課題の分類 研究課題名:夏秋どり簡易軟白ねぎの軟白処理時期とマルチ資材 (道南野菜の安定生産技術確立試験 1.軟白ネギの生産阻害要因の解明と対策) 予算区分:道費 担当科:道南農試 研究部 園芸科 研究期間:平成9〜11年度 協力・分担関係: |
1.目的
夏秋どり簡易軟白ねぎの軟白処理時期、および作型に適したマルチの種類や栽植様式について検討する。
2.方法
軟白方法:旭川ビニール方式による簡易軟白法
軟白資材:銀黒フィルム、黒フィルム(0.07mm)、軟白部分は40cm
(1)軟白処理時期の検討(平成9〜11年)
品種:「元蔵」
ア)生育調査:定植後定期的にサンプリングを行い、生育の推移を調査した(H9〜10年)。
イ)軟白期間に関する調査:軟白開始20日後からサンプリングを行い、軟白の仕上がりを調査した(チェーンポット「CP303」使用、H11年)。
試験年次 | 播種日 | 定植日 | 軟白処理日 |
H 9年 | 3/ 7 | 5/30 | 7/22 |
H10年 | 3/10 | 5/28 | 8/17 |
H11年 | 2/26 | 4/27 | 7/8 |
(2)マルチの種類について(平成9〜11年)
品種:「元蔵」
マルチの種類:白黒ダブル、シルバー、黒、濃グリーン、透明、無マルチ
試験年次 | 播種日 | 定植日 | 軟白処理日 | 収穫日 |
H 9年 | 3/ 7 | 5/22 | 7/22 | 10/ 7 |
H10年 | 3/10 | 5/19 | 8/17 | 11/15 |
H11年 | 2/24 | 5/13 | 7/28 | 11/ 2 |
(3)栽植様式について(平成10〜11年)
株間:2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0cm
品種:「元蔵」,「金長3号」,「冬扇2号」
試験年次 | 播種日 | 定植日 | 軟白処理日 | 収穫日 |
H10年 | 4/7 | 6/17 | 9/14 | 12/16 |
H11年 | 3/23 | 6/3 | 8/9 | 11/16 |
3.結果の概要
1)軟白処理開始時と収穫時では、葉鞘部の太さがほぼ同じであった(図1)。軟白処理後は葉鞘部がほとんど太くならないため、軟白処理開始時までに十分な生育を確保しておくことが必要と考えられた。 2)簡易軟白ねぎは一本100g程度で市場性が良い。調製後の葉鞘径と一本重との間には、高い正の相関が認められ、100gのねぎの葉鞘径は、9〜11mmであった(図2)。収穫時と調製後の葉鞘径の比率(表1)から、100gのねぎにおける収穫時の葉鞘径は13〜15mmと計算された。 3)軟白処理は、葉鞘径13〜15mmのときに開始するのが良いと考えられた。また、このときの草丈は、80cm〜90cmに相当した(図3)。 4)葉鞘部の軟白化にかかる期間は、40日程度であった。 5)マルチの使用により、雑草および病害の発生が抑えられた。マルチの種類としては、地温を抑制するタイプの白黒ダブル、シルバーでもっとも安定した収量が得られた(表2)。透明マルチでは無マルチの状態と同様、雑草の発生が多く、本作型には適さないと考えられた。 6)栽植様式では、株間2.5cmおよび3.0cmにおいて平均一本重が100gを下まわることがあった。一本100gを目標とすると、株間3.5cm以上が良いと考えられた(表3,4)が、株間が広くなるほど栽植本数が減ることから、広くても4.0cmまでとするのが良いと思われた。
4.成果の活用面と留意点
1)本成績は、簡易軟白ねぎ栽培(フィルム被覆方式)の夏秋どり作型に適用する。
2)軟白処理時期までの生育が旺盛で倒伏が心配される場合には、紐を張るなどして倒伏防止に努める。
5.残された問題とその対応
1)他の作型での検討
2)異なる軟白方式での検討