1.課題の分類 総合農業 経営 5-4-6 北海道 2.研究課題名 NAPASSを活用した競合産地分析システムの開発 (青果物市況情報を活用した道外競合野菜産地の出荷戦略の解明) 3.予算区分 道単 4.研究期間 (平成4年) 5.担当 北海道立中央農業試験場 経営部流通経済科 松山秀和 6.協力・分担関係 なし |
7.目的
道産野菜の移出拡大のための出荷対応を分析する競合産地分析システムを開発し、北流道と出荷時期が競合する産地の特定化と出荷動向を分析する。
8.試験研究方法
(1)青果物市況情報の構築
(2)青果物市況情報を活用した競合産地分析システムの開発
(3)競合産地分析システムによる市場動向分析
9.結果の概要・要約
(1)道内野菜生産の拡大により道外移出のウエイトが益々高まっている。道外移出を積極的に進めるた
めには、産地としての技術的対応(品質の向上、安定供給等)と合わせて、北海道として分荷戦略を構
築するうえで市場動向分析が重要である。
(2)そこで青果物市況データを活用した競合産地分析システムを開発した。競合産地分析は現状分析と
戦略分析に分かれ、分析視点によってさらに現状分析は①「出荷対応」方式と②「産地分析」方式、戦
略分析は③「産地育成」方式と④「出荷戦略」方式で構成される。このうち今回提案した競合産地分析
は、現状分析の「出荷対応」方式についてである。この方式は、データベースから検索した青果物市況
データを、集計加工し、北海道が出荷している市場の時系列分析により競合産地の特定化と出荷動向
を分析する(図1.)。このシステムの特徴は、分析の対象となる市場および品目は、全国68市場における
野菜53品目及び果実65品目であり、産地別の入荷量と価格について年、月、旬、週、日別いずれの期
間も分析が可能である。
(3)ダイコンとホウレンソウの2品目について競合産地分析を実施した。対象市場は、北海道の出荷割合
が高い全国の中央卸売市場を代表して大田市場、名古屋本場、大阪本場の3市場について実施した。
その結果、ダイコンについては3市場で出荷時期を前進しながらシェアの拡大を実現し(表1)、価格につ
いても競合産地より高い水準で推移している実態が明らかとなった。産地別の市場動向は、名古屋本
場では長野、大阪本場では岡山が出荷量の減少と出荷時期の縮少が進み市場から後退していく実態
が、また青森は大田市場と名古屋本場では、北海道の出荷時期をさげる出荷対応がみられた(図2)。
ホウレンソウについては、道産品目の拡大は名古屋本場だけであった。産地別の市場動向は、大田
市場では岩手の出荷実態は出荷の継続と定量出荷によってシェアの拡大を図り、価格も市場平均より
常に高い水準を実現している(図3)。名古屋本場と大阪本場では岐阜のシェアが高く、特に大阪本場で
は北海道が出荷する時期は岐阜がシェアを独占していることが明らかとなった。
(4)北海道の今後の出荷対応としては、「道産野菜移出拡大協議会」が実施したリレー出荷による市場拡
大効果はダイコンの例として端的に現われており、市場動向分析からみても、シェアの拡大を行なって
いる産地の出荷実態は、まさしくそのような状況の中で成果を上げている。したがって道内産地が特定
の市場に集中的に出荷していくためには、今回の3市場からさらに分析対象市場を拡大した市場動向
分析が必要であり、競合産地分析システムはそのための強力な手段となる。
10.成果の具体的数字
11.成果の活用と留意点
競合産地分析システムの価格は、市況データで報告される気配価格(高値、安値)であり、統計資料等で報告されている確定値とは異なるので注意が必要である。
12.残された問題点とその対応
新たな競合産地分析手法の開発と、分析加工処理の簡略化が残されている。