成績概要書 (作成平成12年1月)
課題の分類
研究課題名 だいこんのキスジトビハムシ成虫の発生消長と防除時期
(総合的病害虫管理技術実証事業)
予算区分:国費 担当科:北海道病害虫防除所予察課
研究期間 協力・分担関係
完了 平成11年(平成9年〜11年)
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1.目 的
成虫の発生消長と幼虫による根部被害の関係を捉え、さらに根部被害の推移から粒剤による防除時期を推定した。
2.方 法
(1)成虫の発生消長(播種以前の消長・年間の発生消長・卵巣発育度調査)
(2)播種期とだいこん根部の被害(播種期別被害・播種期別被害推移)
(3)粒剤のトップドレッシングによる防除効果
3.結果の要約
(1)成虫の発生消長
・播種以前の消長
カラシ油トラップによる誘殺数とだいこん茎葉部の寄生数は著しく異なった。
・年間の発生消長
成虫の消長では、5月下旬〜6月上旬、7月中〜下旬、8月中〜下旬および9月中旬以降の4回ピークが認められた(第1図)。
羽化成虫のピークは7月中〜下旬、8月中旬および9月中旬以降の3回認められた(第1図)。
・卵巣発育度調査
卵巣が発達した個体のピークは5月下旬〜6月上旬、7月中〜下旬および8月中〜下旬の3回であった(第2図)。
このうち、5月下旬〜6月上旬、7月中〜下旬のピークは越冬成虫、8月中〜下旬のピークは第1世代成虫によるものと推定された。
(2)播種期とだいこん根部の被害
・播種期別被害
6月下旬から8月上旬に播種しただいこんの被害は高く、8月下旬に播種しただいこんの被害が最も小さかった。5月〜6月上旬に播種しただいこんでの被害は中間程度の値となった。
・播種期別被害推移
いずれの時期に播種しても発芽から3週間程度経たないと被害が発生しなかった。6月下旬〜8月上旬に播種しただいこんでは被害が発生するとその後急速に被害程度が増加した。8月下旬に播種しただいこんでは被害は緩慢に増加し、被害程度は小さかった。5月〜6月上旬に播種しただいこんでは被害が現れるのは遅くなったが、被害が出た後は急速に被害程度が増加した(第3図)。
(3)粒剤のトップドレッシングによる防除効果
どの時期に播種しても発芽後3週間程度経たなければ被害が発生しないことから、卵期間(約1週間)を除き、発芽後約2週間以降の産卵が被害に結びつくと考えられた。
このため、発芽後約2週間時点で粒剤のトップドレッシング処理をした結果、テフルトリン0.5%粒剤が卓効を示した。エチルチオメトン5%粒剤も効果があったが、効果が持続せず生育期後半で被害が急速に増加した(第1表)。



第1表 粒剤のトップドレッシング効果
粒 剤 名 |
9月6日 |
9月14日 |
9月24日 |
被害率 |
被害程度 |
被害率 |
被害程度 |
被害率 |
被害程度 |
エチルチオメトン粒剤
テフルトリン粒剤
アセフェート・ダイアジノン粒剤
無処理区 |
52.9
43.8
−
100.0
|
18.8
15.6
−
85.9
|
80.0
62.5
−
100.0
|
31.7
21.9
−
95.0
|
95.5
56.5
91.7
100.0
|
53.4
21.7
74.0
96.6
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4.成果の活用面と留意点
(1)本成果はキスジトビハムシ成虫の発生消長と幼虫によるだいこん根部被害の推移から薬剤による防除方法と時期を示した。
(2)テフルトリン粒剤、エチルチオメトン粒剤のトップドレッシングは未登録の使用方法である。
5.残された問題点とその対応
(1)成虫の発生予察方法
(2)ここで示した防除法の実証と確立