成績概要書 (作成 平成12年1月)
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課題の分類
研究課題名:抵抗性品種と土壌酸度調整の併用によるジャガイモそうか病の防除効果
(ジャガイモそうか病総合防除法開発試験 Ⅲ 生物・化学的防除法の開発)
(ジャガイモそうか病の定量法と発病抑制技術開発)
予算区分:受託
道費
研究期間:平成9〜11年度
担当科:北見農試研究部・馬鈴しょ科,十勝農試研究部・病虫科,中央農試 病虫部・土壌微生物科
協力・分担関係: |
1 目 的
抵抗性品種の作付けと土壌pH調整の併用によるそうか病の防除効果を明らかにする。
2 方 法
北見、十勝、中央農試のそうか病汚染圃場あるいは枠圃場において、フェロサンド施用により土壌pH調整を行った区を設置し、抵抗性品種と対照品種(「男爵薯」)を栽培してそうか病の発生程度を調査した。
3 結果の概要・要約
- フェロサンド施用により土壌pHを5.0付近に下げた場合、そうか病の防除効果が高い土壌(防除価40?70程度)と低い土壌(防除価2?30程度)が認められた(表1)。
- これらの土壌には交換酸度y1に違いが認められた。すなわち、土壌pHを5.0付近に下げたとき、y1が1未満の土壌では防除効果が低く、3以上の土壌では高かった(表1)。
- y1は交換性アルミニウムの尺度であり、アルミニウムイオンがそうか病菌の生育を抑制することが知られている。したがって、土壌pH調整によりy1が上昇しない土壌では防除効果が低かったと考えられる。以上のように、土壌pH調整によるそうか病の防除効果は、pHよりもy1によってよく説明された。
- 抵抗性品種と土壌pH調整を組み合わせることにより、単独での防除効果を上回る防除効果が得られた。しかし、その程度は土壌pH調整による防除効果が低い場合、すなわち、pHを下げてもy1が十分に上昇しない土壌では小さかった(表2)。
- 土壌pH調整(目標pH5.0)によりy1が十分高くなり、防除価40以上が期待できる圃場において、「男爵薯」の発病度が10?20程度(病いも率30?50%)である場合、土壌pH調整と「根育31号」を併用することにより、食用ばれいしょの許容水準とされる発病度5(病いも率15%)以下に発病を抑制することが可能であると考えられた(図1)。
- 5)と同様の土壌条件で、「Ackersegen」(抵抗性「強」の遺伝資源)と同等以上の抵抗性を有する品種と土壌pH調整を併用する場合の適用範囲は、「男爵薯」の発病度が40程度(病いも率80%)までと考えられた(図2)。



図1 根育31号と土壌pH調整の併用による防除効果

図2 Ackersgenと土壌pH調整の併用による防除効果
4 成果の活用面と留意点
- 生食用ばれいしょとして発病度5(病いも率15%)を目標とすると、「根育31号」と土壌pH調整の併用は、前回作付け時における「男爵薯」等の罹病性品種の発病度が10?20(病いも率30?50%)程度の圃場に適用できる。
- 「根育31号」と土壌pH調整を併用する場合、土壌pH調整による効果が十分でない土壌があるので、その適否を事前に判定する必要がある。
5 残された問題点とその対応