新品種候補
【普及奨励事項】           (作成6年1月)
総合農業 作物生産  夏作物  ひまわり-Ⅰ-1
北海道  作物     畑作    ひまわり
ひまわり新品種候補系統「北交2号」の概要
北海道農業試験場畑作研究センター遺伝資源利用研究室

1.特性一覧表

系統名   北交2号

組合せ   ADY-4xADK-4

特性
長所  1.早生、多収である。
短所  1.含油率がやや低い。

採用県と普及見込み面積   北海道 100ha

調査調所 育成地(遠軽町) 中央農試(長沼町) 北見農試(訓子府町)
系統・品種名
形質\
北交
2号
DO-
707
(標準)
Sunwhe
at-101
(参考)
北交
2号
DO-
707
(標準)
Sunwhe
at-101
(参考)
北交
2号
DO-
707
(標準)
Sunwhe
at-101
(参考)
早晩性 極早 極早 極早
開花期(月日) 7.28 7.28 7.23 7.24 7.21 7.2 8.1 7.31 7.27
成熟期(月日) 9.4 9.4 8.28 9.3 9.4 8.28 9.16 9.18 9.5
茎長(cm) 171 139 87 157 116 79 170 141 89
茎の太さ(mm) 21.9 23.9 23.1 19.5 18.6 17
頭花径(cm) 17.3 19.9 15.3 16.3 17 12.3 15.3 17.4 12.8
倒伏程度
菌核病
発病程度(%)
15.9 13.8 23.3 22.1 26.2 25.1 27.8 30.8 41.1
子実重(kg/10a) 284 264 188 328 307 312 239 213 168*
子実重
標準対比(%)
108 100 71 107 100 102 112 100 87
千粒重(g) 47.7 49.2 53.7 41.8 45.3 43.7 46.2 44.7 42.0*
1リットル重(g) 435 406 396 - - - - - -
含油率(%) 47.3 49.3 41.9 44.1 46.5 41.3 48.3 51.6 44.5*
粗油量(kg/10a) 134 131 78 139 138 127 114 110 75
種子の色 - - - - - -
種子の斑紋 - - - - - -
種子の形 長卵形 長卵形 長卵形 - - - - - -
調査年次 平成元年〜平成5年 平成3年〜平成5年 平成3年〜平成5年
注)*平成4〜5年の2ケ年平均

2.「北交2号」の特記すべき特徴
「北交2号」は、北海道農業試験場畑作物生産部(現畑作研究センター)において、早生、高含油、多収性の品種育成を目標に、昭和63年に細胞質雄性不稔系統「ADY-4」を母とし、稔性回復系統「ADY-4」を父として交配した単交配の一代雑種である。
油料用の早生種に属し、茎長は「D0-707」に比べて30cmほど高く、やや長桿である。葉形は心臓形、葉色は淡緑、葉縁は鋸歯で不規則である。開花期および成熟期は「D0-707」と大差がなく同程度である。頭花は単性、筒状花は横向きで、頭花径は「D0-707」よりやや小さい。倒伏程度は「D0-707」と同程度のやや強である。菌核病の被害は「Sunwheat- 101」より少く、「D0-707」と大差なく同程度である。子実収量は「D0-707」に比軽して多収であるが、粗油量は含油率がやや低いため「D0-707」と同等である。脂肪酸組成での主成分であるリノール酸は「D0-707」と同程度であるが、α一トコフェロール(ビタミンE)の含量はやや少ない。

3.奨励品種に採用する理由
現在、北海道で栽培されている主要品種は「IS-3311」、「D0-707」、「Sunwheat-101」等の外国からの輸入品種(F1品種)である。これまでの輸入品種は、輸出元での採種事情によって種子の生産中止が相次ぎ、そのため栽培品種の変遷が著しく、現場での普及・指導に支障をきたしていた。このような品種事情から国産優良品種開発による種子の安定供給が要望されていた。
「北交2号」は輸入品種「D0-707」に比べて、含油率はやや低いが子実収量が優っているため増収が期待できると共に、国内育成品種であるため種子の安定供給が可能となることから、北海道のひまわり栽培の安定生産に大きく寄与すると期待される。

4.普及見込み地帯
   北海道一円

.5.栽培上の注意
1)菌核病は適期防除につとめる。
2)発芽、成熱期に鳥害防止対策を講じることが望ましい。
3)その他栽培法は「ひまわりの標準栽培法」(1987)に準ずる。