【普及奨励事項】
1.課題の分類 北海道 畜産 牧草・飼料作物
2.研究課題名 とうもろこし(サイレージ用)「SX123」に関する試験(栽培適地の拡大)
3.予算区分 受託
4.研究期間 平成4〜5年
5.担当 北農試、道立上川農試、滝川畜試
6.協力分担関係 道立十勝農試

7.目的
サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験方法
系統名:SX123
組合わせ:単交配{デント×デント 構成系統名は不明}
育成者:カーギル・インコーポレテッド(アメリカ合衆国)
導入者:カーギル ジャパン、リミテッド
登録:なし

9.結果の概要・要約
1)熟期
絹糸抽出期は「キタユタカ」と同程度で、「キタアサヒ」より3〜4日遅い。収穫時熟度は「キタユタカ」並かやや遅れる。総体の乾物率は「キタユタカ」よりやや高く、「キタアサヒ」と同等かやや低い。熟期は「中生の中」に属する。HRMは(136)である。
2)耐倒伏性
「キタユタカ」より強く、「キタアサヒ」に比べてもやや強い。
3)発芽および初期生育
発芽は「キタユタカ」並で、初期生育は「キタアサヒ」「キタユタカ」並かやや劣る。
4)収量性および乾物特性
TDN収量は、「キタアサヒ」「キタユタカ」に比べやや高い。乾物中TDNは「キタアサヒ」「キタユタカ」より高い。
5)形態特性
稈長は「キタユタカ」よりやや高く、着穂高は「キタユタカ」並である。
6)耐病性
すす紋病抵抗性は「キタユタカ」よりやや強い。
ごま葉枯病抵抗性は「キタユタカ」よりやや弱い。

10.成果の具体的数字
品種または
系統名
すす紋病 ごま葉枯病
H1.9.1 H2.8.27 H3.8.28 H1.9.1 H2.8.27 H3.8.28
SX123 2.5 3.0 2.0 3.5 3.3 4.0
キタアサヒ - 3.3 3.2 - 3.8 4.7
キタユタカ 2.8 3.0 2.7 3.3 3.0 3.3
注)Elliot & Jenkinsの指数(0:無〜5:甚)による。

2)生育・収量調査
試験
場所
品種
または
系統名
発芽

(月日)
初期
生育
絹糸
抽出

(月日)
稈長
着穂

倒伏

折損
%
収穫

熟度
収量(㎏/10a) 総体
乾物

%
乾雌
穂重
割合
%
乾物

TDN
%
乾物
総重
TDN 同左
比率
%

農試
SX123 5.26 3.0 8.11 201 80 0.0 黄初 1470 1076 104 27.0 55.9 73.2
キタアサヒ 5.26 2.7 8.7 186 81 0.0 黄中〜後 1256 907 87 25.8 52.0 72.2
キタユタカ 5.26 2.5 8.11 196 86 5.6 黄初〜中 1447 1038 100 25.3 50.5 71.8
上川
農試
SX123 5.29 2.7 8.9 235 104 0.0 黄初〜中 1508 1087 113 26.8 49.0 72.1
キタアサヒ 5.28 2.3 8.6 226 104 0.2 黄中 1366 954 99 26.8 43.3 69.8
キタユタカ 5.29 2.3 8.9 225 105 0.0 黄中 1390 962 100 23.5 41.3 69.2
滝川
畜試
SX123 5.31 1.7 8.1 230 106 1.7 黄中 1529 1108 101 25.0 53.0 72.5
キタアサヒ 5.30 1.2 8.8 219 106 6.0 黄中 1528 1092 99 26.0 49.4 71.5
キタユタカ 5.30 1.3 8.11 224 104 10.0 黄中 1556 1100 100 23.4 46.6 70.7
美深
SX123 6.5 2.5 8.19 255 101 2.5 糊中〜後 1308 899 98 21.0 39.3 68.8
キタアサヒ 6.5 2.0 8.16 257 110 0.0 糊後〜黄初 1273 850 93 22.0 31.2 66.6
キタユタカ 6.5 2.5 8.19 251 110 2.5 糊中 1364 915 100 19.9 32.7 67.0
深川
SX123 (6.14) 1.5 8.19 222 94 0.0 黄中 1270 913 105 25.5 51.5 72.0
キタアサヒ (6.12) 1.5 8.17 214 97 0.4 黄中 1314 946 108 27.2 51.8 72.1
キタユタカ (6.14) 1.8 8.18 209 85 1.7 黄中 1229 873 100 24.3 47.9 71.1
注)1)試験年次は、各場所とも平成4〜5年である。
 2)( )内は平成4年の成績を示した。
 3)初期生育は、1:良〜5:否の指数で示した。

11.成果の活用面と留意点
1)普及対象地域:道央
2)栽培利用上の注意:一般栽培基準に準ずる。
3)種子供給カ河能となる時期:販売中
4)普及見込み面積:1000ha
5)配布し得る種子量:20t

12.残された問題とその対応