成績概要書             (作成平成7年1月)
1.課題の分類 草地 育種 寒地型牧草
         北海道 草地
2.研究課題名 チモシー「SB-T-8704」に関する試験成績
3.予算区分 受託
4.研究期間 平成3年〜6年
5.担当 北海道農試、根釧農試、北見農試
     新得畜試、天北農試、滝川畜試
6.協力・分担

7.目的
チモシー品種の道内での適応性を検定し、優良品種選定の資とする。

8.試験方法
1)品種系統名:「SB-T-8704」(標準品種「ホクセン」)
2)育成機関:雪印種苗株式会社
3)育成経過:国内育成、海外導入の8品種系統6,920個体から6親栄養系を選抜し、合成品種法により育成した。
4)場所別の試験の概要
場所 試験
方法
播種期 播種
方法
播種量
g/a
畦幅
cm
1区
面積


年間合計施肥量(㎏/a)1)
(播種後2,3年目)
刈取回数
N P2O5 K2O MgO 1年
2年
3年
根釧 単播 平3年5月30日 条播 100 40 6.0 4 1.60 0.94 2.07 0.38 1 2 2
北見 単播 平3年5月16日 条播 120 30 3.0 4 1.20 1.50 1.20 - 2 2 2
(1.15) (1.4) (1.15) -
新得 単播 平3年5月28日 条播 150 30 6.0 4 1.70 1.00 2.20 - 2 2 2
北農試 単播 平4年5月11日 条播 150 30 4.8 4 1.60 1.71 1.60 - 1 2 2
天北 単播 平3年5月22日 条播 200 30 6.0 4 1.50 0.60 1.50 - 2 2 2
滝川 単播 平4年5月6日 条播 200 30 6.0 4 1.62 0.60 1.80 0.45 2 2 2
注)1)施肥時期は各場とも早春、1番草刈取後で、( )は3年目の施肥量である。

9.特性の概要・要約
1)早晩性:出穂始と出穂期が「ホクセン」とほぼ同じ中生である。
2)出穂程度:播種年は「ホクセン」よりやや高い。播種後2年目以降の1番草は「ホクセン」並
で、2番草は「ホクセン」より高い。
3)越冬性:「ホクセン」並である。
4)草勢:初期生育と早春及び晩秋の軍勢は「ホクセン」並である。
5)再生:2番草の再生は「ホクセン」よりやや良好である。
6)耐病性:斑点病の耐病性は「ホクセン」並で、すじ葉枯病の耐病性は「ホクセン」よりやや
弱い。
7)耐倒伏性:「ホクセン」並である。
8)草丈:1番草と2番車の草丈は「ホクセン」並である。
9)収量:「ホクセン」より多収である。特に、2番草が多収である。
10)永続性:「ホクセン」並である。

10.主要成果の具体的数字
表1 主要形質の調査結果(全場平均)
形     質 SB-T
8704
ホクセン 備     考
出穂始 26 27 6月の日
出穂期 28 28   〃             (4場所平均)
出穂程度:播種年  1番草 2.9 1.9 1:0本/㎡〜9:201本以上/㎡(5場所平均)
 〃    :2,3年目 1番草 7.7 7.3       〃         (5場所平均)
 〃    :      2番草 3.7 2.2       〃
越冬性 7.0 6.6 1:極不良〜9:極良
定着時草勢 7.2 6.6      〃
早春草勢 7.1 6.5      〃
晩秋草勢 5.7 6.1      〃
再生:2番草 6.2 5.1      〃          (5場所平均)
罹病程度:斑点病 3.8 4.3 1:無微〜9:甚
  〃  :すじ葉枯病 6.0 5.3      〃          (2場所平均)
倒伏程度:1番草 3.7 4.3      〃    
草 丈:1番草 116 114 cm
 〃 :2番草 63 60
基底部被度:1年目 100 100 % (晩秋の調査)
  〃    :3年目 93 92   〃  

表2 年次別の年間合計乾物収量(kg/a)
場所 1年目 2年目 3年目 2か年間 3か年間
SB-T
8704
ホクセン SB-T
8704
ホクセン SB-T
8704
ホクセン SB-T
8704
ホクセン SB-T
8704
ホクセン
根釧 107 17.7 119 111.8 109 113.2 114 225.0 114 242.7
北見 116 24.2 106 96.3 119 81.0 112 177.2 113 201.4
新得 104 30.5 108 98.6 116 94.6 112 193.1 111 223.6
北農試 106 29.8 105 98.4 109 83.1 107 181.5 107 211.3
天北 128 21.0 106 128.4 105 113.3 105 241.7 107 262.7
滝川 106 50.8 108 125.4 105 125.5 106 250.7 106 301.6
全平均 110 29.0 109 109.8 110 101.8 109 211.5 109 240.5
注)1)「ホクセン」は実収量(㎏/a)、「SB-T-8704」は対「ホクセン」比で示した。
2)2か年間は播種後2年目と3年目、3か年間は播種年〜3年目の合計である。

11.成果の活用面と問題点
1)普及対象地域:全道一円
2)栽培利用上の留意点:採草用として利用する。
3)種子供給が可能となる時期:平成10年。
4)配布しうる種子量:50t。

12.残された問題点とその対応