【指導参考事項】

1995106

成績概要書    (作成平成8年1月)
課題の分類:
研究課題名:レタス、キャベツのセル成型苗利用技術
       (セル成型苗利用による葉茎菜類の栽培管理技術の確立)
予算区分:道単
研究期間:平5〜7(1993−95)
担当科:上川農業試験場研究部園芸科
協力・分担関係:なし

1.目的

 レタス、キャベツについて、セル成型菌を利用する上での栽培管理法を検討し、利用上の問題点を明らかにするとともに栽培指標を策定する。

2.方法

 ①育苗条件:作期2(5月下旬〜6月上旬、7月中旬各定植)×ポットサイズ2×育苗日数3
 ②定植時のかん水、土塊条件:頭上かん水、スポットかん水、土塊条件〜5.5〜8.8〜20㎜
 ③マルチ処理とうねの形状:マルチフィルム1〜4種類、無マルチ、うねの形状2
 ④窒素施肥量:窒素用量試験セル成型、ペ一パーポット
 ⑤植付姿勢、植付深度試験:植付姿勢3、植付深度2×作期2

3.結果の概要

(1)レタスは200穴/トレイのセルサイズが適当であり、育苗日数が長くなると変形球・病害の発生により規格内収量は減少する傾向がみられ、育苗日数は6月中旬頃定植では25日程度、7月中旬頃定植では20日程度が適当と考えられた。キャベツも200穴/トレイのセルサイズが適当と考えられたが、無かん水、乾燥条件では128穴で活着は安定していた。育苗日数は作期に関わらず30日前後の育苗が適当と考えられた。

(2)レタスでは比較的多い土壌水分(pF2.0前後〜pF2.3:深さ10㎝)条件でもスポットかん水(25ml/株)の効果がみられ、pF2.5では50mlのスポットかん水が適当で、さらに乾燥した場合では100mlのスポットかん水が適当と考えられた。頭上かん水はpF2.5で5㎜、さらに乾燥した場合では頭上かん水10㎜で効果が認められた。キャベツでもレタスと同様な傾向が認められた。

(3)レタスでは土塊が粗いと活着が不安定となり、土塊が細かいほど根の生育が良好となる傾向が認められたが、土壌乾燥時に土塊が細かいと活着が低下する傾向がみられ、土壌水分を適当に保つ必要があると考えられた。キャベツでは活着率は低下しなかったが、レタスと同様な傾向であった。

(4)レタス、キャベツともに白黒ダブルフィルムマルチ区の規格内収量が高くなった。うねの形状では差は認められなかった。

(5)レタス、キャベツともにセル成型苗の窒素施肥量に対する反応はペ一パーポット苗と明らかな差はなく、従来通りの窒素施肥量でよいと考えられた。

(6)レタスでは、植付姿勢角度が大きくなると病害の発生が多くなる傾向が認められ、植付深度は培土上面と同じくらいの深さとすることで病害発生割合が低下する傾向を示し、適当な植付深度と考えられたが土壌乾燥時にはスポットかん水が必須と考えられた。また、キャベツでは植付深度の影響がみられなかった。

 レタス、キャベツのセル成型苗利用指標
  レタス キャベツ
セルサイズ 200穴/トレイが適当 200穴/トレイが適当
(乾燥時は128穴が安定)
育苗日数 6月中旬:25日、7月中旬:20日
適日数の範囲が狭い
作期に関わらず25〜30日適日数の範囲が広い
施肥量 ぺ一パーポット苗と同量 ぺ一パーポット苗と同量
圃場砕土 十分に砕土する
(活着への影響は大きい)
十分に砕土する
マルチ 作期によらず白黒ダブルフィルムの有効性は高い 増収効果がある
定植時かん水 定植時かん水の必要度は高い
(かん水指標を利用する)
土壌乾燥時にかん水は有効
(かん水量はレタスに対するかん水
指標に準ずる)
植付姿勢、深度 変形球、病害球の発生に影響する 障害の発生に影響がみられない

 レタスに対する定植時かん水指標
深さ10㎝の土壌水分(pF) 2.0 - 2.3 - 2.5 - 2.7 - 3.0 -
頭上がん水       5㎜ →  10㎜−
スポットかん水(/株) 25ml 25ml 50ml→100ml−−−
1)pF2.0〜2.3。:活着促進に有効
2)pF2.5以上:土壌乾燥時の活着率向上


図1 レタスの育苗日数と規格内収量の関係
注)育苗日数:作期Ⅰ,( )内:作期Ⅱ,平成6年



図2 キャベツの育苗,かん水条件と活着率
注)短,中,長は育苗日数21,28,35日,200,128はセルサイズ(穴)
かん水はスポットかん水100ml/株,平成6年 作期Ⅰ

4.活用面と留意点

 (1)夏秋どり作期について適用する。
 (2)レタスの定植にあたっては病害の発生が助長される恐れがあるので適正な植付姿勢、植付深度で定植するように努めること。
 (3)レタスは草勢が強い場合に障害の発生が増える恐れがあるので窒素施肥を適正にするとともに品種選定に留意すること。

5.残された問題とその対応

 (1)機械収穫するための揃いをより良くする栽培法
 (2)定植適期幅の短いレタス等の苗保存方法
 (3)50ml/株以上のスポットかん水の実施方法