【指導参考事項】

1995253

成績概要書    (作成平成8年1月)

課題の分類:北海道畜産めん羊飼養技術滝川畜試
研究課題名:双子羊早期出荷のための舎飼い肥育技術
       (低月齢大型ラムの効率的生産技術の確立)
予算区分:道費
研究期間:平4−6(1992−94)
担当:滝川畜試研究部めん羊科
協力・分担関係:

1.目的

 生産現場では、子羊は体重43〜53㎏でラムとして出荷されている。サフォークの単子の場合は4カ月齢で出荷が可能になる。
 しかし、サフォークの平均産子数は1.8頭で、双子の割合が高い。
 また、双子は単子に比べ増体が劣るので、出荷体重に到達するのは6〜8か月齢という現状にある。
 そこで、ラムの需要時期や他の農作業等の関係から、子羊を飼育する期間を短くしラム出荷を早期化したいという要望が強くなってきている。本成績では、舎飼いを前提とし、双子羊を4か月齢で出荷体重に到達させる技術を検討する。

2.方法

1)新生子羊の吸乳行動

2)3〜4か月齢子羊の消化能力
 1.3〜4か月齢子羊と成年における消化率の比較
 2.人工乳から配合飼料への早期切り替え

3)群飼における子羊の管理法
 1.双子群における群内の日齢の範囲の違いと増体の関係
 2.単子・双子混在群における人工乳の給与量
 3.早期離乳の検討

4)早期・斉一出荷法の検証

3.結果の概要

1)新生子羊のうち50%程度は生後1時間以内に母羊からの吸乳に成功するが、2時間以上経過しても吸乳できない個体もいる。

2)−13か月齢以降の子羊では、固形飼料の消化率は成羊にほぼ近い。−2哺乳子羊に給与する濃厚飼料を、6日齢頃に人工乳から配合飼料に替えても増体に影響はない。

3)−1群内における子羊の平均日齢が50日齢以降の場合、子羊間の日齢の違いが20日間程度あっても、子羊の憎体に大きな影響はない。−2単子・双子混在群においては、70日齢以降にクリープフィーディングする人工乳の給与量を1日1頭当たり原物で1㎏程度とすると、比較的斉一に出荷体重に到達する(表1)。−3通常の4か月齢離乳に対し、3か月齢で離乳しても子羊の憎体に大きな影響はない。2か月齢で離乳すると直後に増体は低下するが、4か月齢時体重は雌でも40㎏程度になる(表1)。

4)単子授乳羊と双子授乳羊を別飼いし、哺乳子羊に給与する濃厚飼料を60日齢頃に人工乳から配合飼科に替えることにより、双子では4か月齢時に、単子では3か月齢時に出荷体重に到達する。また、双子のうち体重の大きいほうを60日齢で離乳すると、出荷体重のばらつきが小さくなる(表1)。

5)双子授乳羊を別飼いし群飼する条件下において、双子羊を4か月齢で出荷体重(43〜53㎏)に到達させるためのモデルを作成し、図1に示した。

表1 供試子羊の4か月齢時体重
試験 処理 体重(平均値±標準偏差)、㎏
3)-2 人工乳給与量1.2㎏ 単子:55.±:3.1 双子:54.1±6.8
人工乳給与量0.6㎏ 単子:52.9±0.3 双子:42.6±7.3
 
3)-3 4か月齢離乳 雄:50.2±3.1 雌:44.6±2.9
3か月齢離乳 雄:51.1±5.3 雌:41.5±4.O
2か月齢離乳 雄:45.9±4.5 雌:39.6±4.6
 
4) 双子のまま授乳させた子羊 (雄雌込み) 51.2±7.3
双子の片方の授乳させた子羊 (雄雌込み) 52.4±2.7
双子の片方の離乳した子羊 (雄雌込み) 50.0±4.2
単子のまま授乳させた子羊 (雄雌込み) 45.6±3.7[3か月齢時]

4.成果の活用面と留意点

1)初産時には、自分の産子に関心を示さない母羊のいることがあるので、分娩柵で囲い母子関係の成立に努める。
2)群飼条件下てば、濃厚飼料摂取量が偏らないように、1頭当たり給餌幅を、母羊では40〜50㎝、体重20〜50㎏の子羊では20〜30cmとする。
3)子羊柵の出入リロの幅ば通常19cmとされているが、体重30㎏以上の子羊てば25㎝以上に広げる必要がある。
4)一般に牛用飼料をめん羊に使用できる。しかし、飼料中の銅の要求量はめん羊と牛で等しいが(乾物中10ppm程度)、銅の中毒発生限界は牛(100ppm程度)に比べめん羊では低い(25ppm)ので、飼料中の銅含量に注意する。

5.残された問題とその対応

1)放牧を加味した早期出荷法