィ
　　ルム貼り段ポール箱詰めがこれに次いだ。段ボール箱詰めは重載妙が大きく、黒花弁のしおれがみら
　　れた。
　2)輸送温度
　①高温ほど重量減少が大きく、花弁の鮮度低下がすすみ、鮮度保持には0〜5℃が最適であった。
　②開花ステージにより花もち期間に差があるので、切り前2〜5で採花し、5℃輸送するのが実用的である
　　と考えられた。切り前6では長時間輪送は困難である。
　3)水挿し輸送；「カサブランカ」の花もち期間は、切り前2〜3；10℃で11日、切り前4〜5；5℃で7日、10℃で
　　4日、切り前6；5℃で2日、1O℃で1日であった。

10.成果の具体的数字
表1　　保鮮剤処理濃度と花もち(切り前4〜5)

項目	調査月日	水挿し日数	コートーフレッシュK-20Cの希釈率
			500倍	750倍	1000倍	1500倍	2000倍	水
総合	7月4日	1	4.4	4.6	4.2	3.4	3.4	3.0
	7月5日	2	3.6	3.2	2.8	3.0	3.0	1.6
	7月8日	5	1.4	1.2	1.6	1.0	2.0	1.0
重量減少率	7月2日	STS処理後	-11.6%	-12.8%	-12.5%	-12.6%	-12.9%	-11.4%
	7月3日	輸送終了時	3.1%	2.7%	2.6%	3.2%	2.6%	2.8%
	7月4日	1	-11.7%	-10.1%	-10.8%	-12.3%	-11.1%	-9.1%
	4月5日	2	-4.8%	-3.3%	-4.0%	-6.1%	-3.8%	-1.8%
	7月6日	3	-5.4%	-3.1%	-5.4%	-5.7%	-6.2%	1.2%
	7月8日	5	-3.1%	1.8%	-1.3%	0.3%	1.0%	5.9%
	7月9日	6	-2.8%	1.4%	-0.9%	-1.5%	-1.3%	0.9%

表2-1　　最適予冷終温

項目	調査月日	水挿し日数	予冷終温に22時間保持(上段:終温、下段:予冷後保持温度)
			1℃ 1℃	3℃ 3℃	5℃ 5℃	7℃ 7℃	10℃ 10℃	20℃ 20℃	30℃ 30℃
総合	6月20日	輸送終了時	3.6	5.0	4.6	3.1	3.9	4.9	3.4
	6月21日	1	5.0	5.0	5.0	5.0	5.0	5.0	5.0
	6月24日	4	3.4	5.0	3.6	3.3	3.1	2.0	2.7
	6月25日	5	2.0	2.7	1.7	2.0	1.8	1.5	1.6
	6月26日	6	1.6	2.0	1.2	1.9	1.7	1.3	1.3

表2-2　　最適予冷終温

項目	調査月日	水挿し日数	各温度で2時間予冷後 20℃に20時間保持				各温度で2時間予冷後 30℃に20時間保持
			3℃ 20℃	5℃ 20℃	7℃ 20℃	10℃ 20℃	3℃ 30℃	5℃ 30℃	7℃ 30℃	10℃ 30℃
総合	6月20日	輸送終了時	5.0	4.7	4.7	4.4	4.0	4.4	4.1	4.7
	6月21日	1	4.9	5.0	5.0	5.0	5.0	5.0	5.0	5.0
	6月24日	4	3.0	3.6	3.3	2.9	3.3	3.1	3.0	2.4
	6月25日	5	3.0	1.6	2.0	1.7	2.3	1.9	1.6	1.3
	6月26日	6	2.0	1.5	1.6	1.5	1.7	1.6	1.2	1.3

11.成果の活用面と留意点
　遠隔地に出荷する場合は開花ステージ(切り前)にとくに注意する。

12.残された問題とその対応
　縦詰め輸送の検討