成績概要書(継続課題) (作成 平成12年1月19日)
課題の分類 北海道 作物   稲作
            生産環境 土壌肥料
研究課題名:業務用米の実需者ニーズと品質に係わる実態調査
予算区分:国費助成
担当科:上川農試 研究部 水稲栽培科、土壌肥料科、水稲育種科
担当者:五十嵐俊成、後藤英次、平山裕治
研究期間:平成9−10年

 
1.目的
 米の消費量は年々減少しているが、外食・中食における米の消費割合は増加しており全体の30%を占めている。そこで、業務用米の実需者ニーズと品質の実態をアンケート調査により把握し、今後の北海道産米の生産・流通・販売戦略をたてるための資料とする。
 
2.方法
1).業務用米ニーズに関するアンケート調査(1997年、1998年実施、8月発送、9月末回収)
 調査対象:米卸企業205件うち回収58件(回収率28.3%)、外食・中食企業419件うち回収100件(回収率24%)
2).業務用米の特性調査 
 流通・使用される業務用米の品質に関する理化学的分析調査
 調査対象:上記のアンケート配布企業・卸からの提供および東京・大阪における市販米
 
3.結果の概要・要約
1) 卸企業の米を仕入れる理由は「良食味」が最も多く、次いで「値頃感」、「通年的な品質の安定性」、「ブランドイメージ」があげられ、この理由と産地には密接な関係があった(図1)。
2) 卸企業の品質管理では食味計の食味値、整粒歩合、タンパク含有率、水分、白米白度が重視され、食味計はサタケ食味計、ケット食味計、トーヨー味度メーターなどが導入されていた。
3) 外食・中食の品質検査項目は、自社内では官能検査、購入元では食味計が利用されていた。検査項目の基準値は食味値73.6〜81、アミロース含有率18.6〜19.9%、タンパク含有率6.8〜7.4%、白米白度39.5〜42.3、整粒歩合93.9〜100%、水分14〜15.1%であった(表1)。
4) 北海道産米はブレンドで57.1%使用されており、単品での使用は31.4%であった。ブレンドの対象銘柄品種はコシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまちの順であった(図2)。
5) ブレンド米を使用している割合は外食よりも中食で多かった。ブレンド米を使用する理由は、外食では食味向上、低価格で増量に対して、中食では食味向上、飯米適性の変動回避であった。
6) 北海道産米を使用する理由は低価格が最も多く、使用しない理由は食味が悪いなどであった。北海道産米に求める品質改善項目は「白度の向上」、「砕け米を少なく」、「粒を大きく」、炊飯米に対しては「うまみ向上」、「老化しにくく」などがあげられた(表1)。
7) 業務用米の理化学成分・無機成分を分析した結果、北海道産米に比べてマグネシウム/カリが高く、アミロース含有率が低く、白米千粒重が小さく、白米白度が高く、タンパク含有率およびPB-Ⅰ比率が低い傾向であった。
 
 
 
 
 
 
 
 
4.成果の活用面と留意点 
1) 北海道産米の生産・流通・販売戦略の作成に活用する。
2) 本調査は1997年〜1998年に行ったアンケート調査のデータを用いたものである。
 
5.残された問題とその対応
1) 道産米の地域間・年次間の品質変動を少なくする栽培技術および流通管理技術の向上
2) 道産米のブレンド特性評価
3) 具体的な米利用場面に対応した米の品質評価