【指導参考事項】

1995232

成績概要書    (作成平成8年1月)

課題の分類:
研究課題名:水稲の減農薬栽培のための病害虫防除技術
       (試験課題名:水稲減農薬栽培技術の確立)
予算区分:道費
研究期間:平成3〜7年(1991〜95)
担当科:中央農試稲作部栽培第二科
     上川農試研究部病虫科
協力・分担関係:

1.目的

 イネの品種抵抗性や肥培管理による病害虫発生抑制策を探るとともに、病害虫の発生状況に対応した薬剤防除法を体系化し、現行の病害虫防除をより適正化して滅農薬栽培を実現する。

2.方法

(1)病害虫の発生と品種:無防除条件下で病害虫の発生状況を調査し、品種間で比較した。

(2)肥培管理と病害虫の発生:有機物およびケイ酸質資材の施用が病害虫に及ぼす影響を調査。

(3)病害の被害許容水準と薬剤防除体系いもち病および紋枯病の被害解析を行って被害許容水準を設定し、発病に対応した最も効果的な防除体系を検討した。

(4)害虫の薬剤防除体系:初期害虫については、要防除水準を利用した防除の有効性を確認した。夏期防除については、アカヒゲホソミドリメクラガメ(以下カメムシと略記)に対し効果の高い防除時期を明らかにするとともに、他害虫との同時防除を検討した。

(5)病害虫の発生に対応した薬剤防除の体系化:本試験結果および既存成果を集成して「発生対応型防除」を体系化し、具体的な減農薬の方法を提示した。

3.結果の要約

(1)病害虫の発生と品種

1)いもち病の耐病性品種では、従来より防除を減らすことが可能であるが、耐病性品種間の耐病性の違いを指標とした滅農薬は現時点では難しいと判断された。紋枯病の被害度とイネの茎数との間には相関関係が認められ、分けつの多い品種では紋枯病の発病が多くなりやすいので常発田では注意する必要がある。

2)カメムシの虫数は、出穂期の早い品種ほど多い傾向が顕著であった。また、斑点米の発生量には品種間差があり。割籾率との闇に高い相関関係が認められ、割籾率の高い品種では減農薬を行う際に注意する必要がある。

(2)肥培管理と病害虫の発生

1)出穂期のイネ体窒素含有率が高い有機物施用区でいもち病の発生が多く、初期生育が旺盛で茎数の多い化学肥料区で紋枯病とイネトロオイムシの発生量が多かったが、ヒメトビウンカとカメムシでは判然とした差はなかった。このように、有機物を施用することによって病害虫の発生が画一的に減少することはなく、有機物の施用が必ずしも滅農薬につながるとはいえなかった。

2)ケイ酸質資材の施用によりいもち病は顕著に抑制され、高いケイ酸含有率のイネでは薬剤防除に匹敵する効果があった。また。ケイ酸質資材の施用により紋枯病の発生も軽減された。

(3)病害の被害許容水準と素剤防除体系

1)いもち病の被害許容水準を病穂率5%と設定し、葉いもちの初発時または出穂期までに初発の