新品種候補   (作成 平成11年12月)

課題の分類

新品種候補名 とうもろこし(サイレージ用)「SH6547(DK483)」

試験場所名 農林水産省北海道農試,北海道立滝川畜試,北海道立道南農試

1. 来歴および試験経過

1)来歴

とうもろこし(サイレージ用)「SH6547(DK483)」は米国のデカルブ社が育成した単交雑(デント×デント、構成系統は不明)の一代雑種である。平成10年にOECD登録されている。

2)導入および試験経過

 平成7年に雪印種苗株式会社が導入し、平成8年に場外予備検定試験を行った。平成9〜11年に農林水産省北海道農試,北海道立滝川畜試および道南農試において品種比較試験を行った。さらに平成10〜11年に鵡川町と八雲町において同現地試験を行った。また、平成9〜11年には、農林水産省北海道農試においてすす紋病およびごま葉枯病抵抗性についての特性検定試験を行った。

 

2. 特性(標準品種「P3732」(晩生の早))

1)熟 期

 絹糸抽出期は「P3732」とほぼ同じである。収穫時熟度および総体の乾物率は「P3732」と同程度である。熟期は晩生の早に属する。

2)耐倒伏性

 「P3732」並かやや強い。

3)発芽および初期生育

 発芽は「P3732」よりやや早く、初期生育は「P3732」より優れている。

4)収量性および乾物特性

 乾総重および推定TDN収量は「P3732」より高い。乾雌穂重割合は「P3732」と同程度である。開花期前後の多雨・少日照・高温条件により、有効雌穂割合が低下することがある。その程度は「P3732」並である。

5)形態特性

 稈長は「P3732」より短く、着雌穂高は「P3732」並かやや低い。

6)耐 病 性

 すす紋病抵抗性は「3540」より強く、「P3732」より弱い。ごま葉枯病抵抗性は「3540」および「P3732」と同程度である。

 

3. 試験成績

1)生育収量調査


品種・系統名

1)

発芽

(月日)

初期2)
生育
(1-9)

絹糸
抽出

(月日)

稈長
(cm)

着雌
穂高
(cm)

3)

(%)

収穫時
熟度

有効4)
雌穂
割合
(%)

収量(kg/10a)

総体
乾物

(%)

乾雌
雌重
割合
(%)

乾物中
推定
TDN
(%)

乾総
推定5)
TDN
同左




SH6547

H 9

H11

5.31

7.0

8.07

234

109

25.5

黄初-中

82.6

1776

1269

111

26.8

48.5

71.2

P3732

6.02

5.8

8.08

243

115

31.5

黄初

78.3

1636

1146

100

26.4

41.6

69.3

3845

6.01

8.1

8.04

255

112

31.4

黄初-中

99.3

1771

1293

113

31.4

55.3

73.0




SH6547

H 9

H10
/11

6.17

8.0

8.16

258

118

11.4

黄初

98.0

1797

1279

100

23.3

48.1

71.1

P3732

6.16

6.2

8.16

265

125

18.1

黄中

98.4

1765

1280

100

25.7

53.1

72.5

3845

6.15

9.0

8.12

277

124

40.0

黄中

99.0

1710

1228

96

26.6

50.9

71.9




SH6547

H 9

H11

5.26

7.5

8.07

237

105

33.5

黄中

94.2

1800

1291

117

32.6

50.6

71.8

P3732

5.27

6.3

8.07

253

116

34.0

黄中

94.4

1558

1107

100

29.6

48.0

71.1

3845

5.25

8.7

8.05

250

102

33.7

黄中

97.7

1592

1157

104

36.8

53.8

72.6




SH6547

H 9

H11

5.31

6.0

8.16

232

106

0.0

黄後

99.7

1847

1339

107

26.6

53.2

72.5

P3732

6.02

4.5

8.14

242

109

0.7

黄中

99.0

1714

1247

100

28.2

53.9

72.7

3845

5.31

5.7

8.15

250

107

7.0

黄後

94.0

1719

1250

100

29.0

54.2

72.7




SH6547

H 9

H10

5.26

6.5

8.13

218

107

0.1

糊後

55.2

1639

1096

104

27.2

33.7

67.1

P3732

5.26

6.0

8.12

229

96

6.3

黄初-中

92.9

1552

1052

100

29.5

36.5

68.1

3845

5.25

9.0

8.10

245

107

10.0

黄中

77.0

1547

1069

102

32.9

43.2

69.9

 注 1)滝川畜試の平成11年は長雨により適期播種ができなかった。そのため、倒伏のみ平成9〜11年の平均とし、
その他の形質は平成9〜10年の平均とした。
   2)1:極不良〜9:極良の評点。平成9、10年は1:良〜5:不良の評点値から変換
   3)転びと折損の合計
   4)平成9、10年は(100−不稔個体率)の値
   5)推定TDN収量=乾茎葉重×0.582+乾雌穂重×0.85

2)耐病性に関する調査

病害抵抗性(特性検定試験,北海道農業試験場)

品種・系統名

すす紋病

ごま葉枯病

H10.9.25

H11.9. 2

H 9.9. 2

H10.9.14

SH6547

5.0

5.0

5.8

3.1

P3732

3.1

4.0

5.8

5.2

キタユタカ

6.1

6.0

7.4

6.3

3845

3.9

3.0

5.8

5.3

3540

6.3

7.0

5.8

5.2

 注 1)接種方法は、すす紋病では粉砕罹病葉懸濁液を感染源品種(エマ)に接種、
ごま葉枯病では粉砕罹病葉懸濁液と麦粒培養した菌を全個体に接種
   2)1:無〜9:甚の評点。平成9、10年は0:無〜5:甚の評点値から変換

4. 配布しうる種子量

平成12年度以降 35t

 

5. 普及対象地域および普及見込面積

道央(北部を除く)および道南地域

1,400ha