成績概要書(作成 平成11年1月)
課題の分類:
研究課題名:水稲苗箱並べ機の性能
予算区分:道費
担当:中央農試 農業機械部 機械科
研究期間:平成10年度
協力・分担関係:なし

1.目的
 新たに導入された水稲用苗箱(成苗ポット)並べ機の性能を明らかにし、利用上の参考に供する。

2.方法
 1) 供 試 機 SPN-500-8A
 2) 実施期日 平成10年4月
 3) 実施場所 奈井江町
 4) 試験項目
  ①機体調査
  ②作業条件
  ③作業精度
  ④作業能率

3.結果の概要
1) 供試機はAC100Vで駆動する成苗ポット(448穴、490穴)専用の苗箱並べ機で、中央レールの左右に4枚ずつの苗箱を交互に敷設する。苗箱供給機、供給用本体フレーム、左右延長フレーム、踏み板、苗台車、バッテリ電源の電動トロッコ、中央レール、ハウス側面レールで構成されている。本体の苗箱供給機へ苗箱を供給すると、メインフレーム上にあるスライドフレームが進行方向に対し右移動し、苗箱が横に4枚並べられる。次に左へスライドしながら苗箱を引き抜き、端から順々に苗床へ落下させ敷設する。このとき同時にスライドフレーム上に次に敷設する苗箱が4枚準備され、こんどは右移動しながら左側へ苗箱を敷設する。左右の敷設動作が終了した時点で縦移動し、次の敷設動作を再開する。苗台車から本体への苗箱供給は人力で行い、敷設後の踏み込みは踏み板に作業者が載って行う。ハウス外の苗台車から本体手前の苗台車への苗運搬は往復動する電動トロッコが無人で行う。苗台車とトロッコ間の苗の移し換えは苗をパネルに積んだまま行う。本体の移動、搬出入は解体して人力で行う。
2) 苗箱寸法は315mm×610mmで、敷設作業時の苗箱重量は1枚約2.3kgであった。苗床の土壌水分は67〜80%、土壌硬度は2.1kg/cm2であった。
3) 苗箱の敷設状況は設定箱間隔が縦横5〜10mmに対し、縦6.9mm横13.1mmであった。
4) 作業前にレールおよび電源コードの設置などの準備を行った。苗箱を設置したハウスは間口6.25m、奥行き59.05mであった。隣接ハウスの苗箱設置を終えてから装置の解体・移動・再設置に要する時間は2人作業で約7.3分(437s)であった。予め土詰め播種した苗箱を64枚ずつパレットに積み、ハウス入り口の苗台に準備した。苗運搬トロッコへの苗の積み替えと苗箱準備に1人、苗運搬トロッコから苗台への移し換えと本体の苗供給装置への苗載せに1人の計2人作業で能率を測定した。苗床の凹凸やレールの敷設高さの変動を原因とする苗箱の設置手直しやレール高さの調整、ビニールはがしを含め、1,360箱の設置に232分を要し、作業能率は352箱/hであった。また、8箱の設置に要するサイクルタイムは平均で57.3秒であった。


4.成果の活用面と留意点
 敷設した苗箱が装置の縦移動時に乱されることがないように、播種床の均平とレールパイプの設置高さ(パイプ中心が苗床表面となる)に留意する。AC100V電源が必要である。

5.残された問題点とその対応
 なし