【研究参考】
成績概要書                           (作成 平成9年 1月)
課題の分野
研究課題名:水煮バレイショの硬さ評価法
       (食用バレイショの品質評価技術の開発並びに新用途向け品種の検索)
予算区分:道単
担当科:中央農試農産化学部品質評価科
担当者:
試験期間:平成6年〜8年
協力・分担関係:

1.目的
水煮パレイショの硬さについて着目し、パレイショ品種の特性値として位置づけを検討するとともに、硬さ評価法についてその測定条件を明らかにする。

2.方法
 1)パレイショの水煮後の硬さと品種並びにでん粉価との関係
   品種と水煮後の硬さ:1995年、根釧農試圃場・馬鈴しょ科栽培、22品種でん粉価と水煮後の硬さ:1994.1996年、中央農試圃場・品質評価科栽培・男爵いも
 2)バレイショの水煮後の硬さの測定条件の検討
硬さの測定:1995年・男爵いも、メークイン、キタアカリ・中央農試圃場・品質評価科栽培パレイショを供試。測定機器(テンシプレッサー)
測定機器の互換性:測定機器(テンシプレッサー、テクスチャーアナライザー、レオナー)
官能検査:男爵いも(1996年)から切片を対称に切り取って水煮し、この対の一方をテンシプレッサーで硬さを測定し、
       もう一方を官能検査(2点比較法)に用いた。

3.結果の概要・要約
 1)機器測定による硬さ評価と品種の関係を検討した結果、水煮バレイショの硬さ測定値は、
栽培年次や栽培地より品種間の違いの方が大きく、各品種問に明らかな硬さの違いがみられた。
このため、硬さは品種特性値の1つとして利用可能と考えられた(図1)、
 2)硬さに関与する要因としてはでん粉価があり、同一品種の中では、でん粉価の高いもの
が柔らかい傾向にあった(図2)。
 3)硬さの測定条件について検討を行い、次のように設定した(図3)。塊茎を外径17mのコ
ルクボーラーで横に打ち抜き、その中心部を高さ10㎜に調製し、水煮時間は沸騰蒸留水中で7.
5分加熱する。室温での放冷時間を1時間とし、水煮1時問後から3時問後までの間に、次の条件
で硬さを測定する。バレイショ切片より大きい直径30㎜のプランジャーを使用し、プランジャー
の移動速度は120㎜/minとし、プランジャーと試料台の最圧縮時の距離は8㎜に設定する。
測定回数は25回を標準とした。
 4)試料に対して垂直に力が加わるタイプの装置の測定条件を同様に揃えると、硬さの測定値に、
有意の差異は認められず、相互に測定値の比較が可能と考えられた(表1)。
 5)機器測定値の硬さと官能検査の間には、明らかな関連性が認められ、機器測定値は具体的数値
として、品種の特性や調理適性の評価に、有効に活用可能である。


図1 品種毎の水煮後の硬さ(1995年、根釧農試)


図2 でん粉価毎の男爵いもの水煮後の硬さ
(◆1994年、◇1996年、−標準偏差区間、中央農試)

表1 水煮後の硬さの機種比較
機種 硬さ(Kgw) t検定
(n=24)
AVG STD
テンシプレッサー 1.37 0.42 NS
テクスチャーアナライザー 1.38 0.39  
テンシプレッサー 1.41 0.61 NS
レオナー 1.37 0.61  
(1995年、中央農試、男爵いも)


図3 水煮後の硬さの測定法

4.成果の活用面と留意点
 バレイショの品種特性値の一つとして活用が可能である。

5.残された間題点とその対応
 硬さの測定値と調理適性の関係の検討。水煮後の硬さに及ぽす成分の影響の検討。