【指導参考事項】

1995110

成績概要書  (平成8年1月)

課題の分類:北海道野菜栽培
研究課題名:スイートコーン、タマネギの減除草剤雑草管理技術
      (クリーン農業実現のための病害虫防除・雑草管理技術の確立)
予算区分:道単
研究実施年度:平成3〜7年(91〜95)
担当:中央農試機械科・野菜花き第一科
協力・分担関係:

1.目的

スイートコーンおよびタマネギ栽培における減除草剤雑草管理法について明らかにする。

2.試験研究方法

1)機械除草機導入によるスイートコーンの雑草管理
 (1)供試機:3畦用ロータリーカルテに背負式動力噴霧機を搭載
 (2)作付様式及び除草剤:畦幅60〜66㎝、アトラジン・メトラクロール水和剤

2)タマネギの減除草剤による雑草管理
 (1)低薬量による雑草管理(茎葉処理剤の低薬量散布処理の効果、実用性の検討)
 (2)雑草発生推移と除草時期(雑草が生育、収量に影響する時期及び除草の必要時期の検討)
 (3)除草剤の種類と残存雑草(除草剤の種類と組合せについて検討)

3.結果の概要・要約

1)機械除草機導入によるスイートコーンの雑草管理
 (1)3畦用ロータリカルチに背負式動力噴霧機を搭載し、カルチ爪が作用しない部分に対し除草剤を2個のフラット型ノズルで帯状に施用した。
 (2)ロータリカルチの除草効果は、除草剤処理と同等であったが、成長が進んだ雑草の抑制が不完全で あった。
 (3)帯状部分施用+ロータリカルチ(標準量区)と背負式動力噴霧機による全面手散布と除草効果の比較を行った。イネ科雑草について株間の除草効果は同等と判断された。広葉雑草については、除草効果はやや劣った。
 (4)パンドスプレーロータリカルチの作業能率は12.7a/hと試算された。

2)タマネギの減除草剤による雑草管理
 (1)茎葉処理剤の低薬量処理と中耕除草の組み合わせについて検討した結果、いずれも雑草の発生を抑える効果を認めたが、生育後期の残存雑草が慣行区よりやや多かった。
 (2)雑草発生の推移と除草時期について検討した結果、中期、すなわち6月中旬〜7月中旬間を無除草としたときがもっとも影響が大きく、一球重が低下し、規格内率もやや低下した。
 (3)除草剤の種類と除草効果について検討した結果、初期の土壌処理剤の効果が大きく、また、除草剤の種類により残存雑草に差が認められた。
 (4)タマネギ栽培における減除草剤は、除草剤の適切、的確な使用と効果の異なる除草剤の組み合わせ使用により、除草剤使用基準の下限量域の使用および1〜2回程度の処理回数の削減が可能と思われる。

表1 スイートコーン除草効果(イネ科雑草)の比較
調査箇所 項目試験処理区 雑草量(本/㎡)/(g/㎡)
平成6年
処理後14日
平成7年
処理後19日
平成7年
処理後6日*
株間 帯状部分施用+ロータリカルチ(標準量区) 35.7(2.50) 2.9(0.29) 23.4(1.56)
  2.9(1.38)
背負式動力噴霧機(全面手数布・標準量区) 14.3(1.00) 10.3(1.00) 15.0(1.00)
  2.1(1.00)
株間除草機 14.7(1.43) 66.7(4.45)  
  19.5(9.29)
手取り除草   50.0(3.33)
  0.2(0.10)
畦間 帯状部分施用+ロータリカルチ(標準量区) 28.1(2.46) 2.2(O.75) 3.6(−)
  O.2(−)
背負式動力噴霧機(全面手散布・標準量区) 11.4(1.00) 2.9(1.00)  
株間除草機 5.9(2.00) 105.0(−)  
  8.2(−)
 注)*8月7日播種、空欄は未調査。雑草量の上段は本/㎡、下段はg/㎡の値。
 ( )内は慣行処理との比。

表2 作業能率の試算値
圃場区画
(m)
畦幅
(cm)
作業幅
(m)
作業速度*
(m/s)
作業時間の内訳(%) 全作業時間
(min)
作業能率
(a/h)
散布 旋回 薬剤補給
175x9 60 1.8 0.31 63 3.4 33.6 100.O 74.5 12.7
 注)散布時間:(圃場長さxほ場幅)/作業幅/作業速度、旋回時間:30s/回、補給時間:5㎜in/回
 栽培面積当たり薬液施用量:47l/10a(帯状部分の薬剤施用量100l/10a)、薬液タンクの容量:15l、補給回数:5回

表3タマネギの低薬量処理及び無除草期間の影響(1993)
No.試験区別 イネ科 広葉 多年生 倒伏期
(月日)
規格内
収量
(㎏/a)
同左比
(%)
平均
一球重
(g)
本数 重量 本数 重量 本数 重量
1.慣行法 2 1 6 3 O 8.18 740 (100) 255
2.低薬量区 O 21 7 2 1 8.19 708 96 256
3.中耕区 10 2 13 4 3 3 8.18 704 95 256
4.完全除草区 7 1 22 2 1 O 8.16 717 97 253
5.前期無除草区 8 3 25 12 5 2 8.18 732 99 245
6.中期無除草区 76 427 84 514 17 98 8.16 674 91 240
7.後期無除草区 5 1 14 1 0 8.15 744 101 262
8.無除草区 287 675 539 2003 96 493 8.25 191 27 106
 備考)雑草量は7月15日における㎡あたりの本数、重量(g)
 試験区別
  1.慣行法:ペンディメタリン乳剤30mlとアイオキニル乳剤10ml+セトキシジム乳剤20mlの体系処理
  2.低薬量区:アイオキニル乳剤5mlとアイオキニル乳剤5ml+セトキシジム乳剤10mlの体系処理
  3.中耕区:中耕とアイオキニル乳剤5ml+セトキシジム乳剤10mlの組合せ(以上いずれもa当たり薬量)

4.成果の活用面と留意点

 1)露地野菜の減除草剤栽培導入の資料とする。
 2)スイートコーンの帯状部分施用するときの薬液量は、標準量(100㍑/10a)とする。
 3)タマネギ倒伏期以降の種草取りを徹底する。

5.残された問題とその対応

 タマネギ畑またはタマネギ作付け予定畑の秋期の雑草管理技術の確立