1.課題の分類 2.研究課題名 キャベツ・はくさいの食葉性害虫に対するエアアシストスプレーヤの効果 (野菜の減農薬栽培技術の確立−減農薬散布技術の開発−) 3.予算区分 道費 4.研究実施年度・研究期間 平成3年〜7年 5.担当 中央農試農業機械部機械科、病虫部害虫科 6.協力分担 |
7.目的
エアカーテン方式など新たな散布技術を取り入れ作物体へ有効に付着させ飛散を防止するとともに、農薬の投下量を減少させる技術を開発する。
8.方法
1)供試機
a.エアカーテンスプレーヤ
b.バンドスプレーヤ
c.ミストブロワ:以上吐出圧3〜5㎏/㎡
d.慣行スプレーヤ:吐出圧17〜25㎏/㎡)
2)試験項目
(1)供試機特性試験:ノズル吐出量、散布分布、散布粒径、風速、試験紙付着試験
(2)散布効果試験
平成3年:対象作物:キャベツ、1区60㎡、2反復、2回防除、供試機;b、d
平成4年:対象作物;キャベツ、1区45㎡、2反復、2回防除、供試機;a、b、c、d
平成5年:対象作物:キャベツ・はくさい、1区90㎡、1反復、3回防除、供試機;a、b、c、d
平成6年:対象作物;キャベツ、1区264、96㎡、2圃場、ユ1復、3回防除、供試機;c、d
9.結果の概要
1)作物畦列上から農薬を散布するパンドスプレーヤではノズル直下の散布量が多く(図1)、散布作業においては
ノズル位置が作物畦直上から外れる場合があり、防除効果が向上しない結果につながると考えられた(表2)。
2)エアカーテンスプレーヤはブーム上にダクトが有り、下方に送気するが、開口部にノズルがあり、この位置か
ら距離45㎝では最大約10mの風速があった(図3)。
3)ミストブロワは内径90㎜のダクトから送気するが、ダクト出口にノズルが有り、この位置から1m離れた位置
で約10mの風速があった(図4)。
4)エアカーテンスプレーヤ、バンドスプレーヤ、ミストブロワのノズルはいずれも3〜5㎏/㎡程度の低圧で散布
するが、散布粒径は151〜178μとやや大きかった(図2)。
5)キャベツの外葉の裏に付着試験紙(55㎜×90㎜)を留めて散布した結果、外葉の裏の試験紙に付着のあっ
た試験紙枚数割合はミストブロワが87.5%と一番高く、ついでバンドスプレーヤ+エアが75%、エアカーテ
ンスプレーヤが50%、慣行及びバンドスプレーヤが37.5%であった(表1)。
6)エアカーテンによる全面散布は慣行に比較し、散布量を10%減少しても同等〜やや優る効果を示した。
7)ミストブロワは慣行と同量の散布量の場合、優る防除効果を示し、散布量を20%減少しても同等以上の
効果を示した。この結果は試験紙による付着試験の結果と一致している。
表1 試験紙付着結果(平成4年)
散布量 L/10a |
平均付着面積割合(%) | 付着有の箇所割合(%) | |||
外葉の表 | 外葉の裏 | 外葉の表 | 外葉の裏 | ||
バンドスプレーヤ | 45 | 約50 | 10未満 | 100 | 37.5 |
バンド+エアカーテン | 45 | 約60 | 10未満 | 100 | 75.0 |
エアカーテンスプレーヤ | 48 | 約60 | 10未満 | 100 | 50.0 |
ミストブロワ | 46 | 約70 | 10未満 | 100 | 87.5 |
慣行 | 65 | 約40 | 10未滴 | 100 | 37.5 |
表2 各散布法のコナガに対する効果
年度 | 作物 | 最大時幼虫数 | バンド | バンド+エア | エアカーテン | ミスト |
平3 | キャベツ (モンシロチョウ) |
14 3 |
△(59) △ |
○(62) ○ |
- - |
- - |
4 | キャベツ | 7 | ○(69) | ○(70) | ○(74) | ○(71) |
5 | キャペツ はくさい |
16 10 |
△(76) △ |
△(75) △ |
○〜◎(91) ○〜◎ |
○〜◎(80) ○ |
6 | キャベツ | - | - | - | - | ◎◎(97) |
11.成果の活用面と留意点
コナガに対してミストブロワは慣行スプレーヤよりも約2割、エアカーテンスプレーヤは約1割散布量を減少させても同等の効果を有する。但し、使用基準に散布液量が指摘されている時はそれに従う。
12.残された問題とその対応
(1)エアカーテンの散布量の減少の検討
(2)他の作物での検討