新品種候補   (作成 平成11年12月)

課題の分類

新品種候補名 とうもろこし(サイレージ用)「DK566」

試験場所名 農林水産省北海道農試,北海道立滝川畜試,北海道立道南農試

1. 来歴および試験経過

1)来歴

とうもろこし(サイレージ用)「DK566」は米国のデカルブ社が育成した単交雑(デント×デント、構成系統は不明)の一代雑種である。OECD登録はされていない。

 

2)導入および試験経過

 平成7年にカネコ種苗が導入し、平成8年に場外予備検定試験を行った。平成9〜11年に農林水産省北海道農試,北海道立滝川畜試および道南農試において品種選定試験を行った。さらに平成10〜11年に鵡川町と八雲町において同現地試験を行った。また、平成9〜11年には、農林水産省北海道農試においてすす紋病およびごま葉枯病抵抗性についての特性検定試験を行った。

 

2. 特性(標準品種「3540」(晩生の中))

1)熟 期

 絹糸抽出期は「3540」より約1日早く、収穫時熟度は「3540」並かやや遅れる。総体の乾物率は「3540」並かやや高い。熟期は晩生の中に属する。

2)耐倒伏性

 「3540」並である。

3)発芽および初期生育

 発芽は「3540」並で、初期生育は「3540」並かやや劣る。

4)収量性および乾物特性

 「3540」と比較して、乾総重は同程度かやや低く、推定TDN収量は同程度である。乾雌穂重割合は「3540」より約5%高い。

5)形態特性

 稈長および着雌穂高はいずれも「3540」並である。

6)耐 病 性

 すす紋病抵抗性は「3540」より強く、「P3732」と同程度である。ごま葉枯病抵抗性は「3540」および「P3732」より強い。

 

3. 試験成績

1)生育収量調査


品種・系統名

1)

発芽

(月日)

初期2)
生育
(1-9)

絹糸
抽出

(月日)

稈長
(cm)

着雌
穂高
(cm)

3)

(%)

収穫時
熟度

有効4)
雌穂
割合
(%)

収量(kg/10a)

総体
乾物

(%)

乾雌
雌重
割合
(%)

乾物中
推定
TDN
(%)

乾総
推定5)
TDN
同左




DK566

H 9

H11

6.03

5.4

8.12

254

134

29.6

糊後-黄初

100.0

1866

1347

99

25.6

52.1

72.2

3540

6.03

6.5

8.13

255

130

30.1

黄初-中

94.3

1928

1360

100

26.3

46.1

70.5

P3732

6.02

5.8

8.08

243

115

31.5

黄初

78.3

1636

1146

84

26.4

41.6

69.3




DK566

H 9

H10
/11

6.15

8.9

8.19

285

139

27.2

黄初-中

100.0

1925

1391

97

23.6

52.4

72.2

3540

6.14

7.3

8.19

285

144

17.0

黄中

98.4

2032

1441

100

23.6

47.1

70.8

P3732

6.16

6.2

8.16

265

125

18.1

黄中

98.4

1765

1280

89

25.7

53.1

72.5




DK566

H 9

H11

5.26

6.5

8.09

269

132

34.4

黄中

96.8

1826

1315

103

30.2

51.7

72.1

3540

5.26

7.8

8.11

261

127

33.3

黄中

96.1

1810

1272

100

30.0

45.2

70.3

P3732

5.27

6.3

8.07

253

116

34.0

黄中

94.4

1558

1107

87

29.6

48.0

71.1




DK566

H 9

H11

6.03

5.2

8.20

251

117

1.0

黄中

99.0

1972

1421

106

28.8

52.2

72.2

3540

6.02

5.5

8.21

253

117

1.1

黄中

98.7

1885

1340

100

26.6

47.9

71.0

P3732

6.02

4.5

8.14

242

109

0.7

黄中

99.0

1714

1247

93

28.2

53.9

72.7




DK566

H 9

H10

5.26

6.5

8.12

236

116

3.5

黄初

83.7

1753

1249

100

28.0

49.4

71.5

3540

5.26

7.0

8.14

250

128

7.5

黄初

90.5

1856

1251

100

25.7

35.4

67.7

P3732

5.26

6.0

8.12

229

96

6.3

黄初-中

92.9

1552

1052

84

29.5

36.5

68.1

 注 1)滝川畜試の平成11年は長雨により適期播種ができなかった。そのため、倒伏のみ平成9〜11年の平均とし、
その他の形質は平成9〜10年の平均とした。
   2)1:極不良〜9:極良の評点。平成9、10年は1:良〜5:不良の評点値から変換
   3)転びと折損の合計
   4)平成9、10年は(100−不稔個体率)の値
   5)推定TDN収量=乾茎葉重×0.582+乾雌穂重×0.85

2)耐病性に関する調査

病害抵抗性(特性検定試験,北海道農業試験場)

品種・系統名

すす紋病

ごま葉枯病

H10. 9.25

H11. 9. 2

H 9. 9. 2

H10. 9.14

DK566

2.9

3.0

4.7

2.6

3540

6.3

7.0

5.8

5.2

P3732

3.1

4.0

5.8

5.2

 注 1)接種方法は、すす紋病では粉砕罹病葉懸濁液を感染源品種(エマ)に接種、
ごま葉枯病では粉砕罹病葉懸濁液と麦粒培養した菌を全個体に接種
   2)1:無〜9:甚の評点。平成9、10年は0:無〜5:甚の評点値から変換

4. 配布しうる種子量

平成12年度以降  3t

 

5. 普及対象地域および普及見込面積

道央(北部を除く)および道南地域

120ha