7.目的
　油料用ひまわり寒地向き導入品種の形態的、生態的な特性を調査する。

8.試験研究方法
　試験場所‥北農試・中央農試・北見農試・上川農試・北竜町・鷹栖町
　供試品種‥Sunwheat1O1、DO−707、IS−3001(参考)
　耕種概要‥播種期5月6日〜5月21日、栽植密度「Sunwheat101」70−72㎝(畦幅)x10−24㎝(株間)、
　　　　　　　　「DO-707」、「IS-3001」70−72㎝(畦幅)×20−30㎝(株間)、施肥量N0.6−0.8、P₂O₅0.8−1.5、
　　　　　　　　　K₂O0.7−1.2(㎏/a)
　試験設計‥乱塊法3反復、1区面積7.2〜20㎡

9.結果の概要・要約
《Sunwheat101、DO-707の来歴》

1)品種名‥Sunwheat101(F1品種) 2)来歴 　組合せ‥単交配(不明) 　育成者‥シードテック社(アメリカ) 　導入者‥三井東圧化学株式会社 　登録‥

1)品種名‥DO-707(F1品種) 2)来歴 　組合せ‥単交配(不明) 　育成者‥ダールグレン社(アメリカ) 　導入者‥三井東圧化学株式会社 　登録‥

品種の特性概要
【Ⅰ．Sunwheat101】
(1)形態的特性
　頭花は単生。茎の緑色程度、毛の多少とも中。葉形は心臓形、葉色は濃緑、.葉縁は鋸歯で不規則。筒状花は横向き。種子の色は黒色で斑紋が無く、形は長卵形である。
(2)生態的特性
　極早生種に属し、茎長は極短稈で頭花径はやや小さく、倒伏に強い。密植栽培で子実重の増収効果が大きく、油分も密植により向上し、粗油量も多くなる。菌核病の被害は年次によって異なる。窒素肥料の収量反応は標準施肥量で多収となり、窒素肥料の多用により油分が低下し、菌核病の発生が多くなる。脂肪酸組成はリノール酸がやや低く、オレイン酸はやや高い。α-トコフェロール含量はやや低い。
【Ⅱ．DO-707】
(1)形態的特性
　頭花は単生。茎の緑色程度は淡く、毛の多少は中。葉形は心臓形、葉色は濃緑、葉縁は鋸歯で不規則。筒状花は横向き。種子の色は黒色で斑紋が無く、形は長卵形である。
(2)生態的特性
　早生種に属し、茎長は中稈で頭花径は大きく、倒伏にやや強い。子実重が多く、油分も高いので、粗油量も多い。菌核病の被害は年次によって異なる。密植栽培での子実重の増収効果は小さいが、油分は高まる。窒素肥料の収量反応は標準施肥量で多収及び高油分となり、窒素肥料を多用すると油分が低下する。脂肪酸組成はリノール酸がやや高く、オレイン酸はやや低い。α-トコフェロール含量はやや高い。

Sunwheat1O1、DO-707の特性調査(平成3年・北農試・遠軽)

品種名	茎の緑 色程度	茎の毛 の多少	葉の形	葉の色	葉面の 粗さ	葉の上 面の毛	鋸歯の 多少	鋸歯の 揃い	筒状花 の向き	花弁長 (㎝)	花弁幅 (㎝)
Sunwheat101	中	中	心臓形	濃緑	中	少	中	不規則	横向き	7.9	2.5
DO-707	淡	中	心臓形	濃緑	少	少	中	不規則	横向き	9.1	2.5
IS-3001	淡	少	心臓形	緑	中	少	中	不規則	横向き	7.1	2.4

品種名	花弁数 (枚)	葉柄長 (㎝)	葉柄の 太さ(㎝)	葉身長 (㎝)	葉身幅 (㎝)	種子 の色	種子の 斑紋	種子 の形	種子の 縦長(㎝)	種子の 横幅(㎝)	種子の 厚さ(㎝)
Sunwheat101	43	8.2	0.7	20.0	19.3	黒	無	長卵形	0.99	0.53	0.39
DO-707	55	16.7	0.9	29.0	29.5	黒	無	長卵形	0.98	0.49	0.33
IS-3001	52	20.1	0.8	28.3	27.7	黒	無	長卵形	1.02	0.59	0.39

10.成果の具体的数字
表1　　試験機関及び現地の生育・収量調査成績(平成3-4年の平均)

