【指導参考事項】

1995242

成績概要書    (作成平成8年1月)

課題の分類:総合農業生産環境病害虫V−4
研究課題名:施設キュウリのうどんこ病・べと病に対する減農薬防除技術
        (野菜の減農薬栽培技術の確立)
予算区分:道費
研究期間:平3−7年度
担当:道南農試研究部病虫科
協力・分担関係:

1.目的

 施設キュウリに恒常的に発生するうどんこ病とべと病の減農薬栽培技術を確立する。

2.方法

3.結果の概要

1)うどんこ病に関する試験

①発病が収量に及ぼす影響無防除では慣行防除に比較して、収量は果実数で42.2%、果実重量で43.9%減収した。

②防除回数と発病との関係a.うどんこ病は防除打ち切り後に発病が増加したことから、完全な防除の打ち切りは危険であり、被害許容水準の設定は困難であった。b.ただし、減収率5%を許容範囲とした場合、慣行9回散布回数の3回に1回の殺菌剤散布を削減しても収量に影響は小さく、減農薬が可能であった。

③その他の減農薬栽培に利用できる技術として、酸性水溶液散布、抵抗性品種の利用が有効であった。

④ねぎ混植、木酢液散布の防除効果は認められなかった。

⑤滅農薬技術と抵抗性品種を利用した減農薬実証試験で、本防除法は収量の低下もなく、目標とした30%以上の減農薬栽培が可能であった。

2)べと病に関する試験

①発病が収量に及ぼす影響無防除では慣行防除に比較して、収量は果実数で41.6%、果実重量で44.0%減収した。

②防除回数と発病との関係a.発病と収量との関係から、被害許容水準は発病度60と設定された。b.11月上旬が最終収穫目の作型では、収穫終了予定日の30日前でべと病の防除を打ち切っても収量に影響はないことが明らかにされた。

③減農薬栽培の支援技術としてマルチによるハウス内全面被覆に発病抑制効果が認められた。

④ねぎ混植、木酢液散布の防除効果は認められなかった。

⑤減農薬技術とマルチによるハウス内全面被覆を利用した滅農薬実証試験で、本防除法は収量の低下もなく、目標とした30%以上の減農薬栽培が可能であった。

果実収量(うどんこ病試験)
  罹病性品種 抵抗性品種
  1994年 1995年 1994年 1995年
減農薬区 Kg Kg Kg Kg
46.5 32.8 38.3 29.2
慣行防除区 48.2 31.9 40 27.3
無防除区 22.6 23 37.9 27

果実収量(べと病試験)
  無被覆 全面シルバーマルチ
  1994年 1995年 1994年 1995年
減農薬区 Kg Kg Kg Kg
15.9 15.1 17.5 16.5
慣行防除区 14.9 15.3 18.2 16.4
無防除区 16.2 14.3 18.8 17.4

4.成果の活用面と留意点

 1)施設キュウリのうどんこ病およぴべと病の減農薬防除技術の参考資料とする。
 2)主枝1本仕立て栽培による解析試験であることを考慮する。
 3)酸性水溶液は未登録である。

5.残された問題とその対応

 1)抵抗性品種の普及
 2)他の病害との関連性の検討