成績概要書(平成7年1月)

1.課題の分類  北海道 花き 栽培 アスチルベ 品種比較
2.
研究課題名  切花用アスチルベの品種特性調査
          (切花用カンパニュラ・アスチルベの導入試験)
3.
予算区分  道単
4.
研究期間  平成3〜5年
5.
担当  中央農試園芸部野菜花き第二科
6.
協力・分担関係  なし

7.目的
 省力栽培用花きとして注目されるアスチルベ品種の特性調査を行い、北海道の花き
生産の品目を拡大し、発展に寄与する。

8.試験研究方法
 1)試験実施場所中央農試園芸部圃場
 2)試験実施年次平成3年度〜平成6年度(4カ年)
 3)供試材料品種a群:9品種、品種b群:8品種
  a)エトナ、メインズ、エリカ、ブレーメン、レインランド、スパルタン、ジャーマニー、ダイヤモンド、
   ダッチランド。
  b)グロリアパープレア、アメジスト、アメリカ、スパルタン、エリカ、タケテイスーパーバ、ブライトシャイア、
   ホワイトグロリア。
 4)栽培条件
  a)試験規模1区10株、2反復、露地栽培。
  b)栽植密度畝幅150㎝、1条植え、株間30㎝
  c)土壌条件未熟火山性土
  d)苗の来歴
   (1)品種a群は平成3年4月に苗購入後、5月に定植し露地で越冬させ、4年5月7日に全株掘り取り苗
     質を揃えて改植した。
   (2)品種b群は平成3年11月に苗購入後、ポットに鉢上げし加温ハウス内で越冬させ、4年5月7日に
     露地に定植した。
  e)施肥各年、5月上旬に化成肥料1.51.51.5/aNP2O5K2O)、8月開花後に
   0.50.50.5/aNP2O5K2O)を施した。

9.結果の概要・要約
《1:採花期》
 6年度は5年度に比べ、1週間程度開花が早まったが、品種の早晩は両年とも同じ傾向にあった。ジャーマニーが最も早く7月上旬に、次いでブレーメン、アメリカなどが開花した。スパルタン、タケテイスーパーバは晩生で8月上旬に開花した。品種により約1ヵ月の差が生じた。
《2:採花数》
 良花数が多かったのはダイヤモンド、レインランド、ダッチランド、タケテイスーパーバであった。一方、ジャーマニー、ブレーメン、アメリカ、メインズは良花は少なかった。
《3:切花長》
 5年度は各品種とも比較的良好な結果が得られたが、平成6年度は各品種とも短くなった。品種間の関係は両年とも同様な傾向であり、ダイヤモンド、レインランド、ダッチランド、タケテイスーパーバ、アメジストが長く、ジャーマニー、ブレーメン、アメリカ、メインズなどは短かった。
《4:切花重》
 5年度は各品種とも比較的良好な結果が得られたが、平成6年度は各品種とも軽くなった。タケテイスーパーバ、アメジスト、グロリアパープレア、レインランドが重く、ジャーマニー、アメリカ、メインズ、ブレーメン、スパルタンが軽かった。

 

10.成果の具体的数字

1  開花特性(平成5年度)

品種

採花期z
(
月日)

採化数y
(
/)

良化数x
(
/)

切花重w
(g)

切花長w
(
)

花穂長w
(
)

花穂幅w
(
)

葉数w
(
)

