【指導参考事項】

１９９５２５１

成績概要書　　　　（作成平成８年１月）

１．目的

　アンガスならびにヘレフォードの直接検定法の効率化と発育能力の改良効果を検討した。また、繁殖能力指標としての陰嚢周囲の有効性について検討した。

２．方法

　１．直接検定法の効率化：検定期間の短縮化を検討した。
　　　　　　　　　　　　　　　　また配合飼料給与量を代謝体重比に改訂しその有効性を検討した。
　２．発育能力の改良効果：検定成績の遺伝的特性を把握し遺伝的改良傾向を検討した。
　３．繁殖性改良指標：陰嚢周囲の成長様相を把握し繁殖性改良指標としての有効性を検討した。

３．結果の要約

　１．直接検定法の効率化の検討
　　（１）検定期間の短縮化１１２日間と１４０日間の日増体量の間には高い遺伝相関が認められ、検定期間を　　　　１１２日間に短縮化することが可能であることを示した（表１）。
　　（２）飼料給与法の改良コンピューター自動給餌機を用いた省力的検定システムを確立した。また、配合飼　　　　料の設定量は代謝体重比で行うと日増体量の比較はより正確になることを示した（表２）。

　２．発育能力の改良効果の検討
　　（１）検定成績の遺伝的特性１２か月体高と体型得点の遺伝率は高かった。３６５日体重、検定中ＤＧおよ　　　　　びＴＤＮ要求量の遺伝率は中程度の値であった（表３）。
　　（２）検定成績の遺伝的改良傾向発育能力に関する平均育種価は全ての形質で年々高くなっていることが　　　　確認された。３６５日体重の遺伝的改良量は全検定牛と選抜牛においてそれぞれ１．７５㎏／年と　　　　　　　２．４７㎏／年であった（図１）。検定の結果２２３頭（選抜率５０％）を選抜した。

　３．繁殖性改良指標の検討陰嚢周囲の発育曲線を作成し標準発育値を設定した（図２）。３６５日補正陰嚢　　　　周囲の遺伝率は高く直接検定牛の選抜指標として有効であること示した。

表１　1〜12日と140日のＤＧの遺伝的パラメーター

日増体量	ＤＧ112	ＤＧ140
ＤＧ112	0.32	0.91
ＤＧ140	0.89	0.35

対角：遺伝率、対角上：遺伝相関係数，
対角下：表型相関係数

表２　検定開始時体重とＤＧとの相関

配合飼料の設定	頭数	相関係数
体重比（82-92年）	381	0.29**
代謝体重比（93-94年）	66	0.02N.S.

　**：Ｐ<0.01，Ｎ．Ｓ：有意差なし

表３　検定成績の遺伝的パラメーター

検定成績	365日体重	12か月体高	体型得点	検定中ＤＧ	TDN要求量
365日体重	0.5	0.57	0.11	0.46	0.08
12か月体高	0.46	0.81	0.52	0.09	-0.13
体型得点	0.3	0.48	0.69	-0.26	0.31
検定中ＤＧ	0.53	0.16	0.19	0.35	-0.78
TDN要求量	-0.014	0.05	0.01	-0.81	0.44

　対角：遺伝率，対角上：遺伝相関係数，対角下：表型相関係数

４．成果の活用面と留意点
　1.直接検定において選抜された種雄牛は道内生産者に活用されている。
　2.陰憂周囲が標準発育値下限以下の雄牛は他の発育形質が優れていても種雄候補牛として選定すべきではない。

５．残された問題とその対応
　1.遺伝率が低い形質の育種価評価(アニマルモデルによる評価)