場所名	品種名	発芽期 (月日)	開花期 (月日)	成熟期 (月日)	茎長 (㎝)	頭花径 (㎝)	倒伏 程度	菌核発 病株率 (%)	子実重 (kg/a)	油分 (%)	粗油量 (kg/a)
北農試 (遠軽)	Sunwheat101	5.23	7.21	8.30	102	14.5	無	35.8	20.2	43.0	8.7
	DO-707	5.23	7.26	9.3	155	21.6	無	13.7	27.0	48.0	13.0
	IS-3001(参考)	5.24	8.4	9.8	172	17.8	無	57.3	17.7	48.8	8.7
中央農試	Sunwheat101	5.24	7.18	8.28	83	12.2	無	23.6	35.4	45.0	15.2
	DO-707	5.23	7.19	9.5	122	17.3	微	24.9	31.9	48.4	14.6
	IS-3001(参考)	5.26	7.25	9.14	163	16.6	無	8.7	27.8	46.4	12.9
北見農試	Sunwheat101	5.27	7.25	9.2	89	12.5	無	53.3	16.1	44.0	7.1
	DO-707	5.27	7.28	9.16	145	17.2	多	45.4	20.7	52.0	10.9
	IS-3001(参考)	5.30	8.9	9.16	170	16.5	中	7.1	20.0	50.3	10.0
上川農試 (士別)	Sunwheat101	5.22	7.19	8.22	93	11.7	無	15.0	23.9	45.3	10.8
	DO-707	5.23	7.21	8.26	150	16.9	少	0.0	24.8	48.4	12.0
北竜町	Sunwheat101	5.26	7.13	8.23	72	14.5	無	3.4	29.3	42.3	11.8
	DO-707	5.26	7.19	8.28	120	18.7	少	6.2	34.4	46.6	15.3
	IS-3001(参考)	5.29	7.29	9.5	145	17.2	少	3.2	26.3	46.1	11.7
鷹栖町	Sunwheat101	5.27	7.18	8.24	90	16.9	無	少	23.4	39.4	9.1
	DO-707	5.27	7.22	8.30	150	20.7	無	中	24.4	47.6	11.7
	IS-3001(参考)	5.29	7.31	8.31	170	19.5	無	微	19.7	46.5	9.2

注１)IS-3001は参考品種(北海道のひまわり主要栽培地帯で平成元年〜3年まで栽培された)
　 ２)中央農試のIS-3001は平成3年の成績
　 ３)北見農試Sunwheat101の子実重、油分、粗油量は平成4年の成績
　 ４)上川農試は平成4年の成績

表2　　栽植密度反応試験(平成3〜4年・北農試・遠軽)

品種名	雌幅 × 株間 (㎝)	栽植 本数 (本/a)	開花期 (月日)	成熟期 (月日)	茎長 (㎝)	頭花径 (㎝)	倒伏 (%)	菌核発 病株率 (%)	子実重 (kg/a)	同左標 準比(%)	油分 (%)	粗油量
												(kg/a)	比(%)
Sunwheat 101	70×20 (疎植)	714	7.19	8.25	97	16.4	0	34.9	21.3	93	42.8	9.1	89
	70×15 (標準)	952	7.19	8.25	103	14.7	0	34.9	22.8	100	44.6	10.2	100
	50×20 (密植)	1,000	7.18	8.25	97	15.0	0	40.7	22.8	100	45.0	10.3	101
	40×20 (密植)	1,250	7.18	8.25	100	13.2	0	30.1	23.7	104	45.5	10.8	106
DO-707	70×40 (疎植)	357	8.1	9.7	151	23.7	0	15.4	22.5	92	43.4	9.8	88
	70×30 (標準)	476	8.1	9.7	159	21.2	0	6.9	24.4	100	45.5	11.1	100
	70×20 (密植)	714	8.1	9.7	173	18.3	0	18.0	24.7	101	46.5	11.5	104

表3　　窒素施肥反応試験(平成4・北農試・遠軽)

品種名	N施肥量 (kg/a)	総重 (kg/a)	菌核発 病株率(%)	子実重 (kg/a)	同左標準比 (%)	油分(%)
Sunwheat101	0.4(少肥)	56.2	27.3	19.2	97	45.2
	0.8(標準)	65.7	29.1	19.8	100	43.4
	1.2(多肥)	80.9	33.8	18.4	93	39.5
DO-707	0.4(少肥)	69.0	11.1	23.5	90	47.3
	0.8(標準)	85.7	11.1	26.0	100	48.1
	1.2(多肥)	83.3	12.0	24.6	95	46.5

表4　　脂肪酸組成とα-トコフェロール(平成3年)

脂肪酸組成(%)及び α-トコフェロール(mg/100g)	品種名
	Sunwheat101	DO-707	IS-3001(参考)
パルミチン酸	5.7	5.9	6.4
ステアリン酸	5.6	4.5	3.6
オレイン酸	27.7	23.5	17.3
リノール酸	61.0	66.4	72.7
α-トコフェロール	84.7	98.9	88.9

注１)旭油脂株式会社分析
　 ２)リノール酸はリノレン酸、アラキド酸共に必須脂肪酸
　 ３)α-トコフェロールはビタミンE

11.成果の活用と留意点‥指導参考

12.残された問題とその対応‥規稈品種の栽植様式の検討