成績概要書(平成7年2月)
1.課題の分類  野菜 花き 栽培 カンパニュラ 栽培一般
2.研究科題名  切花用カンパニュラの導入試験
3.予算区分  道単
4.研究期間  平成6年度(平成3〜5年度)
5.担当  道立中央農業試験場園芸部野菜花き第二科
6.協力・分担関係  なし

7.目的
 切花用カンパニュラの特性を調査し、本道特産花きの品目拡大に資する。

8.試験研究方法
(1)品種特性の調査
  ①供試品種:二年草
   ⅰ.メジュウム〜「カーマイン」「ライラック」「セルレア」「ロゼア」「アルパ」「メイライトブルー」
             「カップ&ソーサ・ブルー」「カップ&ソーサー・ホワイト」「カップ&ソーサー・ローズ」
   ⅱ.クロメラータ〜「スーペルバ」「りんどう咲きカンパニュラ」
   ⅲ.ビラミタリス〜「青」「白」多年草
   ⅳ.ペルシキフォリア〜「紫」「白」
   ⅴ.ラクチフローラ〜混合
   ⅵ.ラティフォリア〜「マキュラータ」計6種17品種
  ②栽培方法:4月15日播種、8月定植、雨よけ、ベッド幅60〜90㎝2条植え、条間25〜50㎝、株間25㎝、
          N-P2O5-K2O〜1-1-1㎏/a
(2)播種期と収量・品質
  ①供試品種:
   ⅰ.メジュウム「セルレア」
   ⅱ.グロメラータ「スーペルバ」
   ⅲ.ピラミダリス「青」
   ⅳ.ベルシキフォリア「紫」
   ⅴ.ラクチフローラ(混合)
   ⅵ.ラティフォリア「マキュラータ」
  ②播種期:2月15日から9月15日まで1ヵ月間隔で8回
  ③栽培方法:(1)と同じ
(3)切花の鮮度保持
  ①保鮮剤の効果比較(STS系3種類)、処理方法(濃度:高〜低5水準、時間:5,22時間、温度:7,20℃)
  ②輸送条件(0、3、5、7、10,20、30℃で26、46時間の輸送シュミレーション)
  ③輸送用容器・包装の鮮度保持効果比較(段ボール箱、発泡スチロール箱、0PPフィルム等)

9.結果の概要
(1)品種特性
  ①1991年播種・定植苗の越冬率は80〜100%、1992年播種・定植苗では90%以上で、翌年概ね
   順調に生育した。
  ②早生種は6月下旬から開花しはじめ、ピラミダリス以外の5種は7月上中旬に開花が集中した。採花期
   間は1〜2週間だった。ピラミダリスは8月中下旬に開花し、採花期間は2〜3週間だった。ラティフォリ
   アは秋咲性が認められた。
(2)播種期と収量・品質
  ①8月播種ではラティフォリアが発芽しなかった。9月播種ではメジュウム以外の5種が発芽せず、メシュウ
   ムの発芽も著しく遅れ、降霜前に定植できなかった。
  ②播種期が早いぼど定植時の苗は大きく、越冬後の生育も旺盛だった。
  ③播種が可能な期間は以下のとおりであった。メジュウム「セルレア」=4〜7月(開花盛期は7月上旬、
   1株当6〜8本採花できた):グロメラータ「スーペルバ」=4〜5月(同6月下旬〜7月中旬、1株当4〜5
   本)。ピラミダリス「青」=4〜5月(同8月上旬〜中旬・1株当9〜10本):ベルシキフォリア「紫」=3〜7月
   (同6月下旬、1株当5〜12本):ラクチフローラ(混合)=2〜5月(同7月上旬〜中旬、1株当8〜10本)
(3)切花の鮮度保持
  ①採花後数時間で出荷する場合は、7℃に保管するときは水挿しだけでよく、20℃保管時はSTSを含む
   保鮮剤処理が有効であった。翌日出荷の場合は、処理場所の温度が7℃、20℃のいずれの場合にお
   いても保鮮剤処理が有効だった。
  ②鮮度保持適温は5〜10℃であった。
  ③低温、常温輸送のいずれにおいても輸送容器として段ボール箱が使用可能と考えられた。

 

10.成果の具体的数字

表1  1993年度採花調査結果(1992年度播種・定植分)
品種 越冬
株率
(%)
平均
開花日
株当
採花数
(本)
切花長
(㎝)
切花重
(g)
花穂長
(㎝)
花蕾

(個)
茎径
(㎜)
花冠

(㎝)
花冠幅
(㎝)

メジュウム
 
(つりがね草)
 
