成績概要書【指導参考事項】                   (平成6年1月)
1.課題の分頼 北海道 花き 栽培 シュッコンカスミソウ 栽培一般
2.研究課題名 岩宇地域におけるシュッコンカスミソウの無加温10,11月どリ栽培に関する試験
         (岩宇地域におけるシュッコンカスミソウの10月どり栽培に関する試験)
3.予算区分 道単
4.研究実施年度・研究期間 平成3年〜5年
5.担当 北海道原子力環境センター
     農業研究科
6.協カ分担開係 中央農試

7.目的
岩手地域の秋季における気候の温暖さを生かして、高収益の期待できるシュッコンカスミソウの10,11月どり栽培法を確立し、この地域のハウス栽培の作付体系の改善および経営の安定化をはかる。

8.試験研究方法
1.定植期(平成2年〜3年)
試験処理:平成2年:8月5日、8月10日、8月20日
  平成3年:7月23日、7月30日、8月12日
供試ハウス:平成2年:固定アクリスハウス、平成3年:簡易パイプハウス
供試品種:ブリストルフェアリー(以下の試験に全て共通)
2.遮光処理(平成3年、5年)
試験処理: 平成3年: 定植期、 7月23日:無処理、45%・12日、23日、90%12日
      7月30日:無処理、45%・16日、35日、90%16日
  平成5年: 定植期(7月25日、7月30日、8月5日)x遮光率(0%、45%、90%)
x日数(12日、23日)
供試ハウス: 簡易バイブハウス
3.マルチの種類・方法(平成2年〜3年)
試験処理:無処理、(白黒+ポリ)マルチ、白黒ダブルマルチ、シルバーマルチ、反射フィルム
白黒ダブル+電熱線.
供試ハウス:固定アクリルハウス
4.栽植密度と仕立て(平成2年〜3年)
試験処理:株間(40,50,60cm)x仕立て数(3,4,5本)
供試ハウス:簡易バイブハウス

9.結果の概要・要約
1.定植期
①切花長、切花重、茎径は遅い定植ほど大きくなったが、未開花の分枝も大きくなり調整重には大きな差はなかった。
②7月下句定植で到花日数は65〜75日で10月中旬〜11月上旬採花終、8月上旬(5日前後)定植では到花日数が65日〜80日となリ採花終は10月下旬〜11月中旬となり(表−1,2,3)、90%以上採花された。
2.遮光処理
①切花果、切花重、茎径は遮光率が高いほど、日数が長いほど大き<なったが、未開花の分枝も大きくなり調整重には大きな差はなかった。
②遮光率が高いほど、期間が長いほど、定植期が遅いほど、採花時期は遅れた。
③採花率は、7月中の定権の処理では45%・12〜35日、90%・12-16日では高かったが、90%・23日処理では70〜80%となった。8月上旬定植の処理では十分な採花率は得られなかった(表−2)。
3.マルチの種類・方法
①白黒ダブル、反射フィルムでマルチをすると切花重、茎径は大きくなったが調整重には大きな差はなかった。
②採花時期はマルチ+地温を上げる処理(電熱線併用、白黒+ポリマルチなど)によって早くなった。
4.栽植密度・仕立て敦
①粗植、仕立て数が少ないほど切花長は大きくなった。茎径、調整重は仕立て数が少ないほど大きくなり、切花品質は向上した。

10.主要成果の具体的数字
表-1 定植期
年度 定植期
月.日
採花始
月.日
採花期
月.日
採花終
月.日
到花
日数
採花率
%
切花長
cm
切花重
g
調整重
g
茎径
mm
2年 8.5   10.31     100 81 128 55 4.3
8.10   11.12     94 96 166 83 5.8
8.20       14 98 137 71 6
3年 7.23 9.26 10.1 10.18 65 100 94 160 105 6.2
7.30 10.6 10.8 10.18 68 100 99 165 115 6
8.5 10.9 10.18 11.15 65 100 103 185 95 5.9
8.12 11.22 102 14 102 180 90 5.7
注:平成2年採花期は、時期別採花率より推定

