1.分類  草地 育種 長大型作物 A-5
     北海道 草地
2.課題名  とうもろこし(サイレージ用)「3477」に関する試験
3.予算区分  受託
4.研究期間  平成2年〜平成4年
5.担当  農水省北海道農試、道立中央農試、道南農試
6.協力分担関係

7.目的
 サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験研究方法
 系続名:3477
 組合せ:単交配(デント×デント、構成系統は不明)
 育成者:カーギル・インコーポレテッド(アメリカ)
 導入者:カーギル・ジャパン・リミテッド
 登 録:なし

9.結果の概要・要約
(1)絹糸抽出期および収穫時熟度
 絹糸抽出期は「キタユタカ」と同程度である。
 収穫時熟度は「キタユタカ」並である。
 絶体の乾物率は「キタユタカ」より高い。
 中生の中に属する。
(2)耐倒伏性
 耐倒伏性は「キタユタカ」並である。
(3)発芽および初期生育
 発芽は「キタユタカ」並で、初期生育は「キタユタカ」並かやや劣る。
(4)形態的特性
 稈長は「キタユタカ」より高く、着雌穂高は「キタユタカ」並かやや高い。
(5)収量性および乾物特性
 乾物収量、TDN収量は「キタユタカ」より多い。
 乾雌穂重割合、乾物中TDNは「キタユタカ」より高い。
(6)耐病性
 すす紋病抵抗性は「キタユタカ」より強く、ごま葉枯病抵抗性は「キタユタカ」より弱い。

10.主要成果の具体的数字


形質

品種・
系統名
発芽期
(月日)



絹糸
抽出期

(月日)


(cm)




(cm)


(%)



収穫時熟度 10a当り収量(㎏) 総体
の乾
物率
(%)
乾雌
穂重
割合
(%)
乾物

TDN
(%)
乾総重 TDN
(%)




2

4
3477 5.24 2.8 8.02 201 76 0.0 0.5 黄中〜後 1509 1123 104 30.8 60.4 74.4
キタユタカ 5.24 2.2 8.01 194 85 0.0 0.5 黄中〜後 1461 1075 100 29.0 57.3 73.6
P3732 5.24 3.0 8.05 214 99 22.7 0.2 黄中 1606 1188 111 29.7 58.8 74.0



2

4
3477 5.21 1.3 7.29 224 104 6.1 0.0 黄中 1934 1414 122 30.8 55.5 73.1
キタユタカ 5.21 1.4 7.29 218 96 2.7 0.0 黄中 1610 1161 100 30.2 52.1 72.2
P3732 5.21 1.3 8.02 244 125 1.2 0.0 黄中 1919 1401 121 29.6 55.4 73.1



3

4
3477 5.23 2.4 7.29 240 97 8.3* 0* 黄中 1774 1290 119 33.1 54.0 72.3
キタユタカ 5.22 1.5 7.29 217 91 36.6* 0* 黄後 1517 1082 100 28.9 48.8 71.3
P3732 5.23 2.2 8.02 260 130 3.2* 0* 黄中 1959 1409 130 32.2 48.1 72.0


3

4
3477 5.26 1.6 8.10 224 92 1.6 0.1 黄初〜中 1684 1209 118 27.9 50.6 71.8
キタユタカ 5.26 1.6 8.12 206 89 1.8 0.4 黄初〜中 1453 1025 100 27.1 45.4 70.4
P3732 5.26 1.5 8.14 240 106 1.3 0.3 黄初 1753 1260 123 26.2 50.8 71.8


3

4
3477 5.24 - 8.11 236 95 0.0 0.0 黄中 1380 1035 106 26.7 62.8 75.0
キタユタカ 5.24 - 8.10 236 100 0.0 0.0 黄中 1339 980 100 25.3 56.3 73.3
P3732 5.24 - 8.12 260 103 0.0 0.0 黄中 1351 1002 102 24.4 59.3 74.1
注)初期生育は指数(1:良〜5:否)で示す。
 *道南農試の倒伏、すす紋病は平成4年度の値を示す。
 *倒伏に折損を含む。

  すす紋病 ごま葉枯病
平2 平3 平2 平3
3477 2.4 2.0 3.5 4.0
キタユタカ 3.0 2.7 3.0 3.3
注)平2 すす紋病、ごま葉枯病はともに8月27目調査
 平3 すす紋病8月28日、ごま葉枯病8月27日調査
 Elliott&Jenkinsの罹病指数(0:無〜5:甚)による

11.成果の活用面と留意点
1)普及対象地域:道央(北部を除く)、道南
2)栽培利用上の注意:一般栽培基準に準ずる
3)種子供給が可能となる時期:平成5年
4)普及見込み面積:1000ha
5)配布しうる種子量:50t

12.残された問題とその対応