茎径w
(mm)

a

エトナ

7.19

22.3

14.5

19.4

73.7

26.5

8.7

6.3

5.1

メインズ

7.20

19.5

9.8

17.2

59.2

23.0

10.2

3.0

4.9

エリカ

7.28

20.3

17.0

26.1

79.0

20.5

9.6

3.4

6.0

ジャーマニー

7.09

12.2

1.0

13.5

49.2

17.4

13.5

3.2

3.6

ダイヤモンド

7.28

26.7

22.2

23.3

83.9

26.1

8.8

3.2

5.2

ブレーメン

7.14

14.0

6.0

18.1

54.4

16.6

11.4

2.5

4.9

レインランド

7.28

23.7

20.0

29.7

91.1

10.4

8.6

4.2

5.5

スパルタン

8.10

22.7

13.3

17.7

75.6

16.4

7.9

5.7

3.8

ダッチランド

7.28

24.3

19.7

22.9

90.3

24.6

20.1

3.8

5.0

b

グロリアパープレア

7.28

20.0

17.5

32.3

78.4

19.2

8.2

4.3

6.5

アメジスト

7.27

16.7

16.2

32.5

95.9

29.1

15.1

3.1

6.4

アメリカ

7.16

17.7

9.3

16.8

61.5

19.0

11.0

3.0

4.9

ブライトシャイア

7.21

15.7

13.8

26.1

70.8

24.3

25.9

3.3

4.7

ホワイトグロリア

7.28

15.2

13.0

25.5

63.5

10.1

9.6

3.5

4.7

スパルタン

8.10

15.8

10.3

19.4

72.8

16.7

8.6

4.7

3.7

エリカ

7.28

11.3

9.0

29.7

73.2

25.1

9.4

3.1

5.8

タケティスーパーバ

8.18

19.0

18.3

58.2

98.7

30.1

7.8

4.4

6.8

 z60%の株を採花した日。y採化数は切花重10g以上の本数。
 x良花は切花重15g、切花長55cm以上の本数。
 w切花重10g以上を対象として集計。

 

2  品種の概要

品種

花色

早晩性z

良化数y

切花長x

切花重w

花穂長v</sup

花穂幅u</sup

エトナ

濃赤

早生

ヤヤ軽

ヤヤ長

ヤヤ狭

スパルタン

鮮赤

晩生

ヤヤ長

ヤヤ軽

ヤヤ短

ヤヤ狭

メインズ

淡赤紫

早生

ヤヤ少

ヤヤ軽

ヤヤ狭

レインランド

淡赤紫

晩生

ヤヤ重

ヤヤ長

ヤヤ狭

アメジスト

中生

抑多

ヤヤ重

タケティスーパーバ

桃藤

極晩生

ヤヤ多

ブレーメン

早生

ヤヤ少

ヤヤ軽

ヤヤ短

ヤヤ狭

グロリアパープレア

中生

ヤヤ多

ヤヤ長

ヤヤ重

ヤヤ狭

アメリカ

淡桃

早生

ヤヤ少

ヤヤ狭

エリカ

淡桃

中生

ヤヤ狭

ジャーマニー

極早生

ヤヤ短

ブライトシャイア

早生

ヤヤ重

ダイヤモンド

中生

ヤヤ長

ヤヤ長

ヤヤ狭

ホワイトグロリア

晩生

ヤヤ短

ヤヤ狭

ダッチランド

晩生

ヤヤ広

〜基準値〜

 z早晩生(月日)

 y良化数()

 x切花長()

 w切花重(g)

 v花穂長()

 u花穂幅()

極早〜7/10

20=<

85=<

33=<

30<

23=<

早生〜7/20

ヤヤ多<20

ヤヤ長<85

ヤヤ重<33

ヤヤ長<30

ヤヤ広<23

中性〜7/30

<15

<75

<27

<25

<18

晩生〜8/10

ヤヤ少<10

ヤヤ短<65

ヤヤ軽<21

ヤヤ短<20

ヤヤ狭<13

極晩〜8/20

<5

<55

<15

<15

<8

 

11.成果の活用面と留意点
 1)品種概要は露地栽培条件下で定植後1年養成し、23年目一の切花特性である。
 2)アスチルベは生育旺盛な花きであるが、定植後活着するまでは乾かさないように管理する。

12.残された問題点とその対応
 1)栽培法と作型の確立
 2)鮮度保持技術の確立
 3)施肥法の検討