(ふうりん草)
カーマイン 100 7月10日 5.8 78 37 26 8 8.5 5 4
ライラック 88 7月7日 6.9 79 42 26 8 8.6 5 4
セルレア 100 7月7日 1.5 82 131 23 7 14.0 6 4
ロゼア 100 7月8日 5.5 65 34 23 9 8.3 5 4
アルバ 100 7月8日 3.9 75 52 21 9 11.9 5 4
メイライトブルー 100 7月5日 3.8 73 61 23 9 10.4 5 4
カップアンドソーサー・ブルー 100 7月4日 3.5 70 65 28 7 9.3 5 5
カップアンドソーサー・ホワイト 100 7月7日 3.8 68 86 23 10 10.4 4 4
カップアンドソーサー・ローズ 94 7月5日 3.0 60 45 23 7 8.7 6 6
グロメラータ
(八代草)
りんどう咲き 100 7月12日 4.1 54 21 20 66 7.0 2 2
スーペルパ 94 7月9日 5.1 27 18 14 37 5.7 2 2
ピラミダリス 94 8月19日 2.5 106 73 49 37 10.9 2 4
81 8月25日 2.2 124 81 58 28 12.1 3 4
ペルシキフォリア
(桃葉ぎきょう)
100 7月9日 13.8 81 23 25 12 5.8 3 5
100 7月10日 7.0 93 37 31 14 7.4 4 4
ラクチフローラ 混合 100 7月21日 1.7 46 10 7 11 3.9 2 3
ラティフォリア マキュラータ 92 7月8日 3.8 71 30 2 14 7.9 5 5

 

表2  播種期と切花品質(メジュウム:1993年播種・定植、1994年採花)
播種期 採花
月日
株当
規格内
本数
切花重
(g)
切花長
(㎝)
花穂長
(㎝)
花蕾数 花冠長
(㎝)
花冠幅
(㎝)
分枝数 茎径
(㎜)
葉長
(㎝)
葉幅
(㎝)
4月 6月29日 1.1 106 99 33 15 5 4 14.3 15.5 12.8 2.3
7月6日 4.8 88 90 27 13 5 5 9.6 12.7 12.9 2.9
5月 6月29日 2.0 115 81 33 23 5 4 13.7 14.6 11.8 2.6
7月6日 5.9 63 84 23 13 5 4 6.1 11.2 12.3 2.8
7月12日 0.6 18 79 21 8 5 4 0.0 5.0 10.1 2.6
6月 6月29日 3.4 49 78 29 12 5 5 3.0 10.7 12.3 2.4
7月6日 3.0 32 78 18 8 5 5 4.0 7.5 10.7 2.3
7月 6月29日 2.0 63 73 29 11 5 4 9.0 10.7 12.3 2.7
7月6日 4.3 73 69 22 26 4 4 8.3 10.8 12.0 2.8
7月12日 0.6 29 65 12 47 4 2 2.2 5.9 10.2 2.2
7月19日 1.8 27 71 24 71 3 3 1.3 5.6 10.1 2.2
8月 7月6日 1.9 50 77 25 13 5 4 2.2 10.2 9.4 2.5

 

表3  輸送温度と重量変化
調査時期 26時間輸送 46時間輸送
3℃ 5℃ 7℃ 10℃ 20℃ 30℃ 3℃ 5℃ 7℃ 10℃ 20℃ 30℃
輸送終了相当時 5.5 5.1 5.4 6.4 6.4 29.4 5.8 4.7 5.8 6.7 10.4 46.7
水挿し1日(%) -0.5 -0.9 -2.4 0.0 -1.4 -27.4 -4.1 0.9 -2.8 -11.4 -2.8 -54.6
水挿し1日(%) -4.8 -3.6 -2.2 -7.9 -7.6 -7.7 1.3 3.7 0.3 1.9 -2.0 -1.9
水挿し1日(%) -2.3 -0.5 -0.9 -1.4 0.5 -0.5 0.7 -1.7 -0.3 -1.6 -0.2 1.6
水挿し1日(%) -1.3 -3.9 -1.8 -4.8 -2.1 -2.8 -0.2 3.3 -1.2 -1.0 2.2 0.9
註)26時間輸送〜国内各市場への航空輸送を想定
  46時間輸送〜京浜・京阪神市場へのトラック・コンテナ輸送を想定

 

11.成果の活用面と留意点

12.今後の問題点
 1)灌水方法、病害虫(菌核病、ダニ類など)の防除法、施肥法の確立
 2)採花期間の延長、秋切り作型の開発
 3)適正な切り前の確定