【指導参考事項】

1995185

成績概要書   (作成平成8年1月)

課題の分類:
研究課題名:なたねの機械化栽培技術
       「なたねの品種選定・栽培法と機械化体系に関する試験」
予算区分:道費
研究期間:平成2〜5年
担当科:中央農試農業機械部機械科
協力・分担関係:

1.目的

 道央の転換畑への導入が期待されているなたねの良質・安定生産のための機械化栽培体系について播種,防除,収穫,乾燥に関する機械化作業技術を検討する。

2.試験研究方法

 1)試験場所:中央農試,現地農家圃場(滝川市北滝の川)
 2)供試品種:「東北84号」(平成2年),「キザキノナタネ」(平成3年〜5年)
 3)機械化試験
  (1)播種試験
    供試播種機:回転目皿式播種機,吸引式点播機,ペルト式点播機,ロール式点播機,散播機
  (2)防除試験
    供試防除機:ブームスプレーヤ,背負式動力散粉機,トラクタ用動力散粉機
  (3)コンバイン収穫試験
    供試コンバイン:CA700(ロークロップヘッダ,リ一ルヘッダ),AX−60(リールヘッダ)
  (4)火力乾燥試験
    供試乾燥機:循環型貯留式熱風乾燥機(SBD−3ESM),循環型熱風乾燥機(ES−340R−S)
  (5)栽培作業時間調査
    作業日誌の記帳及び聞取り調査

3.結果の概要・要約

1)ベルト式点播機,ロール式点播機,吸引式点播機は播種間隔10㎝,2粒点播あるいは播種間隔5㎝,1粒点播が可能で,播種精度が良好であった。

2)播種機の作業能率は,回転目皿式播種機が78a/h,ついでペルト式点播機が70a/hであった。

3)なたねの防除はブームスプレーヤ及び動力散粉機で良好で行えた。防除作業能率は,ブームスプレーヤが1.6ha/h,背負式動力散粉機が6.7ha/h,トラクタ用動力散粉機が11.4ha/hであった。

4)直流形及びスクリュー形コンバインとも脱穀選別損失は少なく,またリールヘッダ装着時の刈取り部損失は3.0%以下であった,汎用コンバインの刈取り部損失は,リールヘッダに比ベロークロップヘッダが多く,約6%であった。

5)形式が異なる2種類の循環型乾燥機でなたねを乾燥した結果,毎時乾減率は約0.6%/hであった。現地農家が出荷した131俵のうち約90%の117俵が規格品であった。

6)なたね栽培の年間作業時間は,ha当たり19.1時間であった,主要な作業は,8月上旬から9月の中旬に集中し,その割合は62.3%を占めた。


図1 リールの作用高さ,周速度比と刈取り部損失

表1 播種作業能率
播種機 作業幅
(㎜)
作業速度
(m/s)
作業面積
(a)
全作業時間
(min)
作業能率
(a/h)
備考
回転目皿式播種機 2.4 0.8 15 17.3 78 TW-7
吸引式点播機 1.2 0.6 30 80.3 22 TVS-4V
散播機 4 0.54 21 25.2 50 GF-151
ベルト式点播機 2.4 0.9 180 138.9 70 ME045

表2 コンバインの収穫精度
コンバインの型式 AX-60 CA700
ヘッダの種類 リールヘッダ ロークロップヘッダ リールヘッダ
試験番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
作業速度(m/s) 0.81 1.05 1.24 0.83 1.24 0.82 0.89 1.22 1.18 1.36
リール周速度(m/s) 1.13 1.13 1.13 1.04 1.04 0.88 1.1 1.41
リール周速度比 1.4 1.08 0.91 1.27 1.17 0.72 0.93 1.04
刈取り高さ(cm) 41 44 41 30 32 40 48 39 40 35
扱胴回転数(rpm) 210 210 210 716 716 716 716 716 716 716
殻粒流量(㎏/h) 1,742 1,905 2,479 2,112 2,742 3,003 3,070 2,185 2,433 2,559
排わら量(㎏/h)               1.185 3.07I 3.54
整粒割合(%) 90.9 96.3 98.9 94.8 94.5 96.5 93.8 93.5 94.5  
刈取り部損失(%) 1.4 3.1 2.1 5.6 5.7 2.9 2.7 0.9 2 1.2
脱穀選別損失(%) 0.8 0.9 0.7 0.6 1 0.8 0.9 1.1 2 1.9

表3 なたねの乾燥試験結果
試験年次 平成3年 平成4年 平成5年
乾燥期間 7月26日 8/4〜8/5 8/5〜8/6
乾燥時間(h) 2.3 18.8 4.5
入気温度(℃) 24.2 20.3 18.6
入気湿度(%) 76 71.8 80.2
熱風温度(℃) 45.1 39.6 43.8
穀粒温度(℃) 28.1 24 25.1
張込み重量(㎏) 5,997 3,740 1,384
原料水分(%) 11.7 19.4 14.2
容積重(g/L) 635 620 633
仕上げ重量(㎏) 5,590 3,343 1,360
仕上がり水分(%) 10.4 8.9 11.5
容積重(g/L) 655 627 662
乾滅水分量(%) 1.3 10.5 2.7
毎時乾滅率(%/h) 0.57 0.56 0.6
送風量(m/min)   96 98
風量比(m/s・t) 0.21 0.45 1.19
乾燥効率(㎏[灯油]/㎏[水]) 0.07 0.07 0.19

4.成果の活用面と留意点

1)種子の粒径にあった播種ベルト,種子ロールを使用する。
2)汎用コンバインはリール周速度比を1以下にして収種する。
3)貯留式乾燥機は,なたねが床板の多孔板から抜け落ちぬよう孔径1.0㎜のものと交換する。

5.残された問題点とその対応

 なたねの子実水分別の最適熱風温度