表-2 遮光処理 
年度 定植期
月.日
遮光率
・日数
採花始
月.日
採花期
月.日
採花終
月.日
倒花
日数
採花率
%
切花長
cm
切花重
g
調整重
g
茎径
mm
3年 7.23 無処理 9.26 10.1 10.18 65 100 94 160 105 6.2
45・12 9.29 10.6 10.14 68 100 91 135 90 6.2
45・23 10.5 10.11 10.20 74 100 95 135 95 5.8
90・12 10.6 10.11 10.20 75 100 102 160 110 5.9
7.30 無処理 10.7 10.13 10.18 69 100 102 150 110 6
45・16 10.11 10.14 10.20 73 100 102 140 100 6.1
45・35 10.12 10.15 11.5 74 100 103 170 100 5.7
90・16 10.21 10.26 11.5 83 100 116 185 110 6.3
5年 7.25 無処理 10.6 10.15 10.29 73 97 98 169 92 5.3
45・12 10.12 10.22 10.29 79 100 101 213 84 5.4
45・23 10.12 10.22 11.26 79 89 101 224 81 5.6
90・12 10.22 10.29 11.12 89 97 105 218 83 5.9
90・23 11.2 11.16 96 81 118 291 88 6.6
7.30 無処理 10.13 10.29 11.9 75 97 107 237 89 6.1
45・12 10.22 10.29 11.9 84 100 107 235 90 6.1
45・23 10.26 11.5 11.16 88 100 112 236 96 6
90・12 10.29 11.9 11.12 91 100 111 261 97 6.6
90・23 11.16 11.26 108 70 123 321 93 6.7
8.5 無処理 10.22 11.5 11.16 78 100 108 231 84 6.4
45・12 10.26 11.10 82 70 105 190 90 5.8
45・23 11.12 98 44 117 282 78 6.6
90・12 11.9 11.19 95 73 119 277 90 6.5
90・23 3 116 340 130 6.9

表-3 マルチの種類
年度 マルチの種類 採花始
月.日
採花期
月.日
採花終
月.日
到花
日数
切花長
cm
切花重
g
調整重
g
茎径
mm
2年 無処理(裸上)   10.29     83 110 42 3.9
白黒+ポリ*   10.20     84 130 53 4.7
白黒ダブル   10.25     88 128 53 4.6
シルバー   10.22     83 110 48 4.1
白黒+電熱線**   10.16     83 117 49 4.6
3年 無処理(裸上) 10.28 11.2 11.27 83 102 125 85 4.1
白黒+ポリ* 10.16 10.26 11.27 71 106 150 80 5
白黒ダブル 10.16 10.26 11.15 71 105 150 80 4.8
反射フイルム 10.18 10.28 11.27 73 106 150 85 4.9
白黒+電熱線** 10.11 10.20 10.31 66 98 145 75 4.8
注:定植日: 平成2年:8月4日  採花率は全区100%
平成3年:8月6日
 *:白黒ダブルは9月中旬除去、**:設定温度20℃
  平成2年採花期は、時期別採花率より推定

表-4 栽植密度(平成3年)
  株間・仕立て数 採花始
月.日
採花終
月.日
到花
日数
切花長
cm
切花重
g
調整重
g
茎径
mm
7

30
40cm・3本 10.8 10.18 70 89 160 120 6.5
40cm・4本 10.8 10.22 70 93 140 100 5.7
40㎝・5本 10.8 10.3 70 94 130 90 5.7
50㎝・3本 10.7 10.18 69 96 180 140 6.2
50㎝・4本 10.8 10.25 70 97 150 110 5.9
50㎝・5本 10.7 10.28 69 99 140 100 5.9
60㎝・3本 10.6 10.22 68 99 230 170 6.7
60㎝・4本 10.6 10.24 68 94 170 110 6.1
60㎝・5本 10.6 10.28 68 95 150 110 5.7
8

5
40㎝・3本 10.17 10.31 73 103 210 120 6.5
40㎝・4本 10.17 10.31 73 103 190 140 4.4
40㎝・5本 10.19 10.31 75 103 150 80 5.3
50㎝・3本 10.14 10.28 70 101 220 140 6.6
50㎝・4本 10.17 10.31 73 107 160 80 6.2
50㎝・5本 10.19 10.31 75 105 160 90 5.7
60㎝・3本 10.17 10.28 73 111 240 160 6.9
60㎝・4本 10.17 10.31 73 106 210 120 6.4
60㎝・5本 10.19 10.31 75 108 220 130 6.2

11.成果の活用面と留意点
1.適応地域は岩宇地域及び類似の気象条件の地域とする。
2.遮光処理する場合は、7月下旬定植までとし、遮光率・日数は、早い定植の場合は45%・23〜35日または90%・12〜16日、遅い定植の場合は、45%・23日または90%12日程度とする。
3.未採花を防止するためには、9月下旬以降の地温を上げるマルテ+電熱線併用などの処理効果が高い。

12.残された問題点と対応
6月定値、7月再ピンチによる10,11月どりの検討