1.課題の分類 畜産 めん羊 栄養飼料 北海道 家草合同 2.研究課題名 圃場副産物サイレージ調製用コンテナの試作 (汎用水田副産物の高品質飼料化と流通・利用技術の確立) 3.予算区分 地域水田良業技術 4.研究期間 (昭63年〜平2年) 5.担当 中央農試 畜産部 畜産科 6.協力・分担関係 |
7.目的
めん羊飼育農家を対象とし、圃場副産物のサイレージ化と、その流通を図るためのコンテナを開発し、これを用いたサイレージ調製法を検討する。
8.試験研究方法
(1)コンテナの試作
(2)コンテナの活用に関する試験
(3)コンテナを用いた圃場副産物のサイレージ調製
9.結果の概要・要約
(1)コンテナの試作
1)たる木、コンパネを主体とした木製で組立式のコンテナを試作した。
2)コンテナ製作の材料費ほ8,000円程度である。
3)コンテナは底部にフロントローダの爪が入る空間を設け、トラクタ等で移動を可能とした。
4)コンテナの容積は約1.3m3で、これに原料を満度に詰めた重量は600㎏程度であった。
5)コンテナの強度は十分にあり、収納時には体積が1/6に縮小できた。
6)コンテナは原料の詰め込み、取り出しが容易で、作業性が優れていた。
(2)コンテナの活用に関する試験
1)コンテナによるとうもろこしサイレージ調製は密度が乾物で150㎏/m3以上が可能で、重石を用いることにより、品質、栄養価の高いものが得られた。
2)コンテナで調製したサイレージは予乾と切断することにより密度が高まり、品質が安定した。
3)コンテナで調製したサイレージはバッグのものより密度、品質が高かった。
4)コンテナは麦稈等のアンモニア処理にも活用できた。
(3)コンテナを用いた圃場副産物のサイレージ調製
1)ピートトップサイレージは消化率、採食量が高かったが、排汁が多かった。
2)ピートトップと乾草と混合したサイレージは消化率と採食量が高かった。
3)ビートトップとフスマと混合したサイレージは栄養価、採食量とも高かった。
4)麦稈と豆腐粕を混合したサイレージは栄養価が高く、とくにTDNが高かった。
10.成果の具体的数字
コンテナで調製したサイレージの密度、栄養価と採食量
原料名 | 乾物率 (%) |
密度(kg/m3) | pH | 乾物消 化率(%) |
栄養価 (乾物中%) |
体重当た り乾物摂 取割合(%) |
||
原物 | 乾物 | DCP | TDN | |||||
ビートトップ | 16.7 | 611 | 102 | 4.40 | 70.8 | 6.1 | 63.2 | 2.11 |
ビートトップ+麦稈 | 24.5 | 342 | 84 | 4.60 | 64.4 | 2.3 | 57.5 | 1.43 |
ビートトップ+小豆がら | 21.9 | 493 | 108 | 4.30 | 60.7 | 4.4 | 55.1 | 2.16 |
ビートトップ+AL乾草 | 25.4 | 571 | 145 | 4.25 | 70.2 | 7.9 | 62.1 | 2.52 |
ビートトップ+TY乾草 | 24.4 | 508 | 124 | 4.35 | 69.1 | 5.0 | 62.3 | 2.38 |
ビートトップ+とうもろこし | 24.0 | 533 | 128 | 4.55 | 67.9 | 3.4 | 65.1 | 2.08 |
ビートトップ+フスマ | 25.4 | 626 | 159 | 4.00 | 70.2 | 10.3 | 66.9 | 2.30 |
麦稈+豆腐粕 | 29.0 | - | - | 4.54 | 66.3 | 11.9 | 75.5 | 1.89 |
低水分混播牧草 | 40.3 | 463 | 187 | 4.80 | 70.2 | 14.0 | 66.9 | 2.23 |
低水分アルファルファ | 37.2 | 426 | 158 | 4.50 | 70.3 | 17.6 | 66.9 | 2.83 |
とうもろこし(晩生種) | 29.4 | 600 | 176 | 3.90 | 67.7 | 3.8 | 68.6 | 1.31 |
とうもろこし(早生種) | 27.4 | 595 | 163 | 3.80 | 70.8 | 3.8 | 73.9 | 1.58 |
11.成果の活用面と留意点
(1)コンテナは自作するのが望ましい。
(2)コンテナは乾燥状態に保ち、腐食を防ぐ。
12.残された問題点とその対応
なし