1.課題の分類 総合農業 営農 経営 7-7-1 北海道 経営 2.研究課題名 農業情報を活用した酪農経営指導支援システムの開発 8.予算区分 道費 4、研究期間 平成2年〜4年 5.担当 根釧農試研究部経営科 6.協力・分担関係 なし |
7.目的
営農指導の効率化と内容の充実を図るため、以下のような機能を装備した酪農経営指導支援システムを開発する。
1)分散している農業経営情報を効率的に収集する。
2)収集した農業経営情報を指導目的に応じて検索、加工が出来るようにすると共に、その結果を利用
したシミュレーションを可能にする。
3)系統だった情報学習を可能にする。
8.試験研究方法
1)酪農経営に対する指導の実態と効率的、効果的な酪農経営指導支援システムのあり方
2)酪農経営指導支援システムの開発と現地実用化試験
3)酪農経営指導支援システムの導入方法
9.結果の概要・要約
酪農経営指導支援システムの全体構成を図に示した。酪農経営指導支援システムは、大きくは農業簿記システム、乳牛飼養管理システム、経営診断システム、経営計画システムの4つのシステムを想定している。開発は、関係機関及ぴ農家の協力を得、現地実用化試験を通じて実施した。
1)経営計画システム(利用主体:指導機関、農家)
農協営農指導業務のうち、業務量が多く時間のかかる計画策定、個別農家の借入金管理等を迅速
に行うために、現地実用化試験(釧路、根室管内)を通じて酪農経営長期営農計画作成システム、借入
金管理システムを開発した(開発は市販の表計算ソフトを利用。開発の主な内容は図を参照)。このシス
テムの開発により、農協等では、従来1経営につき2〜3日要していた酪農経営長期営農計画策定を数
時間で行うことができるようになった。また、そのことによって生み出された時間を模家との対話に活用
することができ、より充実した計画作成、事後指導強化が図られるようになった。
2)農業簿記システム(利用主体:農家)
農家の農業簿記記帳を支援するために昭和62年に開発した簿記システム(平成4年8月末利用者数
382戸)の機能強化を図った。他の3つのシステム及び市販の汎用ソフトとのデータの互換性を高めるた
め、これまで開発した「DISKBASIC」のシステムを「MS-DOSBASlC」へ変換した。新組勘制度導入に伴
う組勘データのデータコンバートを可能にした。
3)経営診断システム(利用主体:指導機関)
現状での農業経営情報を利用しての経営診断、経営計画上での問題点を明らかにすると共に、今回
の分析を通じて作成したシステム(一部現地実用化試験済み)を指導者の誰もが利用できるような形で
提供できるようにモデル開発中である。
4)乳牛飼養管理システム(利用主体:農家)
現地農業情報システムの構築状況をみながら、検討を進めている。
※今回は、現地実用化試験を完了した経営計画システム(酪農経営長期営農計画策定システム、借入金管理システム)と機業簿記システムのバージョンアップ分を提供する。
10.主要成果の具体的数字
11.成果の活用面と留意点
1)農業経営情報の管理と農家のプライバシーの保護を十分検討する。
2)農業簿記、借入金管理システムはどの経営形態でも利用可能。酪農経営長期営農計画策定システ
ムは酪農経営、酪農地帯で利用可能。
3)システムの公表は、新組勘情報の最終テスト終了後(平成5年4月以降)。
12.残された問題点とその対応
残されたシステムの開発と農業情勢、技術革新に応じた各システムの機能向上を今後とも図る必要がある。