【指導参考事項】

1995262

成績概要書     (作成平成8年1月)

課題の分類:北海道畜産豚 ふん尿処理滝川畜試
研究課題名:豚糞の堆肥化・悪臭低減を促進する種堆肥の効果
       (有用菌群の活用による豚糞の急速堆肥化・無臭化技術の開発)
予算区分:道費
研究期間:平4−6年(1992−94)
担当科:滝川畜試研究部畜産資源開発科
協力・分担関係:なし

1.目的

 家畜糞の堆肥化を進めるためには、水分を調整し、通気性を保つ副資材が必要であるが、大量入手は困難な状況にあり、堆肥化が進まない原因の一つとなっている。
 このため、副資材の一部として腐熟が進んだ堆肥を種堆肥として用いる方法について検討する。加えて、豚糞に旺盛に増殖し、糞臭を低減させる菌群を選抜し、その特性を明らかにするとともに、この菌群を用いて種堆肥を調製し、堆肥化促進および悪臭低減効果の向上をめざす。

2.方法

 (1)有用菌群の検索・選抜および特性
 (2)種堆肥の腐熟促進、悪臭低減効果
  試験処理:無添加区(豚糞に5〜10%量の副資材を添加)
        :慣行堆肥区(腐熟が進んだ豚糞堆肥20%量を無添加区に添加)
        :菌群堆肥区(選抜した菌群で調製した堆肥20%量を無添加区に添加)

3.結果の概要

(1)慣行堆肥区の発熱および悪臭の低減は無添加区に比べてすみやかであった(図1、表1)。

(2)豚糞に対する生育が旺盛で悪臭を低減する菌群を検索・選抜した。この菌群から豚糞臭の主体を占める低級脂肪酸の資化能が高い薗株を分離した。その多くは放線菌であった。

(3)菌群堆肥区の発熱および悪臭の低減は慣行堆肥区に比べてすみやかであったが、少量調製時に比べて大量調製時における処理間差は小さくなる傾向にあった(図2)。

(4)菌群の効果発現には好気的条件が必要であり、自然通気式野積みにおける利用では限界があると考えられた。

表1 1トン調製時における悪臭度の変化
期問(日) 0 7 15 23 32 39 56
無添加区 2.3 2.5 2.7 2.7 0.5 1.4 0.9
慣行堆肥区 1.8 1.8 1.4 1.3 1.2 1.4 0.5

4.成果の活用面と留意点

 (1)返送する種堆肥は腐熟が進んだものを用いる(水分含量50%が目安)。
 (2)本試験の成績は非寒冷期の自然通気式野積みにおけるものである。

5.残された問題とその対応

 (1)返送堆肥化法の実証
 (2)選抜した菌群および分離菌株で調製した種堆肥を用い、通気あるいは撹拌した場合の効果確認