【指導参考事項】

1995107

成績概要書(作成平成8年1月)

課題の分類:
研究課題名:グリーンアスパラガスの根株養成と伏せ込み法
 (施設利用によるグリーンアスパラガスの高収益性作型開発)
予算区分:道単
研究期間:平成2〜7年度
担当科:道南農試研究部園芸科
協力・分担関係:

1.目的

 グリーンアスパラカスの栽培法として根株養成と根株の伏せ込み法を検討する。

2.方法

1)根株の養成法

 (1)稚苗育苗法試験(平2〜4)
  ①ポット別ペーパーポット径2,3㎝、ポリポット径5、8、12㎝
  ②育苗日数33日〜231日

 (2)養成圃管理法試験(平2〜6)
  ①1年養成法:栽植法(畦巾45、70、100㎝)、(株間10、15、20、30、60㎝)、マルチ法(無マルテ、 透明、白黒、黒)
  ②2年養成法:1年養成株移植(栽植法、畦巾70㎝×株間15、30、45㎝)、据え置き栽培(栽植法、前年マルチ有無、は種期:3月、4月×マルチ有無×株間:15、30、60㎝)

 (3)養成根株の伏せ込み試験(平6〜7)
  ①秋堀り秋伏せ込み
  ②秋堀り春伏せ込み
  ③春堀り春伏せ込み
根株は(2)養成管理法試験②2年養成法の一部を供試

2)根株の伏せ込み法

 (1)根株重と夜温試験(平5〜6)根株重(2L根−1.5㎏以上、L根−1.1〜1.49㎏、M根−0.7〜1.09kg)、夜温(20、15、10、5℃)、昼間(8:00〜16:00)20℃
 (2)根量制限試験(平6〜7)伏せ込み時と堀り上げ時の根量制限(堀り上げ全根量、堀り上げ根量の75%、同50%、同25%)
 (3)遮光効果試験(平6〜7)無処理、シルバータフベル45%遮光
 (4)掘り上げ時期試験(平6〜7)秋掘り(3℃貯蔵)と春掘り
 (5)根株の貯蔵法試験(平7)密閉(ビニール袋)、通気(コンバイン袋)、3℃貯蔵

3.結果の概要

1)根株の養成法

 (1)根株の養成法として、稚苗段階でのポット大小、育苗日数の多少、また養成圃での栽植密度、マルチ法を検討したが、移植1年で伏せ込み栽培に必要な根株重1kg以上を確保することは困難と考えられた。
 (2)養成圃管理法として、据え置き栽培の2年養成法で根株重1kg以上が可能となったが、実際に伏せ込 みを行った結果、規格内本数をより多く確保するには、3〜4月は種(45〜70日育苗)の場合、栽植法は畦巾70㎝なら株間30㎝以下(476株/a以上)では不適と考えられた。

2)根株の伏せ込み法

 (1)根株重は、2年養成で1kg以上あれば収量的に大きな差はないが重い方が安定した。また、昼間20℃とした場合の、夜温は5〜20℃の範囲で高いほど収穫が早まり、短期収穫が可能となり収量も多い傾向となった。
 (2)根量制限は伏せ込み直前にある程度(50〜75%残)行うのであれば、大きな影響はなかった。伏せ込み時期別には、夏季伏せ込みでは遮光(45%程)、春伏せ込みでは春掘りとし、なお、根株貯蔵(3℃)では密閉条件にしない。

表−1 据え置き栽培での根株養成と伏せ込みによる収量(平5〜7)
処理 2年目の枯葉期 規格内株当たり収量
は種期 マルチ 株間
畦70
*茎の
生育量
茎葉重
(kg)
根株重
(kg)
Brix
(%)
秋堀秋伏 秋堀春伏 春堀春伏
本数 重量
(g)
本数 重量
(g)
本数 重量
(g)
3月 60cm 172.8 3.2 1.05 10 3.6 46.2 0.3 3.4 2.4 32.7
30 99.1 0.79 1.05 13.3 2.6 34 0.1 1 1.2 12.3
15 71.3 0.55 0.86 0 0
4月 60cm 128.1 1.3 0.95 14.8 4.2 54.7 0.6 6.3 3.6 47.7
30 55.8 O.45 0.92 12.8 0.6 5.2 0 O O.5 4.8
15 32.6 0.42 0.59 0.4 5.4
4月 60cm 160.3 1.34 1.08 15.2 3.6 46.3 0.4 4.3 1.5 19.1
30 66 0.7 1.16 10.2 o.9 8.9 O O 0-7 7.1
15 0.76 0.1 1
 *茎の生育量:最大茎長(㎝)×茎数(本/株)×最大茎径(㎜)×1/0O

表−2 伏せ込みにおける根株重、夜温別の規格内株当たり本数(平5〜6)
夜温 11月 12月 1月 合計
2L根 L根 平均 2L根 L根 平均 2L根 L根 平均 2L根 L根 平均
20℃ 9 7.2 8.1 5.2 3.O 4.1 1 0.2 0.6 15.2 10.4 12.8
15℃ 4 1.2 2.6 4.4 1 2.7 3.8 1.8 2.8 12.2 4 8.1
10℃ 2.2 1.8 2.O 2 1.8 1.9 2.2 2.O 2.1 6.4 5.6 6
5℃ 1.8 3 2.4 2.4 2 2.2 12 2.8 20 5.4 7.8 6
 *2L根−1.50kg以上、L根−1.10〜1.49kg

表−3根量制限における実施時期の違いによる株当たり収量、平均1本重
根量 伏せ込み時 堀り上げ時(平成7年)
平成6年 平成7年
規格内本数 全収穫本数 規格内
平均1本重
(g)
全収穫 本数 同左比
(%)
重量
(g)
同左比
(%)
本数 重量(g)
全根量 4.9 16.9 12.4 10.8 29.4 8.2 (100) 22.3 (100)
根量75% 4.6 13.7 12.1 7.2 88 18.4 83
〃50% 4.8 15.2 14.5 1O.6 35.5 4.2 51 11.2 50
〃25% 3.5 8.9 11.3 0.4 5 7 3

表−4伏せ込み栽培における各種処理による株当たり収穫本数(比較区対比)(%)
遮光(45%)効果 堀り上げ時期
(春休せ込み)
貯蔵条件
(3℃)
規格内本数 全収穫本数
(ハウス)
ハウス 露地 規格内本数 全収穫本数
無処理 遮光  無処理 遮光  無処理 遮光  秋堀り 春堀り 密閉  通気 
(100) 176 (100) 121 (100) 150 (100) 325 (100) 245

4.成果の活用面と留意点
1)本試験の根株の糖度が低めであったことを考慮する。
2)養成国の一般管理は、従来の養成株に準ずる。

5.残された問題とその対応
1)根株の貯蔵法(温度等)の検討
2)根株の収量性を高め、安定させるための根中糖度の確保等の検討