成績概要書   (作成 平成12年1月)
課題の分類
研究課題名:栄養繁殖性遺伝資源の超低温保存法
   (栄養系遺伝資源の超低温保存法の開発と実用化)
予算区分:道費
研究期間:平8−11年度
担当科:植物遺伝資源センター 研究部 資源貯蔵科
協力・分担関係:なし

1.目  的

 1)ばれいしょ、いちご、ユリ、やまのいもについて超低温保存法を開発する。

 2)栄養系遺伝資源の長期安定保存の実用化を図る。

2.方  法

 1)超低温保存法の確立
  前処理、前培養、osmoprotection、脱水、加温後の培養などの各条件を検討した。

 2)超低温保存後の植物
  圃場での生育調査およびRAPD分析を実施し、さらに配布形態について検討した。

3.結果の概要


    ばれいしょの超低温保存法             いちごの超低温保存法


   ユリの超低温保存法             やまのいもの超低温保存法

 

 ①ビーズガラス化法により、ばれいしょ(14品種)、いちご(6品種)、ユリ(19品種)、やまのいも(3系統)の超低温保存法を確立した。

 ②超低温保存した茎頂の加温直後の生育は旺盛かつ迅速で、カルスなどを経ずに葉茎を伸長し、外観上の異常は認められなかった。

 ③超低温保存後の植物は圃場で正常に生育し、液体窒素処理しない植物体に比較して生育量とばらつきに差は認められなかった。また、RAPD分析の結果にも差は認められなかった。

 ④超低温保存した遺伝資源はin vitroの植物体または順化苗として配布することが可能である。

4.成果の活用面と留意点

 ①栄養繁殖性遺伝資源(ばれいしょ、いちご、ユリ、やまのいも)を安全に低コストで長期保存する際に利用する。

 ②各植物の育成場における保存管理労力を軽減することができる。

5.残された問題点とその対応

 ①超低温保存したばれいしょ茎頂の培養に適した植物成長調節物質の品種間差の検討及びマイクロチューバーの形成条件の検討。

 ②やまのいもの他の種や系統の超低温保存法の検討。