1.来 歴
 平成元年(1989年)にホクレン農業総合研究所で多収の「ハルユタカ」を母、良質性と耐病性に優れる「Stoa」を父として交配し、平成2年(1990年)F1植物を育成し、葯培養を利用した半数体育種法により固定、選抜を図ってきたものである。
 平成5年(1993年)には「90DH22-22」の系統名で小規模生産力試験、平成7年(1995年)には生産力検定予備試験、地域適応性検定試験および特性検定試験に供試した。その結果、耐病性に優れ、多収で製パン性が良好であったので、平成8年(1996年)からは「HW1号」の系統名で生産力検定試験、奨励品種決定基本調査ならびに栽培特性検定試験に供試し、さらに平成9年(1997年)からは道内各地の奨励品種決定現地調査およびこれらに準ずる試験に供試してきた。
 平成9年には品種名「春よ恋」として品種登録申請を行った。平成11年(1999年)の世代はA9である。

2. 特 性
「ハルユタカ」と比較して
1) 出穂期・成熟期は同程度の中生である。
2) 稈長は長く、稈質はやや弱く、倒伏程度はやや多い。
3) 穂長は同程度で穂数はやや多い。
4) うどんこ病抵抗性は強でほとんど罹病しない。
5) 赤さび病抵抗性は同程度のやや強である。
6) 赤かび病抵抗性はやや強く、中である。
7) 多収である。
8) アミログラムの最高粘度が高く、低アミロになりにくい。
9) 製粉歩留およびミリングスコアがやや低い。
10) 製パン適性は優れる。

3. 試験成績
1)生産力検定試験結果(平8〜11の平均)

2)特性検定試験成績(平8〜11、農試、ホクレン農総研)

3)品質検定試験成績(ホクレン農総研,平8〜11の平均)

4.配布しうる種子量
原原種格(平成11年植物遺伝資源センター産)   60.7kg
原種格(平成11年十勝農試産)   1,300kg

5.採用予定県 北海道

6.栽培適地および普及見込み面積
栽培適地     北海道の春まき小麦栽培地域
普及見込み面積     6,000ha

7.栽培上の注意事項
1)耐倒伏性が劣るので標準播種量(340粒/m2)および施肥標準を守り、密植や過度の窒素の施用は避ける。
2)その他は「ハルユタカ」の栽培法に準ずる。